中国の中央農村工作会議が2025年末に開かれ、26年の「三農」(農業・農村・農民)政策の基本方針が示された。今回の会議で、例年と比べて特に強調されたのは「因地制宜(地域の実情を踏まえて進める)」という考え方だ。
中国通信社(CNS)によると、昨年10月の共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で採択された「第15次五か年計画(十五五)」(26~30年)でも、農村振興は一律の方法ではなく、地域ごとの条件に応じて段階的かつ秩序立てて進めるべきだと明記されていた。中国の三農政策は全国一律ではなく、地域差を前提にしたきめ細かな施策へと踏み込んでいる。
中国社会科学院農村発展研究所の研究員・李国祥氏は「中国は国土が広く、自然条件や発展段階、直面する課題が地域ごとに大きく異なる。これまでは三農政策を全国一律に進める色合いが強かったが、今後は国の共通目標を踏まえつつ、地域の条件に応じて、類型別・段階的に進める必要がある」と語った。
李氏は「農民自身が納得し、暮らしの中で効果を実感できることが何より重要だ。そのためには地方政府が実施方法を工夫し、他地域の成功例をそのまま真似(まね)するようなやり方は避けなければならない」と述べた。
CNSは「実際、これまで一部の地域では都市型の開発モデルを農村にそのまま当てはめ、大規模な建て替えや再開発を進めた結果、どの村も似たような景観になる現象が起きた。こうした画一化は農民の実際の生活ニーズとかけ離れた『見た目重視』の事業を生む原因にもなった」と報道。「今回、当局が『因地制宜』を前提条件として打ち出した背景には、こうした過去の反省がある」とした。
李氏によると、具体的には「例えば、伝統的な集落や歴史ある村落では開発よりも保護を優先し、文化的価値を守りながらどう発展させるかを考える必要がある。一方、空き家が多く人口が減少している村では、統合や再編といった選択肢も現実的だ。
さら李氏は「特に農業技術による生産力向上を進めるには、画一的な技術を全国に当てはめるのではなく、地域ごとに適した方法を選ぶことが重要だ」と言及。「黄土高原に水郷地帯の農業モデルをそのまま導入しても効果は上がらない。それぞれの土地に合った技術を見極めてこそ、現場に根付き、実際の成果につながる」と説明した。
最後にCNSは「それぞれの土地が持ち味を生かし、各地の農村が強みを伸ばしていく。農業が強く、農村が美しく、農民が豊かになるという構想は広大な農村の現場で少しずつ現実のものとなっていくだろう」と展望した。(編集/日向)











