2026年3月5日、中国メディア・21世紀経済報道は、厦門大学中国エネルギー政策研究院の林伯強(リン・ボーチアン)院長による、イラン情勢が世界のエネルギー構造に与える影響を分析したコラムを掲載した。

記事は、2月28日に米国とイスラエルの連合軍がイランに軍事攻撃を行い、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡の封鎖を宣言したという経緯を紹介した。

そして、同海峡がペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ中東産油国の原油輸出の要衝として世界の石油輸送量の約20%を担うほか、カタールのLNG輸出のほぼ全量が通過しており、航行が妨げられれば供給の不確実性が原油価格を左右する決定的要因になると指摘した。

その上で、紛争激化の懸念からブレント原油は2025年7月以来の最高値を記録し、3月2日の市場開場後には一時13%近く急騰して1バレル82ドル(約1万2870円)を突破したことに言及。この変動は単なる投機ではなく、供給途絶の予測や航行リスクの上昇、保険コストの増加が重なった結果だと分析している。

記事はまた、影響が原油市場にとどまらず、天然ガスのスポット供給の逼迫(ひっぱく)や代替エネルギー価格の上昇も懸念されると指摘。地域ごとの影響の差異にも触れ、米国では原油高がエネルギー企業の収益に寄与する一方で国内インフレを加速させ、欧州ではLNG依存度の高さからエネルギーコストの変動が工業部門に速く波及し、アジアの主要輸入国では中東への依存度の高さから輸送リスクと製造業コストの上昇に直面しているとの見方を示した。

さらに、影響は短期的な価格変動にとどまらないとし、中長期的にはエネルギー輸入先の多元化や戦略石油備蓄の拡充といった安全保障インフラの強化が加速するほか、地政学リスクが自国の再生可能エネルギーの戦略的価値を高め、安全保障と脱炭素目標のバランスを見直した新たなエネルギー転換の道筋を模索する契機になると論じた。

記事は、世界のエネルギー構造が化石燃料を主体とする現状において、輸送経路の不確実性だけで価格変動が増幅され、世界貿易に影響を及ぼし得ることが今回改めて示されたと指摘。長期的な影響は紛争の継続期間や主要産油国の政策にかかっており、短期的な供給安定と長期的な構造転換のバランスが今後の焦点になると結論付けた。(編集・翻訳/川尻)

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