2026年2月4日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国の2025年の貿易黒字が過去最大の1兆2000億ドル(約190兆円)を記録する中で、米中間で為替をめぐる摩擦が再燃しているとする、仏紙ル・モンドの3日付報道を伝えた。

記事は同紙の報道として、米財務省が1月29日に発表した報告書の中で、人民元レートがマクロ経済のファンダメンタルズと整合していないと指摘し、中国当局に対して迅速かつ秩序ある人民元高を容認するよう求めたことを紹介した。

そして、この指摘から2日後の31日に、中国共産党の理論誌「求是」が習近平(シー・ジンピン)国家主席の過去の演説を掲載したことに言及。この演説の中で習氏が「金融強国」の条件として、国際貿易や投資で広く使用され、世界の準備通貨としての地位を備えた「強い通貨」の保有を掲げていたことを挙げ、米側の圧力に対抗する姿勢を示唆するものだと評している。

その上で、人民元の為替水準について、ゴールドマン・サックスのエコノミストが昨年12月時点で「約25%過小評価されている」と分析し、国際通貨基金(IMF)も同月に人民元の安さに警告を発したことを指摘。対ユーロでは22年7月比で22%下落し、対ドルでも約9%安くなったとしたほか、インフレ調整後の実質実効為替レートでは主要通貨バスケットに対し約15%も価値が目減りしているとの英国人専門家の分析を伝えた。

また、この割安な人民元が欧州の産業界に深刻な打撃を与えており、EUの対中輸出が国内総生産(GDP)比1.5%(15~23年平均)から25年には1%余りへ低下した一方、中国の対EU輸出は同3%近くまで急増したことを紹介。自動車や高級ブランド、化学、飲料などの関連セクターで欧州企業の株価下落が顕著になっているとするストラテジストの見解を取り上げた。

記事によると、同紙は一方で、人民元相場が中国人民銀行による毎朝の中間値設定や国営銀行を通じた介入により厳格に管理され、人民元が世界第2位の経済規模を持ちながらも、外貨準備高のシェアでは1.93%(世界6位)にとどまっているという構造的な矛盾を生んでいると指摘した。

今後の展望については、中国が「人民元の国際化」によるドル依存脱却を推進する一方で、輸出競争力の維持という二律背反の課題に直面していると分析。米中双方が自国通貨安を望む中で、「二つの通貨が同時に安くなることはあり得ない」とし、為替問題が両国関係の新たな摩擦点になることは避けられないとの見方を示した。(編集・翻訳/川尻)

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