2月の動画生成AI(人工知能)「Seedance2.0」の発表を契機に、中国映像業界におけるAI活用が急速に拡大している。映画やアニメ、ショートドラマといった多様なコンテンツがAI生成技術によって一気に登場し、「映像のAI時代」の到来を印象付けた。
こうした流れの中で注目を集めたのが、AIショートドラマ「霍去病」だ。「48時間・3000元(約6万9000円)で制作し、再生回数5億回を突破」という情報がネット上で拡散され、大きな話題となった。後に監督は、人件費が含まれていない点や制作チームが約20人規模であることを明かし、誇張を否定したものの、低コストかつ短期間で莫大な視聴数を記録したのは、紛れもなくAIがもたらした成果だ。
さらに3月18日には、中国の三大動画配信プラットフォームである愛奇芸(iQIYI)、騰訊視頻(テンセントビデオ)、優酷(YOUKU)が、コスト削減と制作効率の向上を目的にAI技術の導入を加速させていると報じられた。AIの活用により、従来は1話当たり数十万元(10万元は約230万円)規模だった出演費が数万元(1万元は約23万円)に抑えられ、制作期間も約10日から3日へと大幅に短縮されるという。また、デジタル資産として「永久利用」が可能である点も、制作側にとって大きな利点とされる。
コスト削減の観点から、すでに一部のプラットフォームでは新規プロジェクト数を制限する一方、制作会社に対してポストプロダクションや脇役の演出に至るまでAIの全面導入を促す動きも見られる。この流れを受け、26年夏から秋にかけて、完全AIによる長編ドラマが公開される見込みだ。
こうした変化は俳優業界にも大きな影響を及ぼしており、「脇役以下の役はAIに置き換える」という考え方も浮上している。作品の集客力を担うトップ俳優は当面代替が難しいものの、「主役は人間、脇役はAI」という出演体制が現実味を帯びつつある。この流れが進めば、6割を超える俳優が仕事を失う可能性があり、新人俳優の育成にも影響が及ぶとみられる。
しかし、AI導入に息巻いているプラットフォームとは反対に、視聴者の受け止め方は一様ではない。
実際、現段階では「俳優のAI置き換え」や「特定作品がAI導入によって大幅に延期された」といった情報の多くは業界内の臆測や一部の見解にとどまっている。現状はあくまで「コスト削減と効率化」を巡る試行段階にあり、今後の方向性には不確実性が残る。
専門家の間では、今後の映像業界は二極化が進むとの見方もある。すなわち、AIが主導する高効率・低コストの短編コンテンツと、人間の演技や物語性を重視した長編作品の共存だ。映像作品において、AIと人間の役割分担がどのように定着するのか、業界の変革は今後さらに注目される。(翻訳・編集/RR)











