香港メディアの星島環球は2日、調査会社IDCがこのほど発表した、世界的なメモリ不足危機が2026年のPCおよびスマートフォン市場に及ぼす潜在的な影響に関する分析について伝えた。

IDCによると、25年後半にDRAMとNANDの価格上昇に関する懸念が高まると、PCとスマホの両方のカテゴリーのベンダーはこの問題に先手を打つため積極的に動き、出荷は25年第4四半期に大幅に増加し、この勢いは26年第1四半期も続いているが、26年第2四半期以降は平均販売価格の上昇に応じて数量需要が弱まるとみられる。

IDCは、PC市場について、26年の世界市場は11.3%減少する一方で、平均販売価格の上昇により売上高は1.6%増加すると予測している。スマホ市場はさらに厳しい状況で、26年の世界市場は12.9%減少し、売上高は0.5%の微減となると予測していて、力強く回復するのは28年になってからという見通しだ。

IDCは、メモリ供給の課題は26年を通して、そしておそらく27年まで続くと予想している。メモリ価格の上昇ペースは26年後半に鈍化すると予想しているが、価格は引き続き上昇して高止まりし、25年の価格水準には戻らないとみられる。人工知能(AI)インフラの需要急増と、DRAMおよびNAND容量に対する消費者向けデバイスのニーズとの競合は、依然として確固たるもので、それが不足を大幅に解消し危機の軌道を変えるとは考えられない。

IDCによると、購買力が高く、サプライヤーとのより強固な関係を築き、大量契約を締結できる企業は、高額ながらもより管理しやすい価格でメモリを確保できる有利な立場に立つとみられる。利益率の低い小規模ベンダーや地域ベンダーは、供給競争がますます厳しくなるだろう。26年には世界最大手のOEMが市場シェアを大きく伸ばすと予想される。

一部のOEMは、製品に搭載するDRAMとNANDの平均構成を削減することを選択するだろう。1年前には12GBのRAMと256GBのストレージを搭載して出荷されていたスマホが、同じ価格帯かそれ以下の価格で8GBのRAMと128GBのストレージを搭載して発売されるかもしれない。PCでも同様の動きが見られ、基本構成ではRAMとSSDの容量が大幅に削減される可能性がある。

両市場とも低価格帯の製品が大きな打撃を受けるとみられる。

低価格スマホやエントリーレベルのPCの利益率は極めて低いため、ベンダーには価格上昇を吸収する余地がほとんどない。

25年には150ドル(約2万3550円)未満のスマホが3億6000万台超出荷され、特にアフリカやインドなどの新興市場で大きな割合を占めた。メモリ価格の高騰によりこの価格帯のスマホが経済的に持続不可能になったため、業界は消費者がより低価格でより高性能なスマホを一貫して入手してきた10年にわたる傾向の逆転に直面している。その結果、市場規模が大幅に縮小し、価格に敏感な消費者はデバイスのライフサイクルを延長するか、普及が加速している手頃な価格の中古スマホに目を向けざるを得なくなる。新興市場の一部では、消費者がフィーチャーフォンに回帰し、スマホ普及率の上昇が反転する可能性さえある。

メモリミックスダウンの傾向は、AI PCカテゴリーにおいて特に懸念される。ローカルAIワークロードは本質的にメモリを大量に消費する。RAMの少ないシステムを出荷することは、今日のAI機能を制限するだけではない。これらのデバイスがローカルモデルを実行し、コンテキストウィンドウを管理し、意味のあるオンデバイスAIに要求されるデータスループットを処理する可能性を制限する。

IDCによると、関税の不確実性も新たなリスク要因となる。米政権は代替的な法的権限を用いて輸入品に一律10%の関税を課す措置に着手し、さらに15%への引き上げを目指している。これは、既に高騰しているメモリ価格により一層のコスト圧力をかけるもので、一部のコストは消費者に転嫁され、ベンダーやチャネルパートナーが負担するコストは利益率をさらに圧迫することになる。

IDCは結論として、26年はPCおよびスマホ市場にとって再び厳しい年になりそうだと指摘。深刻化するメモリ供給危機、積極的な前倒し販売、ユニット成長を抑制する平均販売価格の上昇、そして不安定な貿易政策が重なり、正確な予測は極めて困難になっていて、半導体サプライヤーからチャネルパートナーに至るまでバリューチェーン全体に関わる組織は持続的な混乱に備えなければならず、この構造的な変化は27年までデバイス市場の動向を決定づけることになるだろう。(翻訳・編集/柳川)

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