仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は29日、「赤ちゃんの粉ミルク:私たちはなぜ“利益優先、食品安全軽視”の中国に依存することになったのか」との記事を掲載した。
記事によると、乳児用粉ミルクのリコールが相次ぎ、食品大手各社がドミノ倒しのように打撃を受けている。
問題となっているのは、粉ミルクに添加されているアラキドン酸(ARA)から「セレウリド」と呼ばれる細菌毒素が検出されたことだ。この毒素は下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす可能性があり、フランスのアンジェとボルドーで乳児2人が死亡した事例を受け、刑事捜査が開始された。当初、汚染源となった供給業者は明らかにされず、フランス当局は「原料はオランダ企業が販売したものだが中国産だ」と説明した。
その後、消費者権利保護団体フードウォッチが、原料の生産元が中国・武漢のCabio Biotech(嘉必優生物技術股份有限公司)であると指摘した。同社は、今回影響を受けたすべての企業に共通する取引先だといい、乳児栄養分野およびアラキドン酸の生産の世界的大手だ。アラキドン酸はオメガ6系の多価不飽和脂肪酸で、脳の発達に不可欠とされることから、乳児用粉ミルクに添加されている。
原料の90%は中国で生産
記事によると、スイスの経済学者フレデリック・グロス氏は「世界のアラキドン酸生産量の90%が中国に集中しており、その中でCabio Biotechが主導的な地位を占めている」とし、「問題は、これほど重要な乳児用粉ミルクのサプライチェーンが、なぜ一つの供給業者の独占状態に陥り、世界的な危機を招くまでになったのかという点だ」と指摘した。
記事はその答えとして、製品自体の特性に言及。「メーカーは母乳の天然成分に可能な限り近づけようとしている」とした上で、食品経済学者のブルーノ・パルマンティエ(Bruno Parmentier)氏の言葉として、「乳児用粉ミルクほど高度に加工された食品はない。これはハイテク製品だ」と説明した。
そして、「無菌の実験室で、メーカーは粉ミルクにさまざまな成分を添加する。
中国の圧倒的な生産量と価格
記事は、「ネスレ、ダノン、ラクタリス、あるいは米国のカーギルといった西側の大手グループと取引する供給業者は、食品安全当局からの許可を取得する必要がある。Cabio Biotechも例外ではなく、同社はこれまで業界では信頼できる供給業者と見なされてきた。大量生産が可能で価格の安いオメガ6製品は、高い需要を集めていた」と説明した。
一方、グロス氏は「これは過度な依存の典型例だ」とし、「自国で低コストで生産できないという理由で、生産を海外に集中させてきた。製品コストに占める割合が1%未満の原料については、通常、企業は供給の多様化を軽視しがちになる」と指摘した。
記事によると、アラキドン酸は当初、欧州の企業が生産していたが、その後、Cabio Techが台頭した。08年の毒粉ミルク事件以降、中国政府は生産の規範化のため巨額の資金をインフラ整備に投じてきた。アジア市場の旺盛な需要や、安価な原材料とエネルギー供給により、アラキドン酸を含む一部原料の生産コストを大幅に低下させていた。(翻訳・編集/北田)











