台湾メディアの自由時報は9日、「豪州から朗報、中国のレアアース独占に亀裂」と題する記事を掲載した。
豪ライナス・レアアース社は先月19日、重要鉱物サマリウムの生産を開始したと発表した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社はすでにマレーシアでネオジムやプラセオジムといった軽希土類を10年以上にわたり生産している。近年は地政学的緊張の高まりを背景に各国が中国を除いたレアアース供給網の構築を競っており、同社もこれに応じようと積極的に取り組んでいる。昨年には商業供給が可能なジスプロシウムとテルビウムの生産にも成功した。
重希土類の拡充を発表した際、同社はサマリウムを優先製品に位置付けた。サマリウムは電子製品や航空宇宙分野の高性能磁石のほか、光学、触媒、医療用途でも需要が強いためだ。アマンダ・ラカーズCEOは「予定より前倒しで酸化サマリウムの生産に成功したことは重要な節目であり、中国以外では非常に独自性の高い成果だ」と強調した。
記事は、「過去数十年にわたり、西側諸国は高汚染・高コストのレアアース加工産業から徐々に撤退し、供給網を中国に依存してきた。中国は政策支援と産業統合を通じて完全なレアアース産業体系を構築した。こうした集中化は効率を高める一方で、供給が制限された場合には重大なリスクも伴う」とし、ライナスによる酸化サマリウムの量産成功は「商業的意義を超え、レアアースが単なる素材から戦略資産へと転換しつつあることを象徴している」と指摘した。
また、「世界のレアアース供給は中国に集中し、磁石についてはその約90%を中国が占めてきた。こうした中、米国は依存低減を急ぎ、米地質調査所はサマリウムを供給中断リスクの高い重要鉱物と位置付けている。ライナスは米国防総省と9600万ドル(約152億円)規模の供給契約を進める一方、日本とも契約を更新し、ネオジムやプラセオジムの安定供給や重希土類の優先供給を約束している」と伝えた。
記事は、「中国にとってレアアースは長年にわたり国際政治における重要なカードだった。しかし、ライナスによる酸化サマリウムの生産開始は、この独占構造に亀裂が入り始めていることを意味する」と言及。「短期的には依然として中国が大部分の生産能力と技術を握るものの、各国が代替供給網の構築を進めるにつれ、その影響力は弱まっていくだろう」と予測したほか、市場心理としても「中国の供給なしには成り立たない」との考えが覆されることで、中国の主導的地位は徐々に低下していくとの見方を示した。
そして、中国は高付加価値製品での競争力強化や低価格競争によるシェア維持などの対策を打ってくる可能性があり、アフリカや東南アジア、カナダなどは国際協力や補助金の投入などでサプライチェーンの中で重要な位置を確保しようと動いてくると見通し、「これはいわば『新冷戦』とも言える構図で、かつての軍事対立中心の冷戦とは異なり、より見えにくい形で進みつつも、その影響は国防から日常製品にまで広がっている」と結んだ。(翻訳・編集/北田)











