全身白の服を着た女性が家を訪ねて来て、「この間、雪山でキツネを助けたわよね?」と聞かれた男性が、「狐の精の恩返しだ!」と心の中で喜んでいると、なんとその女性は「私はあなたがキツネにあげた鴨料理の鴨よ!」と冷たく言い放った。そんな人工知能(AI)で生成された香港の映画会社ショウ・ブラザーズ風の武侠動画がここ数日、中国のソーシャルメディアで話題をさらっている。

中国新聞網が伝えた。

これらの作品は、「狐の精が恩返しにやって来る」というお決まりのパターンではなく、これまでならば「わき役」でしかなかったキツネにあげた鴨料理の「醤板鴨」や鶏、薪などが人間の姿になって、復讐するためにやって来るという意外なストーリー展開となっている。

恩返しのストーリーが復讐劇に、AIによるリメーク動画が話題さらう―中国

こうした「復讐の連続」という普通とは真逆のパターンが、ネットユーザーの笑いのツボにはまっている。そして、「核爆弾の復讐」や「豆汁(緑豆を原料にして、でんぷんを取り除いた上澄み液を発酵させたもの)の復讐」、「細菌の復讐」といった、さまざまなバージョンが次々とアップされ、あるプラットフォームでは関連動画の再生回数が10億回を超えた。

このような動画が盛り上がりを見せている背景には、AI技術が進歩して、動画を制作するハードルが低くなっていることが挙げられる。動画の多くは20世紀にショウ・ブラザーズが制作した武侠作品の世界を再現しており、くすみがかった画面の色合いは全体的に地味な雰囲気を醸し出しているものの、武侠作品独特のムードたっぷりで、AIが簡単にマスターできる「視覚の公式」となっている。

広西社会科学院・社会学研究所の姚華(ヤオ・ホア)所長は、「『白狐の恩返し』を『鴨の復讐』に変えてしまう若者は、型破りな発想で、定番のストーリーを解釈し、発言権を主役から奪って、わき役にスポットライトを当てている。鴨料理の鴨でも、登場して『復讐』する権利を得ている」との見方を示し、「こうしたユーモアや破天荒な発想は、若者が自分の気持ちを表現する手段にもなっている」と指摘した。

また、「AIを使ったリメーク版制作ラッシュにおいて、ユーザーは受動的に物語を見る消費者から物語のクリエーターに変わっている」という声もある。一般の人が、物語はどのように構成されているのか、お決まりのパターンが笑いのツボにはまるのはなぜかに注目するようになると、世の中の「笑い」はさらにレベルアップしていく。物語のロジックや認知の次元が変化しているのは、AI技術がもたらした視点の変化の結果だ。「次にやって来るのは誰なのか?」という質問の回答権は、全てのネットユーザーの手中にある。

(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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