2019年のアカデミー賞では、レディー・ガガとケンドリック・ラマーが最優秀オリジナル・ソング部門のトロフィーをかけて競うことになる。その他にも『メリー・ポピンズ リターンズ』や『バスターのバラード』などの楽曲が同部門に ノミネートされた。
昨年の秋に公開されて以来、『アリー/スター誕生』でレディー・ガガとブラッドリー・クーパーが歌う大ヒットデュエット曲「シャロウ」がアカデミー賞の最優秀オリジナル・ソング部門(主題歌賞)の最有力オスカー候補とされてきた。2019年1月初頭にゴールデングローブ賞を受賞した「シャロウ」は、米現地時間1月22日の朝にアカデミー賞にもノミネートされたことが発表されたものの、初ノミネートとなったケンドリック・ラマーとSZA(『ブラックパンサー』)や今回で10回目となるノミネーション歴の保持者ダイアン・ウォーレン(『RBG(原題)』)といった錚々たる対抗馬との戦いが予想される。
ガガにとって「シャロウ」は2016年に「Til It Happens to You」(偶然にもこの作品はガガとウォーレンの共作である)で最優秀オリジナル・ソング部門にノミネートされて以来、2度目のノミネートとなる。それに対し、ウォーレンは米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを描いたドキュメンタリー映画『RBG(原題)』の主題歌「Ill Fight」、ケンドリック・ラマーとSZAは『ブラックパンサー』のサウンドトラックの収録曲「All the Stars」で勝負に挑む。
他にも、最優秀オリジナル・ソング部門には『メリー・ポピンズ リターンズ』で主役を演じたエミリー・ブラントが歌う「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」、コーエン兄弟の『バスターのバラード』でティム・ブレイク・ネルソンとウィリー・ワトソンがデュエットをする「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」がノミネートされている。
アカデミー賞授賞式は米東部標準時間2月24日午後8時から米ABCにて放送される。その前に、最優秀オリジナル・ソング部門のノミネート作品をチェックしておこう。
『アリー/スター誕生』より「シャロウ」
レディー・ガガは『アリー/スター誕生』の目玉を飾るこの楽曲を「Joanne」の共作者マーク・ロンソン、ダーティ・プリティ・シングスのアンソニー・ロッソマンド、マイク・スノウのアンドリュー・ワイアットとともに作曲した。劇中で「シャロウ」は、ガガ演じるアリーとブラッドリー・クーパー演じるジャックの関係を盛り上げ、一方ではスターへの道を歩みはじめるアリーを、他方ではキャリアの下り坂を迎えるジャックを描いている。楽曲が公開されると、ガガはゼイン・ロウに「これはアリーとジャックのために作曲した、とても特別な歌」と語った。「浅瀬じゃなくて、もっとずっと深い場所まで潜らないといけない、って2人の人間が互いに語り合っている様子を描いているの」ゴールデングローブ賞の受賞とアカデミー賞へのノミネートに加え、「シャロウ」は年間優秀レコード、年間優秀楽曲を含むグラミー賞4部門にもノミネートされている。さらに『アリー/スター誕生』での演技が評価され、レディー・ガガは主演女優賞へのノミネーションも手に入れた。
『ブラックパンサー』より「All the Stars」
『ブラックパンサー』のサウンドトラックのリードシングルであると同時に爆発的なヒットを記録した「All the Stars」は、SoundwaveとAl Shuxが繰り広げるビートとトップ・ドッグ・エンターテイメント(TDE)が誇る所属アーティストのケンドリック・ラマーとSZAの融合だ。スーパーヒーローを描いた大ヒット映画のサウンドトラックアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーを手がけたラマーは、今回の取り組みについて「この映画のすばらしい点は、アートとカルチャーの結びつきを見事に描いていることだ。サウンドプロデュースに関する自分の知識を提供し、マーベル・スタジオの理想を追求しながらライアン・クーグラー監督と一緒に作曲できたことは本当に光栄だ」と語った。
最優秀オリジナル・ソング部門へのノミネートは、ケンドリック・ラマーとSZAの2人にとって今回が初となる。「シャロウ」同様、「All the Stars」もグラミー賞の年間優秀楽曲などにノミネートされる一方、『ブラックパンサー』のサウンドトラックも年間優秀レコードへのノミネートを果たしている。
『RBG(原題)』より「Ill Fight」
米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを描き、高い評価を得たドキュメンタリー映画『RBG(原題)』のアンセムとなったダイアン・ウォーレン作曲による「Ill Fight」を歌うのはジェニファー・ハドソン。「ジェニファー・ハドソン以外にこの曲を歌ってほしくない」とウォーレンは米ヴァラエティ誌に語った。「ジェニファーと手がけた楽曲は今回が4作目だと思います。ジェニファーには何がなんでも歌ってほしいと言いました。何よりも気に入っていたのは、ルース・ベイダー・ギンズバーグが優しい声で話すのに対し、その言葉が強い響きを持っていたことです。だから、ジェニファーのようなパワフルな人物に歌ってもらうことで、とてもクールな楽曲に仕上がりました」
最優秀オリジナル・ソング部門にノミネートされるのは今回で10回目となるが、いまだにウォーレンは栄冠をつかめずにいる。過去のノミネート作品には、エアロスミスによる『アルマゲドン』主題歌のバラード「ミス・ア・シング」、クレイヴン監督作『ミュージック・オブ・ハート』でグロリア・エステファンとイン・シンクが披露した「Music of My Heart」、アフリカ系アメリカ人として初めて米最高裁判所の判事に任命されたサーグッド・マーシャルを描いた伝記映画『マーシャル 法廷を変えた男』のためにコモンと手がけた「Stand Up for Something」などが挙げられる。
『メリー・ポピンズ リターンズ』より「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」
新しい家の子どもたちを落ち着かせようとメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が歌う優しいメロディのこの楽曲は、ベテラン作曲家マーク・シェイマンと作詞家スコット・ウィットマンによるものだ。シェイマンにとって今回が7回目のアカデミー賞へのノミネートであるのに対し(2019年の最優秀オリジナル・スコア部門にもノミネートされている)、ウィットマンにとっては今回が初めてだ。
シェイマンとウィットマンはトニー賞の受賞作『ヘアスプレー』、ブロードウェイ版『キャッチー・ミー・イフ・ユー・キャン』、『チャーリーとチョコレート工場』などの数多くの作品でタッグを組んできた。そんな2人は『メリー・ポピンズ リターンズ』で夢が叶ったと口をそろえた。「今までずっと映画にしたいと思っていたスタイルの音楽がようやく実現したんです」シェイマンは米エンターテイメント・ウィークリー(EW)に語った。「確かに私の楽曲は、今ではあまり耳にしなくなったスタイルの音楽です。でも、私ほどこの映画にふさわしい人物はいないんです。『なんでこの能なし野郎は俺の映画にメリー・ポピンズみたいな曲をのせようとしてるんだ』って、私とのスコアリングセッションから遠ざかっていった映画監督が今までたくさんいたと思います。そんな私に、ようやくメリー・ポピンズの楽曲を担当する機会がめぐってきたわけですから」。
『バスターのバラード』より「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」
ほろ苦さと茶目っ気を感じさせる、カントリー調の哀悼歌のような「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」は、コーエン兄弟の西部劇オムニバスシリーズの1作目を飾る『バスターのバラード』のガンファイトを美しく締めくくっている。ティム・ブレイク・ネルソンとウィリー・ワトソンが歌うこの楽曲は、長年のコラボレーターでカントリー界の大御所でもあるギリアン・ウェルチとデヴィッド・ロウリングスの共作だ。
米ヴァラエティ誌とのインタビューでウェルチは楽曲について、そしてロウリングスとともにコーエン兄弟から依頼を受けたときのことを語った。
昨年の秋に公開されて以来、『アリー/スター誕生』でレディー・ガガとブラッドリー・クーパーが歌う大ヒットデュエット曲「シャロウ」がアカデミー賞の最優秀オリジナル・ソング部門(主題歌賞)の最有力オスカー候補とされてきた。2019年1月初頭にゴールデングローブ賞を受賞した「シャロウ」は、米現地時間1月22日の朝にアカデミー賞にもノミネートされたことが発表されたものの、初ノミネートとなったケンドリック・ラマーとSZA(『ブラックパンサー』)や今回で10回目となるノミネーション歴の保持者ダイアン・ウォーレン(『RBG(原題)』)といった錚々たる対抗馬との戦いが予想される。
ガガにとって「シャロウ」は2016年に「Til It Happens to You」(偶然にもこの作品はガガとウォーレンの共作である)で最優秀オリジナル・ソング部門にノミネートされて以来、2度目のノミネートとなる。それに対し、ウォーレンは米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを描いたドキュメンタリー映画『RBG(原題)』の主題歌「Ill Fight」、ケンドリック・ラマーとSZAは『ブラックパンサー』のサウンドトラックの収録曲「All the Stars」で勝負に挑む。
他にも、最優秀オリジナル・ソング部門には『メリー・ポピンズ リターンズ』で主役を演じたエミリー・ブラントが歌う「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」、コーエン兄弟の『バスターのバラード』でティム・ブレイク・ネルソンとウィリー・ワトソンがデュエットをする「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」がノミネートされている。
アカデミー賞授賞式は米東部標準時間2月24日午後8時から米ABCにて放送される。その前に、最優秀オリジナル・ソング部門のノミネート作品をチェックしておこう。
『アリー/スター誕生』より「シャロウ」
レディー・ガガは『アリー/スター誕生』の目玉を飾るこの楽曲を「Joanne」の共作者マーク・ロンソン、ダーティ・プリティ・シングスのアンソニー・ロッソマンド、マイク・スノウのアンドリュー・ワイアットとともに作曲した。劇中で「シャロウ」は、ガガ演じるアリーとブラッドリー・クーパー演じるジャックの関係を盛り上げ、一方ではスターへの道を歩みはじめるアリーを、他方ではキャリアの下り坂を迎えるジャックを描いている。楽曲が公開されると、ガガはゼイン・ロウに「これはアリーとジャックのために作曲した、とても特別な歌」と語った。「浅瀬じゃなくて、もっとずっと深い場所まで潜らないといけない、って2人の人間が互いに語り合っている様子を描いているの」ゴールデングローブ賞の受賞とアカデミー賞へのノミネートに加え、「シャロウ」は年間優秀レコード、年間優秀楽曲を含むグラミー賞4部門にもノミネートされている。さらに『アリー/スター誕生』での演技が評価され、レディー・ガガは主演女優賞へのノミネーションも手に入れた。
『ブラックパンサー』より「All the Stars」
『ブラックパンサー』のサウンドトラックのリードシングルであると同時に爆発的なヒットを記録した「All the Stars」は、SoundwaveとAl Shuxが繰り広げるビートとトップ・ドッグ・エンターテイメント(TDE)が誇る所属アーティストのケンドリック・ラマーとSZAの融合だ。スーパーヒーローを描いた大ヒット映画のサウンドトラックアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーを手がけたラマーは、今回の取り組みについて「この映画のすばらしい点は、アートとカルチャーの結びつきを見事に描いていることだ。サウンドプロデュースに関する自分の知識を提供し、マーベル・スタジオの理想を追求しながらライアン・クーグラー監督と一緒に作曲できたことは本当に光栄だ」と語った。
最優秀オリジナル・ソング部門へのノミネートは、ケンドリック・ラマーとSZAの2人にとって今回が初となる。「シャロウ」同様、「All the Stars」もグラミー賞の年間優秀楽曲などにノミネートされる一方、『ブラックパンサー』のサウンドトラックも年間優秀レコードへのノミネートを果たしている。
『RBG(原題)』より「Ill Fight」
米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを描き、高い評価を得たドキュメンタリー映画『RBG(原題)』のアンセムとなったダイアン・ウォーレン作曲による「Ill Fight」を歌うのはジェニファー・ハドソン。「ジェニファー・ハドソン以外にこの曲を歌ってほしくない」とウォーレンは米ヴァラエティ誌に語った。「ジェニファーと手がけた楽曲は今回が4作目だと思います。ジェニファーには何がなんでも歌ってほしいと言いました。何よりも気に入っていたのは、ルース・ベイダー・ギンズバーグが優しい声で話すのに対し、その言葉が強い響きを持っていたことです。だから、ジェニファーのようなパワフルな人物に歌ってもらうことで、とてもクールな楽曲に仕上がりました」
最優秀オリジナル・ソング部門にノミネートされるのは今回で10回目となるが、いまだにウォーレンは栄冠をつかめずにいる。過去のノミネート作品には、エアロスミスによる『アルマゲドン』主題歌のバラード「ミス・ア・シング」、クレイヴン監督作『ミュージック・オブ・ハート』でグロリア・エステファンとイン・シンクが披露した「Music of My Heart」、アフリカ系アメリカ人として初めて米最高裁判所の判事に任命されたサーグッド・マーシャルを描いた伝記映画『マーシャル 法廷を変えた男』のためにコモンと手がけた「Stand Up for Something」などが挙げられる。
『メリー・ポピンズ リターンズ』より「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」
新しい家の子どもたちを落ち着かせようとメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が歌う優しいメロディのこの楽曲は、ベテラン作曲家マーク・シェイマンと作詞家スコット・ウィットマンによるものだ。シェイマンにとって今回が7回目のアカデミー賞へのノミネートであるのに対し(2019年の最優秀オリジナル・スコア部門にもノミネートされている)、ウィットマンにとっては今回が初めてだ。
シェイマンとウィットマンはトニー賞の受賞作『ヘアスプレー』、ブロードウェイ版『キャッチー・ミー・イフ・ユー・キャン』、『チャーリーとチョコレート工場』などの数多くの作品でタッグを組んできた。そんな2人は『メリー・ポピンズ リターンズ』で夢が叶ったと口をそろえた。「今までずっと映画にしたいと思っていたスタイルの音楽がようやく実現したんです」シェイマンは米エンターテイメント・ウィークリー(EW)に語った。「確かに私の楽曲は、今ではあまり耳にしなくなったスタイルの音楽です。でも、私ほどこの映画にふさわしい人物はいないんです。『なんでこの能なし野郎は俺の映画にメリー・ポピンズみたいな曲をのせようとしてるんだ』って、私とのスコアリングセッションから遠ざかっていった映画監督が今までたくさんいたと思います。そんな私に、ようやくメリー・ポピンズの楽曲を担当する機会がめぐってきたわけですから」。
『バスターのバラード』より「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」
ほろ苦さと茶目っ気を感じさせる、カントリー調の哀悼歌のような「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」は、コーエン兄弟の西部劇オムニバスシリーズの1作目を飾る『バスターのバラード』のガンファイトを美しく締めくくっている。ティム・ブレイク・ネルソンとウィリー・ワトソンが歌うこの楽曲は、長年のコラボレーターでカントリー界の大御所でもあるギリアン・ウェルチとデヴィッド・ロウリングスの共作だ。
米ヴァラエティ誌とのインタビューでウェルチは楽曲について、そしてロウリングスとともにコーエン兄弟から依頼を受けたときのことを語った。
「オファーはかなり単刀直入でした。『2人のカウボーイが歌う曲がほしいんだ。カウボーイの1人は決闘で死んじゃうんだけど、昇天しながらデュエットするっていう曲にしたい。できるかな?』って。だから『そうですね……やってみましょう』と応えました。曲に不思議な制約を設ければ設けるほど、面白くなりますからね。そういう点では、夢のような課題でした」
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