米国とイスラエルによるイラン空爆以降、中東で戦火が拡大して長期化し、韓国の産業界が「超緊張」状態、と韓国紙が報じた。中東産石油の供給やドル高によって実体経済が大きな影響を受けるためで、主要産業の自動車、石油化学、半導体、家電には動揺が走っている。

ハンギョレ新聞によると、米国のトランプ政権による高率の品目別関税の影響から脱し、今年の業績回復を期待していた自動車業界は、代替市場として力を注いでいた中東地域の需要が低迷するのではないかと緊張している様子だ。2023年に中東で38万5千台を販売した現代自動車・起亜は、昨年は41万4千台を販売し、2年で業績を7.5%も高めていた。

現代自動車グループは本格的な中東市場の攻略に向け、サウジアラビアのキング・サルマン自動車産業団地に年間5万台の電気自動車(EV)と内燃車を同時に生産できる生産施設(HMMME)を今年第4四半期の稼働を目指して建設中だった。

同施設は主要部品を韓国などの外部の生産拠点から調達して現地で組み立てる半組立(CKD)方式で運営される予定だったが、ホルムズ海峡の封鎖により、当面は部品の供給が困難になっている。業界関係者は「現代自動車のサウジ生産法人の年内稼働が不透明になっているため、中東事業戦略は全面的な再検討が避けられなくなった」と語った。

中国からの供給過剰と経営悪化を受けて構造改革を進めている石油化学業界は、直接的な打撃を被っている。麗川NCCは先ごろ、ホルムズ海峡の封鎖によるナフサ供給の遅延を理由に顧客企業への製品供給について「不可抗力」を宣言した。

政府と民間を合わせて約7カ月(約208日)分が備蓄されている原油とは異なり、ナフサは各企業が1~2カ月分しか保管していない。中東の状況が長期化して「産業の米」とも言われるエチレンの供給が途絶えると、ゴム、プラスチック、繊維などのナフサを基盤とする製品の生産も連鎖的に止まらざるを得ない。

人工知能(AI)特需を謳歌(おうか)している半導体業界は、中東発の供給網リスクに緊張している。半導体ウェハーの冷却に不可欠な原料であるヘリウムは全輸入量の64.7%をカタールに依存。ウエハー表面を削るエッチング工程で使用される臭素は97.5%がイスラエルから供給される。

韓国家電の人気が高い中東市場での需要減少も懸念される。電子業界の関係者は「サムスンはサウジでテレビなどの家電製品の市場シェアが1位となっており、LG電子も中東やアフリカなどの新興市場の橋頭堡(きょうとうほ)としてサウジを攻略しつつある」として、「情勢不安が長期化すると、大きな被害を受ける」と述べた。(編集/日向)

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