ドイツの日用品小売り大手ミュラーが中国市場への本格進出を決めました。同社は上海市浦東新区で地域本部と中国1号店を開設する計画で、3000万ドル(約47億8000万円)を投資します。

1号店は2026年第4四半期の開業を予定しており、今後5年間で中国国内に200~500店舗を展開する目標を掲げています。欧州で約1000店舗、年間売上高約50億ユーロ(約9160億円)を誇る同社にとって、アジア市場への本格参入の第一歩となります。

ミュラーは一般的なドラッグストアとは異なり、化粧品や香水、健康食品、家庭用品、マルチメディア商品など約18万8000品目を扱う「小型百貨店」に近い業態が特徴です。店舗面積は400~4500平方メートルと幅があり、店内を回遊しながら買い物を楽しむ「体験型」の売り場構成を強みとしてきました。この豊富な品ぞろえと高級化粧品を組み合わせたワンストップ型の購買体験が、欧州市場での競争力の源とされています。

しかし、中国市場ではこのモデルがそのまま通用するとは限りません。中国では電子商取引(EC)やライブコマース、SNSによる商品発見などが急速に発展しており、店舗での「探索型ショッピング」の価値が相対的に低下しているとみられています。商品発見はSNS、衝動買いはライブ配信、正規品の信頼性はECの公式旗艦店が担うなど、ミュラーが欧州で提供してきた機能の多くはすでにデジタルで代替されています。

さらにサプライチェーン面でも課題があります。ミュラーは欧州ではドイツ製商品の供給を強みに拡大してきましたが、中国で同様のモデルを維持する場合、欧州からの輸送コストが価格競争力に影響する可能性があります。

また、ブランド認知の問題もあります。ミュラーは中国でのオンライン展開やブランド浸透の実績がほとんどなく、多くの消費者にとっては未知のブランドです。

認知度が低い段階で急速な出店を進めれば、固定費負担が増大するリスクもあります。

ミュラーが中国で成功するかどうかは、浦東の1号店でどれだけ差別化された店舗体験を提供できるかにかかっているとの見方が出ています。欧州で培った「買い物体験」を中国の消費者にどのように価値として伝えられるかが、今後の事業展開の成否を左右することになりそうです。(提供/CGTN Japanese)

編集部おすすめ