2026年3月27日、台湾メディアの財訊双週刊は、エネルギー安全保障や人工知能(AI)による電力需要の急増を背景に、欧州や日本を含む世界各地で原子力発電が「国家安全保障」の核心として再評価され、復活の局面を迎えていると報じた。

記事は、3月に欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が国際原子力機関(IAEA)主催の会議で「欧州が原子力の比率を下げたのは戦略的な誤りだった」と表明し、関連技術への投資促進のため2億ユーロ(約368億円)の保証提供を発表したと紹介。

ロシア・ウクライナ戦争による天然ガス価格の高騰に続き、中東情勢の緊迫が原油価格を押し上げたことが、EUに方針転換を迫ったと分析した。

また、IAEAが11年の福島原発事故以降、21年に初めて原子力発電量の予測を上方修正して以来、5年連続で予測値を引き上げ続けていると指摘。今年は日本の柏崎刈羽原発など世界で約15基の原子炉が商業運転を開始する見通しで、総設備容量は12ギガワットを超え、過去30年で最高水準になると伝えた。

その上で、中国が新規設備容量で世界の半分を占め、小型モジュール炉の商用化にも乗り出すなど、原子力が地政学的な技術競争の色彩を帯びているとも紹介。台湾についても、AI時代の電力安定供給が課題となる中、専門家が「原発は出力が安定し長時間運転が可能なため、送電網の安定性を高める選択肢の一つだ」と述べたことを報じた。

記事は、ドイツの駐台代表が「エネルギー構成から原子力を排除したのは誤りだった」との見方を示し、エネルギー自立の重要性を訴えたことに触れた上で、頼清徳(ライ・チンダー)総統が原発再稼働に前向きな姿勢を示していることを紹介。エネルギー自立を国家安全保障と位置づける動きが世界的に広がっていると評した。(編集・翻訳/川尻)

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