韓国政府系シンクタンクの国家安保戦略研究院はこのほど公表した報告書で、北朝鮮がウクライナに侵攻したロシアへの派兵と軍需物資の輸出により、最大144憶ドル(約2兆3000億円)の収益を上げたとの分析を明らかにした。韓国・聯合ニュースは「国際社会による対北朝鮮制裁が無力化される」と伝えた。
北朝鮮はロシアが2022年2月に始めたウクライナ侵攻で、ベラルーシなどと共にロシア側にくみした数少ない国の一つ。24年6月にはロシアのプーチン大統領が訪朝し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と首脳会談行い、軍事や経済に関する「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。
この前後から、ロシアが北朝鮮製の短距離弾道ミサイル(KN-23)をウクライナに向けて使用するようになり、朝鮮人民軍の士官、弾道ミサイルに関連した軍人もウクライナの最前線であるドネツク州などに配置と報道されるようになった。
国家安保戦略研究院の報告書のよると、北朝鮮は本格的に派兵を開始したのは、24年10月。これまで4回にわたり戦闘兵や工兵ら2万人超を派遣したとされている。派兵前から銃弾や砲弾、ロケット砲、自走砲、弾道ミサイルなどの軍需物資をロシアに輸出していたことが衛星画像などで確認されている。
派兵されたのは精鋭部隊の「暴風軍団」とみられ、金正恩氏は最大10万人の兵士を派遣する用意があると提案。その見返りに北朝鮮はロシアの最新の軍事技術を得たい思惑があったとされる。
同研究院のイム・スホ責任研究委員によると、軍需物資の輸出と派兵で23年8月から25年12月までに北朝鮮が得た外貨は総額76億7000万~144億ドルと推計される。兵士の賃金や死亡補償金など派遣によって得られた直接の収益は総額6億2000万ドルで、現在の状況が続くなら派兵だけで毎年5億6000万ドルの収益を上げると予想される。
ただ、実際に北朝鮮が受け取ったのは推定収益の4.0~19.6%にすぎないとされる。イム氏は「確認された対価は肉眼や衛星で判別しやすい現物に限られる」とし、「大半は衛星で確認されにくい機微な軍事技術や関連する精密部品・素材などで受け取るか、今後受け取る予定である可能性が高い」と指摘した。
25年1月には実際にウクライナ軍によって北朝鮮軍兵士が捕虜となり、韓国国家情報院もこれを事実と確認しているものの、当初ロシアと北朝鮮は派兵の事実を公式には認めなかった。
露朝両国は同年4月下旬になって北朝鮮兵の参戦を認め、 北朝鮮国内でも6月30日、国営朝鮮中央テレビが平壌市内で開かれた露朝関連の行事で、金正恩氏が戦死した兵士のひつぎを国旗で覆う写真を報じた。(編集/日向)











