卒業後の進路として、大学がいいのか、短大がいいのか、専門学校がいいのか…と迷っている高校生は少なくないのでは?
実は、高校進学当初は専門学校志望だったのに3年になったら大学志望に変わった、短大志望だったのに専門学校志望に変わった、など、高校3年間でいろいろ考えて進路変更をするケースは珍しくないのだ。
それぞれの校種の特徴を整理しておくと次のとおり。
大学
一般的な卒業までの期間は4年間(医学部、薬学部などは6年間)。
複数の学部がある総合大学、一学部のみの単科大学がある。得られる学位は「学士」。
卒業までの期間は2年間が一般的だが、分野によっては3年間の短大もある。
得られる学位は「短期大学士」。
卒業までの期間は2年間が一般的だが、分野によっては3年間・4年間の専門学校もある。
特定の業界・職種・技能に特化した教育を行う学校が中心。得られる称号は「専門士」。
大学にも短大にも専門学校にもそれぞれメリット、デメリットがある。
大切なのは、自分の目的や希望と照らし合わせてじっくり検討すること。
こんなときには進学経験者の意見も参考にしてみたいところだ。
というわけで、先輩たち200人に聞いた大学、短大、専門学校それぞれのメリットを紹介しよう。
大学進学者が感じている「大学に進学するメリット」
興味がある科目を選べる
・「興味のある授業を選択することができる」
・「学科を越えて幅広く講義を受講できる」
・「学部や専攻を問わず、興味のある分野を受講することができる」

幅広い知識を身につけることができる
・「専門的な授業だけでなく、一般的な知識を学ぶ授業も受講できる」
・「教養科目の選択肢が多く、幅広い知識を身につけられる」
・「自分が専攻する分野以外の授業も選択できるので、学びの幅が広い」 制度や設備が充実
・「交換留学ができる。卒業単位への互換制度があり、休学したり卒業年度を遅らせる必要が少ない」
・「図書館が充実していてさまざまな分野の図書に触れられる」
・「インターネット利用環境が整っていたり、図書館があったりと勉強しやすい環境がある」

自由度が高い
・「自由に時間割を組めるので、アルバイトなどプライベートと両立しやすい」
・「まとまった休みや時間がとれるので、やりたいことに打ち込める」
・「授業の合間にあく時間ができるので、そのほかの勉強やサークル活動などができる」 就職に有利
・「地元では有名な大学で、地元企業にOBが多い」
・「先輩に話を聞いたり、セミナーがあったりと幅広く候補が選べる」
・「OBやOGが多く話を聞く機会が多い」

大学は、科目のラインアップが幅広く、自分が興味のあるものを選べるので、この点をメリットとして挙げている先輩が多数。
他学部・他学科の授業を受けられる大学も多いので、幅広い知識を身につけるのには適した環境といえそうだ。
そのほか、最近は、留学制度や海外研修などを充実させている大学が目立っており、これも大学の強いポイント。
また、大学は、学生生活が長いこともあり、時間割にも余裕がある。
そのため、アルバイトやサークル活動と勉強を両立しやすいとの声も多かった。
なお、地元就職への強さは大学にもよるので注意。 短大進学者が感じている「短大に進学するメリット」
卒業までの期間が短い
・「早く卒業できる」
・「4年制の大学より短く、その分授業が詰まっているので、遊ばずまじめに授業を受けられる」
・「2年で社会に出るので、自立を意識しながら生活できる」
・「短期間なので、集中して勉強できる」

4年制大学と比べると少人数
・「人数が多すぎないため、ロッカーが広かったり部屋が使いやすい」
・「マンツーマンで就職支援をしてくれる」

短大と大学を比べた場合、最大のメリットは、なんといっても早く卒業できること。
実際、この理由で短大を選んだ先輩は非常に多い。
2年間なので、大学より学費を抑えられるという意見も。
また、大学と比べると、授業のスケジュールが詰まっているので、それが自分には合っているという先輩も目立った。
そのほかでは、大学と比べると小規模なところが多いので、マンツーマンでの就職指導など、少人数ならではのメリットを挙げる先輩も。
専門学校進学者が感じている「専門学校に進学するメリット」
授業が仕事や資格取得に直結
・「興味のある分野を専門的に学べる」
・「実際、現場で働いている医師や看護師が講師に来てくれるため、卒業後働くときに役立つ情報が得られる」
・「国家資格対策に優れており、合格率が高く就職率も高い」
・「専門分野のプロの方と接する機会が増え、生活するうえで経験できないようなことを覚えることができる」
・「業界の中での知り合いを増やせる」
・「先生たちも実際現場で働いていた方なのでいろいろ情報や紹介も得られる」

実習など、実践的な授業が受けられる
・「専門分野に特化した授業だけでなく、本格的にその分野のものに見て触ることができる」
・「実技の設備が整っているため、就職後を見越した実習が可能」
・「専門学校では人数が少ない分、多く実践をすることができる」
・「専門分野に特化した設備が整っているので、のびのびと自分の学びたいことを追究できる」

友達が作りやすい
・「クラスメイトも同じ分野を勉強しているため、趣味なども合って話しやすかった」
・「専門分野に特化し、級友と競い合える」
専門学校で学んだ先輩たちは、仕事・就職やそのための専門知識・技能習得・資格取得に関係するメリットを挙げるケースが多かった。
実際、分野や学校にもよるが、特定の業界への就職に強い専門学校は多い。
また、専門に特化している分、実習設備の充実や、現場で活躍する実務家に学べるといったメリットも。
クラスメイトとは、学ぶ内容も卒業後の進路も共通しているので、話が合いやすいというのも、いわれてみれば「なるほど!」というポイントだ。
さて、次にそれぞれのデメリットも見ておこう。
・「好きな授業が定員でとれないことがある」
・「ゆるい分、単位を落としても自己責任」
・「計画的に単位を取らないと、後半になって授業が多くなり就活などに集中できなくなる場合がある」
・「サークル活動やアルバイトを自分で調整しないと、生活リズムが崩れやすい」
・「自由な時間が多い分、やりたいことが決まっていて自ら動いていける人には最適だが、受動的な人にとっては何もせずただ遊んで過ごす4年間となる」

科目選択も生活も自由度が高いのが大学のメリットだが、デメリットはその裏返しという面も。
自分でしっかり目標をもって過ごさないと、誰もお尻を叩いてはくれない環境なのだ。
短大進学者が感じている「短大に進学するデメリット」
・「短期間で取る単位が思いのほか多く、授業が忙しい」
・「2年間ですべて学ぶので、空き時間もほとんどなく、毎日授業が詰まっている」
・「少人数制なので校舎が小さい」
・「4年制大学卒業者しか受け入れていない求人は就職できない」

最も多かったのは、2年間に集中して学ぶため、授業で忙しいという声。これは致し方ないところか。
また、大規模な総合大学と比べると、施設の狭さや設備の物足りなさを感じる面もあるようだ。
専門学校進学者が感じている「専門学校に進学するデメリット」
・「専門的な授業が多いため、その分教養の科目は少ない」
・「向き不向きが大きい」
・「本当にその専門を学びたいと思っていないと、つらい場合がある」
・「職業は看護系と決まってしまうため、他の職種には変更しづらい」
・「大学と違い、毎日朝決まった時間から授業があるので、大学ほど自由がない」

大学とは対照的に、専門領域には強いが、学べる範囲の幅広さという点に物足りなさを感じる先輩も。
必然的に就職先も限られるので、路線変更が利きにくい面もある。
それだけに入学前にオープンキャンパスなどで適性を測っておくことが大切になりそう。
進学してどのような力を身につけたいのか考えて選ぼう!
以上が実際進学した人たちが感じている大学、短大、専門学校それぞれのメリット、デメリット。
学校にもよるので一概には言えないが、それぞれに特徴があり、選び方の参考になる。
大学、短大、専門学校のどれもメリットの裏返しがデメリットになっていることが多いようだ。
それだけに、自分が進学してどのような力を身につけたいのか、将来どのような業界に就職をしたいのか、しっかり考えて選ぶことが大切になりそう。
「視野を広げたい」「専門性を高めたい」「早く社会に出たい」など、希望に応じて最適な選択肢は変わってくるからだ。

なお、短大、専門学校に進学したあとで、4年制大学に魅力を感じるようになった場合は、大学に編入学するという方法もある。
短大や専門学校を2年で卒業して、大学の3年次に編入学すると、トータル4年で卒業が可能。
ただし、編入学はすべての大学・学部で実施しているわけではなく、募集人数も少ないことが多いので注意しておこう。
もちろん、大学や短大を卒業したあと、専門知識を学ぶために専門学校に進学することも。
自分の将来の目標に合わせて、学び方を選ぶことができる。
これらの点を踏まえつつ、先輩たちの挙げたメリット、デメリットを参考に、自分にピッタリ合う進路を考えてみよう!
※2018年1月スタディサプリ進路調べ
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