中国メディアの新週刊はこのほど、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が脱毛症の治療を医療保険の適用対象にすることを提案したことを紹介し、韓国における関連事情と、さらには中国での状況を紹介する記事を発表した。
韓国で中年男性が集まれば、話題は三つに集約
韓国紙で「(わが国では)中年男性が3人以上集まれば、会話はおおむね三つに集約できる。株、ゴルフ、そして脱毛だ」との言い方が紹介されたこともある。
韓国国民健康保険公団によると、2024年に韓国で脱毛症により受診した24万人のうち、40.1%が20代と30代の年齢層だった。つまり、脱毛の状況はますます若者の身に起きている。また韓国では同年、「脱毛人口」が1000万人、つまり総人口の5分の1に達した。
ただし、客観的に見れば、韓国で脱毛症の男性がとりわけ多いわけではない。ドイツに拠点を置く脱毛関連情報などを発信するメディヘアの2025年の調査では、脱毛率の上位5カ国はスペイン、イタリア、フランス、米国、ドイツであり、韓国は37位だった。
欧米人は気にせず堂々としているのだが
しかし、欧米人の多くは頭髪を失っても平然としており、あたかも新しいデザインの帽子をかぶっているかのように自由に振るまう。対してアジア人男性の場合、生え際が後退する状況に直面すると、一般的には「曲線による救国」を選択する。すなわち周囲の髪を長く伸ばして曲げて、髪が少なくなった部分を覆い隠す。
韓国人の場合には特に、自分の容姿を気にする傾向が強い。韓国では、仕事でも私生活でも競争が厳しい。自分の容姿に自信を持てなければ、就職絡みの面接や結婚にとって致命的な影響が出ると考える。またアイドル文化が急速に根付いたことでも「美しくないのは努力が足りないからだ」との認識も定着した。
中国でも「薄毛化」が急速進行
中国でも脱毛問題は韓国に近い状況になりつつある。SNSには、1980年代や90年代の古い写真を投稿して当時の人々の髪がいかに濃密で旺盛だったかを嘆く声が寄せられる。そして、人々の頭髪が今では概して薄くなったと論じ、「シャンプーによる陰謀ではないか」とする冗談も長期にわたって存在する。確かに周囲を見渡せば、今や人々の髪が目に見えて少なくなっているからだ。
中国の大手ビッグデータ企業であるモブテックが設立した調査研究機関のモブ研究院が2021年に発表した「中国頭皮健康白書」によると、中国では男性1億6000万人、女性9000万人の合わせて約2億5000万人が脱毛のために悩んでいる。さらに、そのような人は毎年15%から18%の速度で急増している。同時に、30歳前で脱毛が始まる割合は84%に達し、一つ上の世代の脱毛年齢より20年早まった。
女性監督は男性が薄毛を気に病むことで驚き
ドキュメンタリー映像作品の「禿然発生」を制作した女性である楊雲蘇監督によると、当初は脱毛が本当に男性に苦痛をもたらすとは思っていなかったが、脱毛に悩む男性の撮影を続けるうちに「(男性は)見つめられた時に初めて、脱毛を重視する。では誰に見られるのか。当然、自分が気にかけている人だ。男性にも容姿への不安はある」と気づいたという。
なお、「禿然発生(トゥーラン・ファーション)」は文字通り読めば「はげ状態が発生した」と解釈できるが「突然発生」と全く同じ発音であり、「思いもよらなかったことに、髪の毛がいきなり抜け落ち始めた」という脱毛症に悩む人の心情を匂わせる題名だ。
この作品に登場する男性記者の何潤鋒さんは、自分の後頭部の写真を見た時には、「(中心部分が)光に照らされて周辺の黒髪と強烈な対比だ」と感じて凝視してしまったという。
何さんはまた、テレビ番組の多くの司会者がかつらを着用していると聞き、SNSに。「健康的で旺盛な髪はすでに、端正な身だしなみと大衆から信頼を得るための必定条件になっているようだ」と書き込んだ。
脱毛は老いの象徴、可能性の消滅か
中国における脱毛の問題は、長期にわたる社会文化による禿頭のイメージに関係している。禿頭は往々にして卑屈、ずる賢い、残虐などのシンボルにされる。映画やドラマの中で、犯罪者や悪役の多くは禿頭だ。例えばドラマ「隠秘の角落」(邦題:バッド・キッズ 隠秘の罪)の男性主人公である張東昇(張東升)は、かつらを脱いだ途端に演技も含めて恐怖感を打ち出す。
また禿頭は醜さだけでなく「老い」も意味するので、現代社会における激烈な競争とも関連してしまう。ホワイトカラーの男性は自分の頭髪が薄くなった時に、最初に考えることは「醜くなってしまった」ではなく、「転職のために面談しても、もはや若くないと思われて採用されるは難しい」かもしれない。
脱毛に悩む人がたどり着くべき「正解」は結局のところ、かつらという「物理的手段」と、現実をそのまま受け入れる「精神的手段」の併合なのだろうか。(翻訳・編集/如月隼人)











