2026年2月19日、香港メディア・香港01は、上海交通大学のチームが世界初となる「推理過程を追跡可能な」稀少疾患人工知能(AI)診断システム「DeepRare」の開発に成功し、国際科学誌「ネイチャー」に成果を発表したと報じた。

記事は、稀少疾患の診断が長年にわたり極めて困難な現状の中、患者が複数の医療機関をたらい回しにされながらも病因を特定できないケースが多いと紹介。

従来の医療AIは診断結果を提示できても理由が説明されず、臨床医が完全に信頼することは難しかったと伝えた。

その上で、DeepRareは診断のたびに完全で追跡可能な「証拠の連鎖(エビデンスチェーン)」を提示する仕組みを持っており、臨床医が診断根拠を段階的に理解し、安心して使用できると説明した。

また、世界トップクラスの医学知識データベースや実症例を統合し、人間の医師の臨床思考をシミュレートしているため、診断仮説の提起から証拠の収集・検証、自己修正を繰り返しながら最終結論を導き出せると解説した。

そして、遺伝子検査データを用いない臨床症状のみでの初回診断精度は57.18%に達し、従来の国際的な最優秀モデルを約24ポイント上回ったことに言及。遺伝子データと組み合わせた場合、診断精度は70%を超えることを伝えた。

記事は、この結果が、遺伝子検査設備を持たない地方病院や農村部での初期スクリーニングを可能にするという実用的な意義を持つと強調した。

さらに、DeepRareがすでに研究段階を超えて医療現場への実装が進んでおり、2025年7月に開設されたオンライン診断プラットフォームには半年間で世界600以上の医療機関が登録したと紹介。国内トップクラスの総合病院(三甲病院)から欧米の主要研究機関まで幅広い利用者を抱えており、稀少疾患の見逃しリスクが大幅に低減されることが期待されていると伝えた。

記事はこのほか、開発を主導した孫錕(スン・クン)教授が今後の展望について、世界規模の稀少疾患診療アライアンスを発足させ、今後半年以内に2万例の実症例を用いてシステムをさらに検証・最適化する計画を明かし、より多くの患者の早期診断・早期治療を目指す姿勢を示したことを紹介している。(編集・翻訳/川尻)

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