中国の幼稚園で保護者向けに提供される監視カメラ映像の視聴サービスが議論を呼んでいる。中国メディアの中国新聞週刊が15日に伝えた。
記事によると、中国では幼稚園内の様子をスマートフォンで確認できる監視カメラのリアルタイム視聴サービスが広がっている。保護者は第三者プラットフォームに会費を支払うことで子どもの様子を確認できる。料金は1学期につき200~300元(約4600~6900円)程度が一般的だという。
アカウントは共有できない場合も多く、母親のほかに父親や祖父母も視聴したい場合は、それぞれ別途費用が必要になるケースもある。こうしたサービスは、教師の不適切な指導を抑制できるとして、民間の幼稚園の園児募集の宣伝材料にもなっている。
一方で、子どもや教師のプライバシーへの懸念も指摘されている。現行の制度では、幼稚園は公共活動エリアへの監視カメラ設置は義務付けられているものの、保護者に映像を公開できるか、またその範囲はどこまでかなどについては明確な規定がない。公立幼稚園では通常、トラブルや事故が起きた場合に限り、映像を確認できることになっている。
また、幼稚園が直接、保護者から費用を徴収することは認められていないが、第三者企業がサービスを提供し、園が利益を得ていない場合は市場行為として許容されることが多い。
各地の教育当局の対応も分かれており、吉林省長春市は私的空間への設置や無関係者への公開は禁止し、プライバシー侵害の疑いがあれば調査するとしている。山西省晋中市も同様の見解だ。一方、山東省日照市は、リアルタイム公開そのものについて、教師や子どもの個人情報保護の観点から慎重な姿勢を示している。
こうしたサービスは拡大を続けているが、それが本当に子どもを守ることにつがなるかについては議論がある。各地の教育当局がプライバシーへの懸念を示す一方、多くの保護者は監視カメラの有無を幼稚園選びの基準にしている。背景には近年、幼稚園での虐待や体罰が相次いで報じられていることがあり、「どんな教育を受けるかより、子どもがいじめられていないかを確認できることが大事」と考える保護者もいるという。
サービスを利用して日常的に映像を見ているという母親は、ある時、自分の子がクラスのほかの子に顔を引っかかれる場面を映像で目撃した。しかし、教師が現場ですぐに対応せず、保護者にも知らせなかったことに強い不満を抱いた。母親は映像があったことで事実を確認することができたとサービスを肯定的にとらえている。
一方で、別の保護者は「逆に映像があることで子どものささいな行動まで気になり、不安や(映っていないところへの)想像が膨らんでしまう」とその弊害を語っている。
映像が教師への過度な干渉を招くこともある。江蘇省南京市のある幼稚園では、監視カメラの映像を見た保護者から「うちの子に水を飲ませてほしい」「服を少し脱がせてほしい」といった連絡が頻繁に入り、対応が遅れると苦情を受けた。こうした状況により、1年足らずの間に教師が5回も交代したという。
江蘇第二師範学院の徐琳(シュー・リン)副教授は「映像を常時公開すると教師や子どもが常に見られる状態となり、保護者と園の関係が協力から『監督する側とされる側』へと変質する」と指摘。「子どもの安全確保は重要だが、信頼を築くには教員の質や施設管理の強化、保護者公開日や対話の充実といった仕組みこそが必要」との認識を示した。











