2026年4月7日、シンガポール華字紙・聯合早報は、米国の人工知能(AI)大手のOpen AI、Anthropic、Googleが、中国企業による最先端AIモデルからの「蒸留」行為の阻止に向けて連携を始めたと報じた。
記事はまず、米ブルームバーグの報道を引用し、3社が23年にマイクロソフトと共同設立した非営利の業界団体「フロンティア・モデル・フォーラム(FMF)」を通じ、利用規約に違反する「敵対的蒸留」の検知に関する情報を共有していると紹介した。
そして、異例の連携の発端について、中国のDeepSeekが25年1月に発表した推論モデル「R1」が米国企業のモデルから不当に大量のデータを抽出して開発された疑いを受け、マイクロソフトとOpen AIが調査に着手したことにあると解説した。
その上で、Open AIがDeepSeekについて、同社や他の米先端研究所が開発した能力に「ただ乗り」し「窃取」しようとしていると非難する覚書を米連邦議会に提出したと指摘。アンソロピックも自社のAIモデル「Claude」を蒸留されて優位性を奪われたと批判しており、米当局者の試算では無許可の蒸留行為による利益損失が年間数十億ドル(数千億円)規模に達すると伝えた。
記事は蒸留技術について、既存の「教師」モデルを利用して新しい「生徒」モデルを訓練する手法であり、ゼロから開発するよりはるかに低コストで同等機能を再現できると解説。その低コスト性ゆえに、第三者が許可なく独自の成果を複製することも容易になっているとした。
また、米国のトップAI研究所が「外国の敵対勢力」がこの技術を悪用し、致命的な病原体の製造を防ぐといった安全対策を欠いたAIモデルを開発する恐れがあると警告していると紹介。単なる模倣の域を超えた安全保障上の脅威として深刻視されていると報じた。
記事は、米AI企業側は現行の反トラスト法の指針下でどこまで情報を共有できるのか確信を持てておらず、データ蒸留に関する情報共有は依然として限定的なため、米政府による明確な指針が求められているという専門家の見方を併せて伝えている。(編集・翻訳/川尻)











