中国人ジャーナリストの胡錫進氏は27日、各国がイランに滞在する自国民に向けて発表した避難指示や米国などの最近の動きから、米国は近日中にイランを軍事攻撃すると論じる文章を発表した。胡氏はさらに、トランプ米大統領のこれまでの言動などから、米軍のイラン攻撃はすでに目標が不明確になっているが、それでもイランと戦わざるをえない状況と指摘した。
中国外交部は27日、自国民に向けて当面はイランへ渡航しないよう求め、現地に滞在している中国人には安全を確保し、速やかに撤退するよう求めた。これはイラン情勢がすでに非常に危急であることのシグナルだ。
中国はイランの友好国であり、友好国は一般的に自国民を軽々しく撤退させることをしない。情勢が非常に緊迫している状況でも、通常は先頭を切って撤退させることはない。これは国際社会のある種の「暗黙の規則」だ。その背景には、真に危険になった場合にも滞在国の協力を得られ、速やかに撤退できるという事情もある。逆に、敵対国は真っ先に自国民を撤退させる。なぜなら、開戦が間近に迫ったり実際に戦いが始まったりした場合、自国民の撤退に滞在国の協力が得られなくなり、極端な場合には人質として拘束される可能性もあるからだ。そのため、米国がどこかを攻撃しようとする際、西側諸国は「逃げ出す」のが最も早い。
現在までに、中国以外にオーストラリア、ドイツ、スウェーデン、ポーランド、韓国、セルビアなど20あまりの国が自国民に向けて撤退を指示するか、あるいは撤退を開始した。ただし、ロシアなど複数の国は今も、自国民のイランからの撤退を発表していない。
米国とイランは26日にジュネーブで改めて交渉を行った。多少の進展はあったようだが、合意には至らなかった。双方は1週間以内に改めて交渉を行う可能性があるが、衝突回避の決定的な成果が得られるとの見方は少ない。
ニューヨーク・タイムズは、「注目すべきは、米国の2人の交渉代表であるウィトコフ氏とクシュナー氏が、交渉の状況について沈黙を保っており、ホワイトハウスもコメントを拒否していることだ」と報じた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、「鍵となる問題について、双方には依然として巨大な隔たりがある」と指摘した。
分析によれば、もし米国がイランに核の放棄のみを求めるのなら、合意に達する可能性は非常に高い。しかし米国側が、イランに弾道ミサイルを放棄させ、中東地域の反イスラエル勢力との連絡を断たせることに固執しているため、イランの受け入れは極めて困難だ。弾道ミサイルはイランが現有する唯一の切り札であり、中東の反イスラエル勢力を支持することは、イランのイデオロギーの旗印だからだ。
トランプは19日の時点で、今後10日から15日以内にイランとの交渉を継続するか、あるいは戦争行動を命じるかを決定すると表明していた。筆者の分析では、米国とイランが26日に合意に達しなかったことで、戦争勃発のリスクが極めて高まった。このことで、中国がイランからの自国民の撤退を決定した可能性が非常に高い。
また、中国が外交ルートを通じて戦争が近づいているとの情報を得た可能性もある。
米国国務省は同日、イスラエルに滞在する自国の外交関係者に対して、緊急事態への対応要員を除いて、職員およびその家族が同国から撤退するよう求めた。報道によると米国のマイク・ハッカビー駐イスラエル大使は同日、イスラエルを離れる者に対して「必ず、今日離れよ」と告げた。在イスラエル中国大使館は同じ日に、イスラエルに滞在する中国人に対して、安全情勢の変化を密に監視し、強く警戒し続けるように注意喚起した。
しかし一方で、米国国内の世論は総じて対イラン開戦を支持しておらず、このことがトランプ大統領への圧力になっている。重要な点は、トランプ大統領が、何のためにイランと戦争するのか、きちんと説明していないことだ。しかも多くの人はトランプ大統領自身がこの問題においてやや混乱していると考えている。
トランプ大統領がイランを改めて軍事攻撃することを示唆したのは、2025年12月から2026年1月にイランで発生した反政府デモの際に、イラン当局がデモ参加者を銃撃して殺害したことがきっかけだった。ところがトランプ大統領はその後、イランに対して「核の除去」を求めるようになった。しかしトランプ大統領は、2025年6月の「ハンマー作戦」により、イランの核施設を徹底的に破壊したと宣言している。トランプ大統領はさらに、イランの弾道ミサイル問題を持ち出した。しかしイランの弾道ミサイルが脅かしているのはイスラエルであり、米国本土には到底届かない。
トランプ大統領は、目標が不明確でありながら戦わざるを得ないという矛盾した状況に自らを追いやった。米国のイランに対する戦争は、地政学の観点からしても、「かなり奇怪なサスペンス」の様相を呈している。(翻訳・編集/如月隼人)











