梅雨前線の影響により関東地方は朝から雨模様だったが、16時30分の開場時間を迎えたころにはすっかり晴れ間がのぞいていた。
18時の定刻を10分ほどすぎたときに会場のBGMが止まり、1曲目を飾るSEがスタジアムに鳴り響く。メンバーがステージに登場すると3万7千人のオーディエンスが歓声を上げながら、ダイナミックなビートにハンドクラップを合わせる。ステージの壁面には巨大なLEDビジョンが設置され、カラフルなモーショングラフィックが映し出されている。


Photo by Takeshi Yao
野田洋次郎(Vocal/Guitar/Piano)が「準備はできているかい!?」と声を挙げ、サポートの森瑞希と刄田綴色のツインドラムを擁する5人編成のアンサンブルは一気にドライブしていく。野田のみならず、桑原彰(Guitar)と武田祐介(Bass)も大きなステージを自由に動き回りアグレッシブなプレイでオーディエンスを惹きつけていく。
「初めてのワンマンのスタジアムライブです。完売御礼! 今日は何かが起こりそうじゃないですか!?」
最初のMCで野田はそう咆哮した。実際にRADWIMPSにとって初のスタジアムライブは冒頭からずっと特別なムードが会場全体を覆っていた。特に近年のRADWIMPSがスタジアムにふさわしいスケール感に満ちた音楽性と演奏力を誇っていることを証明するパフォーマンスが、終始繰り広げられていったのである。
メンバーとオーディエンスが力強く呼応し、合唱が巻き起こった「万歳千唱」。ダークな様相を呈しながらもスタジアム特有の開放感とともにセンセーショナルな楽曲の内容がより生々しく迫ってきた「PAPARAZZI」。あるいは野田が指揮を執りメンバーの超絶的なソロバトルが交わされることでおなじみの「おしゃかしゃま」も、その響き方はいつも以上に圧倒的だった。



Photo by Takeshi Yao
そう、野田はこんなことも言っていた。
「雨、止んだでしょう? やっぱり俺たちには天気の子がついてるんですよ!」
これは言うまでもなく、『君の名は。』に続き再び劇伴=サウンドトラック制作を担当しタッグを組むことになった新海誠監督の最新作『天気の子』(7月19日より全国公開)になぞらえた発言だが、事実、この日の空模様とライブの内容はあまりにドラマティックだった。そして、バンドは『天気の子』の予告編でも使用されている主題歌の一つ「愛にできることはまだあるかい」も披露。それは、優しさと厳しさを等しく内包した、どこまでも人間的でありながら神秘的でもある壮大なバラードだった。この歌も含めて、『天気の子』の封切りと同時にリリースされる同名のサウンドトラックの全貌が、映画の内容とともにあきらかになる。
RADWIMPSの「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」はまだまだ続く。
※関連記事:RADWIMPSインタビュー「野田、桑原、武田が語るバンドの歩みと現在地」

Photo by Takeshi Yao
〈リリース情報〉
RADWIMPS
『天気の子』
2019年7月19日(金)発売
同名アニメーション映画のサウンドトラック。「愛にできることはまだあるかい」「グランドエスケープ (Movie edit) feat.三浦透子」を含む、主題歌となるボーカル楽曲5曲と、26曲の劇伴を収録。
〈映画情報〉
『天気の子』
公開日:7月19日(金) 全国東宝系公開
原作・脚本・監督:新海誠
音楽:RADWIMPS
声の出演:醍醐虎汰朗 森七菜
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:田村篤
美術監督:滝口比呂志
製作:「天気の子」製作委員会
制作プロデュース:STORY inc.
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝
©️2019「天気の子」製作委員会
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