2026年1月15日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は、フランスで続くウナギ密輸裁判の動向と、国際的な規制強化が困難な現状について報じた。

記事は、フランスのボルドー裁判所が今月、ヨーロッパウナギの稚魚(シラスウナギ)密輸事件の審理を開始したと報道。

出廷した17人の被告の大多数は中国人で、2019年3~5月に稚魚約1トンをアジアへ密輸した罪に問われていると伝えた。また、被害総額は約100万ユーロ(約1億8000万円)に上るとされ、法廷を傍聴したNGOメンバーが、被告らの多くが自身の行為の重大さを認識していないと指摘したとことを伝えている。

そして、今回の裁判はポルトガルとフランスにまたがる密輸ルートに関するものであり、6年以上の捜査を経て起訴に至ったと指摘。「ミュール(運び屋)」と呼ばれる密輸実行犯が1回当たり1000ユーロ(約18万円)の報酬でスーツケースを加工してシラスウナギを航空機で運搬し、税関検査を回避するため、ベトナムやマレーシア、セネガル経由で中国へ運ぶルートが使われていたと報じた。

記事はその上で、フランスにおける中国へのウナギ密輸が止まらない背景として、人工繁殖を伴う完全養殖技術が未確立である一方でグルメ需要が増加している点に言及。需要が増加する中で中国がウナギの養殖および輸出で世界一となっており、世界最大のウナギ消費国である日本市場の70%が中国産で賄われている現状に言及した。

また、フランス政府が25~26年の漁期において22トンの捕獲割当を認めていると伝える一方で、環境保護団体「フランス自然環境連盟」の専門家は、夜間に行われる密漁の監視が困難であることなどを理由に、全面的な禁漁をすべきだと主張していると伝えた。

記事は、昨年12月にウズベキスタンのサマルカンドで開催されたワシントン条約(CITES)締約国会議において、EUとパナマが全ウナギ種の取引規制(附属書IIへの掲載)を提案した件を紹介。この提案に対し、日本と中国が「過度な規制であり、事務負担や価格高騰を招く」として反対を主導した結果、賛成35票、反対100票という大差で否決されたと報じている。

このトピックについて理解するためには、記事に記載されていない補足が必要だ。ウナギをめぐっては現在、絶滅危惧種に指定されているニホンウナギと、準絶滅危惧種のヨーロッパウナギがCITESの取引規制(附属書II)に記載されている一方、アメリカウナギは規制対象になっていない。税関では輸出されるのが規制対象種なのか、対象外種なのかを外観で判別できず、ヨーロッパウナギをアメリカウナギと称した密輸を横行させる事態となっている。

そこで、ヨーロッパウナギの密輸を防ぐためには全ウナギ種を取引規制対象にする必要がある、というのがEUとパナマによる提案の背景だ。(編集・翻訳/川尻)

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