2026年2月1日、中国メディアの界面新聞は激しい価格競争を繰り広げる中国の電気自動車(EV)メーカーが材料費と半導体価格の急騰による「コストの嵐」に直面していると報じた。

記事は、今年初頭からの供給網の混乱により、中型スマートEV1台当たりの製造コストが4000~7000元(約8万8000~15万4000円)も上昇していると紹介。

背景には行政による購入支援策の終了や税制変更といった政策要因があるとした。

また、政策以上に深刻な影響を与えているのが人工知能(AI)の爆発的普及に伴う半導体メモリチップの需要増大だと指摘。データセンターやAI企業が膨大な資金力で生産枠を占有する中、自動車業界の交渉力は限定的で、チップ価格は25年末比で約3倍にまで高騰していると伝えた。

そして、1台当たりのメモリ関連コストだけで1300元(約2万9000円)増えている実情に触れ、蔚来汽車(NIO)の李斌(リー・ビン)CEOが「メモリの値上がり幅は常軌を逸している」と危機感を吐露したことを紹介。調査会社の予測によると、メモリ価格の高騰傾向は4~6月まで続く見込みだとした。

さらに、ハイテク部品だけでなく、車両の軽量化に欠かせないアルミニウムが約20年ぶりの高値を記録し、モーターや高圧ワイヤーハーネスなど重要部品に用いられる銅の価格も高騰サイクル突入の兆しを見せていると指摘。企業内部でのコスト吸収はすでに限界に達したというサプライヤーの声を紹介した。

記事は、多重的な原因による深刻なコスト増の一方で、需要の回復が鈍い現在の市場環境では販売価格への転嫁が極めて困難だとした上で、各メーカーが「値上げすればシェアを奪われる」というジレンマに陥る中、値下げや優遇策による販売競争が止まらない状況だという専門家の意見を取り上げた。

また、コスト増のしわ寄せはサプライチェーンの末端に向かっており、一部の部品メーカーでは工場の稼働を維持するためだけに原価割れで受注するケースも出始めていると紹介した。資金力の弱い企業から順にキャッシュフローが枯渇し、業界全体が加速的な淘汰の段階に入っていると評した。

記事はEV業界の現状について、企業に対する過酷な「ストレステスト」だと形容。高コストの荒波を乗り越え、生存競争に勝つためには、単なる販売台数や技術力以上に、冷徹なコスト管理能力と強固なキャッシュフローがますます重要になると予測した。

(編集・翻訳/川尻)

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