中国航天科技集団第八研究院第811研究所(811研究所)と南開大学の共同研究チームがこのほど、高エネルギー密度および低温対応電池向けのハイドロフルオロカーボン(HFC)電解液の開発に成功した。この技術により、既存のリチウム電池の航続性能が大幅に向上し、低温耐性も顕著に強化されるとみられている。

光明日報が伝えた。

リチウム電池の正極と負極をつなぐ重要な構成要素である電解液は、イオン伝導の役割を担う、いわば正極と負極を結ぶ「高速道路」のようなものだ。電池のエネルギー効率、動作安定性、温度適応性において極めて重要な役割を果たす。従来の電解質溶媒は酸素系および窒素系の配位子が主流で、リチウム塩の溶解性に優れる一方で、電荷の移動を制限するため、エネルギー密度のさらなる向上や低温下での性能維持が困難だった。現在、市場に流通しているリチウム電池は室温で約300ワット時(Wh)/キログラム(kg)のエネルギー密度を持つが、氷点下20度では150Wh/kg以下にまで急減してしまう。

研究チームは長年の技術開発を経て、フッ素がリチウム塩を溶解できないという課題を克服し、モノフルオロアルカンを含む新型電解液溶媒を合成した。これにより電解液の粘度が効果的に低減され、酸化安定性と低温でのイオン伝導率が向上し、高エネルギー密度リチウム電池の低温下での出力性能も向上した。その結果、リチウム電池のエネルギー密度は室温で700Wh/kg以上、氷点下50度でも約400Wh/kgを維持できるようになった。811研究所の李永研究員は、「同じ重量の電池であれば、室温での蓄電能力は2~3倍以上に向上し、電気自動車の航続距離を500~600キロメートルから1000キロメートル以上へ引き上げることが可能になる。さらに氷点下70度という極低温下でも正常に作動する」とした。

李研究員によると、この画期的な研究の応用可能性は極めて広い。ハイテク分野では、宇宙船などが極寒の深宇宙環境においてより信頼性の高いエネルギー供給を得られるほか、ドローンや各種スマートロボットの航続時間延長と搭載能力向上にも寄与する。

日常生活においても、次世代電気自動車やスマートフォン用電池の発展に向けた重要な障壁を取り除き、電気自動車の航続距離や低温環境下でのスマートフォン待機時間の飛躍的向上が期待される。電池の「蓄電能力への不安」や「温度適応への不安」を解消し、より高性能で安全な未来のエネルギーに無限の可能性をもたらすとしている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

編集部おすすめ