2026年2月10日、中国メディア・紅星新聞は広西チワン族自治区北海市の潿洲島海域で観光客に人気の高い野生のクジラが漁船と衝突して負傷したことを報じた。
記事は、2018年からの継続的な調査によって70頭以上が確認されるなど、潿洲島海域がニタリクジラの重要な生息地となっていると紹介。国家1級保護野生動物にも指定されている希少なクジラを一目見ようと多くの観光客が訪れ、昨年には約2億3000万元(約50億円)もの観光収入をもたらす一大産業へと成長したことを伝えた。
その一方で、過熱するブームの裏で船舶によるかく乱や衝突のリスクが高まっており、以前から懸念が指摘されていた状況が実際に起きたことを紹介した。
記事によると、現地で「刀疤哥(刀傷の兄貴)」という愛称で親しまれる人気クジラが7日に悲劇に見舞われた。「刀疤哥」は過去にスクリューによる古傷を負っていたことからその名が付けられ、人懐っこい性格で頻繁に海面に姿を現すため、観光客の間で最も識別しやすいクジラとして知られていた。
現場に居合わせた観光客の小莫(シャオモー)さんは、周囲の観鯨船がエンジンをアイドリング状態や停止状態にしてクジラの出現を静かに待っている中、貨物を積載した一隻の漁船が減速することなくエリアに進入してきたと証言。「刀疤哥」が潮を吹いた直後、漁船がそのまま直進して背中に衝突し、「刀疤哥」はそのまま泳ぎ去っていったものの、新たに長い傷を負ったと説明した。
記事は、専門家が「クジラは体が巨大であるため、一度外傷を負うと人間による治療や介入は極めて困難だ」と指摘したことを紹介。傷口が大きい場合は致命的な感染症を引き起こすリスクが高く、最悪の場合、死亡してもそのまま海底に沈んでしまい発見されない可能性もあるとの見解を示したことを伝えた。
また、現地当局はガイドラインで「クジラから300メートル以内では時速約9キロ以下に減速」「100メートル以内では停船」といった厳格なルールを定めているものの、今回の漁船のように一般船舶が航行中に十分な注意を払わず、規定が形骸化している実態も浮き彫りとなったと指摘。中国中央テレビ(CCTV)が2日、無秩序な船舶の接近がクジラにストレスを与えていると警告していた矢先の出来事だったとした。
「刀疤哥」は衝突後に海中に潜ったまま姿を消し、その後の行方が分からなくなっているという。記事は、ネット上では人気者の身を案じる声と共に、保護と観光の両立を巡る議論が再燃したことを伝えた。(編集・翻訳/川尻)
— 中国動画 (@RC00547555) February 11, 2026











