2026年2月9日、中国のポータルサイト・捜狐に「名探偵コナン」をめぐる騒動の後遺症が表面化し、解説動画を制作してきた投稿者たちにも撤退の動きが見られ始めているとする記事が掲載された。

騒動の発端は「名探偵コナン」テレビアニメ放送30周年と「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」10周年を記念したコラボだった。

「ヒロアカ」は過去に登場した志賀丸太(しがまるた)というキャラクター名が旧日本軍731部隊の被験者を連想させるとして中国で炎上した経緯があり、その影響で今回「名探偵コナン」にも批判が及んでいる。

記事は、「これまでの議論は『コラボで炎上』『イベント出禁』『過去作品を蒸し返される』といった段階にとどまっていたが、今回影響を受けているのは作品そのものだけではない。現在は騒動の余波が『名探偵コナン』を題材に長年コンテンツを発信してきた投稿者たちにまで及び始めている」と説明した。

そして、「筆者が継続的に視聴してきた『西瓜説柯南』も、実は数カ月前に一度チャンネル名を変更している。もともとは『名探偵コナン』の事件解説に特化しており、単なるあらすじの読み上げにとどまらず、推理構成や犯罪動機の分析に重点を置く独自のスタイルを持ち、多くの解説系チャンネルの中でも際立った存在であった。同チャンネルの最新動画を確認すると、すでに『金田一少年の事件簿』関連の内容を扱い始めていた。表面的には、これは通常の方向転換やコンテンツ拡張と見ることもできる。しかし、現在の中国の世論を踏まえれば、この転向は極めて現実的な判断であり、『名探偵コナン』を扱い続けること自体のリスクが高まりつつあることを示している」と論じた。

また、「一般視聴者にとって、特定の作品を見るかどうかは感情的な選択に過ぎないが、コンテンツ制作者である投稿者にとって題材がアルゴリズムによる制限を受けやすいか、削除対象になりやすいか、アカウント自体に『リスクタグ』が付けられる可能性があるかどうかは死活問題だ。ある作品が頻繁に論争の渦中に置かれるようになると、その是非にかかわらず、プラットフォームとコンテンツ制作者は本能的に慎重な姿勢を取るようになる。これは現実環境に適応するための合理的な反応だろう」と評した。

さらに、「時間軸を少し巻き戻せば、こうした流れは決して突発的なものではないことが分かる。

『名探偵コナン』のコラボが中国の世論の反発を招いたことを皮切りに、各地のイベントで同作の関連コスプレやグッズ持ち込みを禁止するまでに至った。これは、同作が『高リスク』と見なされ始めているというシグナルが継続的に発せられてきたことを意味する」と指摘。「ネットユーザーによって過去の論争が次々と掘り起こされ『名探偵コナン』の原作者・青山剛昌氏の発言や、劇場版の細かな内容までが議論の対象となり、もはや単なる娯楽作品ではなくなっている。ただ事実としては、同作の全面禁止や配信停止には至っておらず、主要プラットフォームでは現在も視聴が可能であり、関連グッズも販売され続けている」とした。

記事は、「それでもなお、コンテンツ制作者たちが自己防衛のために題材を変更し、視聴者がリスク回避のために距離を取っているのは事実である。『名探偵コナン』の物語そのものが急激に劣化したわけではない。投稿者が題材を変えるのは『名探偵コナン』が嫌いになったからではない。ファンがコスプレを控えるのも、キャラクターへの愛が冷めたからではない。創作と表現の余地が、徐々に、しかし確実に圧縮されてきた結果なのである」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

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