中国のSNS・小紅書(RED)で、中国の家電に詳しいインフルエンサーの男性による「かつて神格化されていた日本の職人精神(匠の精神)――その本質を見抜いた時」との投稿文が注目を集めている。

男性は、成田空港で昨年、カシオの腕時計G-SHOCK(ジーショック)を購入した友人のエピソードを紹介した。

その友人は購入した時計のベルトが少し長かったため、カウンターで調整を依頼。すると、「15分ほどかかる」と言われた。時計を預けたものの搭乗時間が迫ってきたため何度か催促したが、店員は「ベルトの取り外しは傷を付けないように慎重に行う必要があるから」と説明した。幸い伝えられた通り15分で作業が完了して飛行機に間に合ったという。

しかし、上海に戻ってからまだ少し大きいことに気付き、大丸百貨店のカウンターに持って行って事情を説明すると、カウンターの(中国人の)店員がピンを1本取り出してカチカチと手際よく作業し、1分もかからずに調整を完了したという。男性は「これがみんなが日ごろから持ち上げている『日本の職人精神』なのか。家電も『日本製でなければ買わない』などと言われるが、そもそも、この職人精神とは一体何なのか?」と疑問を投げ掛けた。

その上で、上記の時計のベルト調整について、中国の朝市で時計修理を行っているベテランの修理工に聞いたところ「そんなの慣れた職人なら10秒でできる」と話したことを紹介。「つまり日本での15分は技術の問題ではなく非効率なだけ。これを『職人精神』と呼ぶのか。むしろ、決まった型を守るだけで改善しようとしない姿勢ではないか」と指摘した。

また、別の同僚の話として、5年前に1万元(約22万円)以上する日本製の洗濯機を購入し、当初は動作も静かで節水もできるということで「まさに職人精神の結晶だ」と感心していたものの、使ってみると洗濯に長時間かかる上に汚れも思ったように落ちないという状況だったと説明。

「一方で、国産の洗濯機は価格は1000~2000元(約2万2000~4万4000円)台のものでも洗濯はスピーディーで汚れもしっかり落ちる。その上、乾燥機能やダニ除去機能も付いている」とし、「技術とは本来このように、使う人の不満を常に解決し続けることを言うのではないか。これまで持ち上げられてきた日本の職人精神を、そろそろ冷静に見直す時期なのかもしれない」と論じた。

男性は、「今でも家電は日本製が良いと思い込んでいる人がいるが、実際、現在の国産家電は技術革新と実用性の面ですでに日本製を大きく上回っている」と主張。「例えば食洗機。日本製は容量が小さく、洗浄に時間がかかるが、国産は大容量で、高温洗浄、乾燥、除菌まで一度で完了する。エアコンもそうだ。日本製はいまだに静音性を売りにしているが、国産はすでに新鮮な空気を取り込む機能や、自動洗浄機能、AI温度制御機能を搭載している」と強調した。

そして、「経験上、家電を購入する際はむやみに舶来信仰に走らない方がいい。やれ日本の職人精神だの、やれドイツの厳格な品質管理だのと言われるが、その多くはマーケティング上の売り文句に過ぎない」とし、「本来見るべきは実用性とコスパ、アフターサービスなのだ」と訴えた。

この投稿に中国のネットユーザーからは「個人的な体験から言って、多くの国の家電の品質はすでに日本製を上回っている」「日本人は仕事の手抜きにおいて世界一。4人の作業員が3枚のポスターを貼るのに2時間もかけていた」「(日本は)小っちゃいことに1週間かけて職人精神と言われ、(中国は)1日で仕上げると手抜きと言われる」「日本は高度成長期には職人精神がどうとか一切言っていなかったのに、バブルがはじけて十数年後に突然、職人がどうこうと言い出した。

つまりそういうこと(無駄に時間をかけて良いものに見せているだけ)」といった声が上がった。

また、「うちの家電は基本的に(中国ブランドの)ハイアールだけど、品質はすごく良いし便利。両親の家の冷蔵庫も20年以上問題なく使えてる。日本製の鍋なんかすごく質が悪い」「国産品が進歩したことが主な要因。もし国産品が進歩していなければ、日本の職人精神はまだ人々の心の中で神話になっていただろう」といった声も。

一方で、「また『勝った』な(※自分が優位にあると都合よく解釈することに対する皮肉)」「そうそう。『効率が低い』からこそノーベル賞が取れるんだ」「質を放っておいて効率だけを語るのはひどいと思う」「気持ちは国産を使いたいけど、やっぱり実際に使うことを考えると輸入品」「2020年以降に買ったシャオミ(小米)の製品は、今では使えるものは一つとしてない」「公務員の仕事の効率を日本と比べたら、すぐにわが国の方が『職人精神がある』ということになるだろうな(※中国の公務員の仕事の効率の悪さを皮肉っている)」といった意見も散見された。

このほか、「他は知らないけど、20年あまり前の日本のエアコンは本当に質が良かったな」「当時、日本製の輸入家電を買った人は、みんなその品質に納得していた」「印象に残ってるのは高校時代にクラスメイトが持ってきたソニーのウオークマン。本体はテープよりほんの少し大きいくらいだったけど、作りがしっかりしていて音質も電池の持ちも良く、僕たちが持っていたものとは比べ物にならないほど良かった」と、かつての日本製品は文句なしに高品質だったとする声や、「他者を貶めることは、自らを成長させることにならない」「職人精神は良いものだ。そもそも、職人精神は日本人に特有のものではない。私は医療業界で働いているけど、患者さんが気に留めないところまで配慮するのも職人精神と言える。日本人を批判し、国産品を持ち上げるために、職人精神を貶めるべきではないと思う」とのコメントも見られた。

(翻訳・編集/北田)

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