2026年2月1日、第一財経は、日本政府が「造船能力倍増戦略」を掲げ、官民一体で造船業の復権に乗り出した背景と展望について報じた。

記事は、かつて世界シェアの5割を握った日本の造船業が、現在は約13%にまで低下し、中国(71%)に水をあけられ韓国(14%)にも抜かれている現状を「厳冬」と表現した。

そして、日本政府が昨年11月に決定した21兆3000億円規模の総合経済対策において、造船業を半導体や人工知能(AI)と並ぶ「戦略分野」に指定したと紹介。利益追求よりも生存確保を最優先とする「危機管理投資の典型例」と位置づけている点に触れ、日本側の「戦略的焦燥」が表れていると指摘した。

その上で、国土交通省などが策定した「造船業再生ロードマップ」に基づき、官民で約1兆円を投じて、35年までに国内建造量を現在の907万総トンから1800万総トンへ引き上げる「倍増戦略」が始動し、26年からAI活用による自動化を進め、29年からは老朽化したドックやクレーンの更新を行い、32年から本格的な増産体制に入るという3段階の工程が描かれていると解説した。

また、目標達成の鍵となる業界再編について、今治造船がJMU(ジャパン マリンユナイテッド)への出資比率を60%に引き上げて経営権を掌握し、世界4位の造船グループが誕生したことに言及。三菱重工業などと設立した設計新会社「Miles」や、海運大手・鉄鋼大手をも巻き込んだ「オールジャパン」体制でのサプライチェーン統合が進んでいると紹介した。

さらに、技術面では50年の脱炭素目標を見据え、アンモニアや水素などを燃料とするゼロエミッション船の開発で「後発の優位性」を狙っていると分析している。

その一方で、最大の懸念材料として深刻な人手不足を挙げ、静岡県の老舗造船会社社長が「人手不足と設備老朽化で工期が3~4年遅れている」と悲鳴を上げている実情や、30年に日本国内でIT人材が79万人不足するというデータを提示し、外国人材の受け入れ拡大が急務であると論じた。

記事は最後に、この戦略には「経済安全保障」と「日米同盟の深化」という意図も含まれていると指摘。米国の商船建造能力の衰退を受け、昨年10月のトランプ大統領訪日時に「造船協力覚書」が締結されたことに触れ、日本の技術で米海軍艦艇の維持補修や軍民両用技術を支える枠組みが構築されたと伝えた。

そして、造船業の復権は関連産業への波及効果が大きいものの、長らく低迷していた日本が市場の信頼を取り戻せるか、その道のりは険しいと結んでいる。(編集・翻訳/川尻)

編集部おすすめ