BABYMETALの国内単独公演『BABYMETAL AWAKENS -THE SUN ALSO RISES-』が6月28日、29日の2日間にわたり横浜アリーナにて行われた。

昨年12月のオーストラリア公演以来約半年ぶり、BABYMETALにとって2019年最初のライブとなるこの2DAYS公演。
特に昨年は”DARK SIDE”と位置付けた新たなスタイルによる「METAL RESISTANCE EPISODE VII」が反響を呼んだが、今回の単独ライブではどんな姿を見せてくれるのか、開催前から大きな注目が寄せられていた。本稿では6月29日公演の模様をお届けする。初日の28日公演終了後には「ステージに(メンバーが)3人いる!」「”DARK SIDE”ではない、以前のBABYMETALが戻ってきた!」など、BABYMETALが新章「METAL RESISTANCE EPISODE VIII」に突入したことで昨年までとは異なる姿を現したことが話題となったが、ついにその真実をこの目で確かめる瞬間が訪れた。

会場に入ると、アリーナ中央まで延びた花道と、その際に設置された多面体のオブジェのようなものが目に飛び込んできた。ここからどんな物語が繰り広げられるのか、早くも期待が高まっていく。定刻になると会場が暗転、スクリーンにはここから始まる新たなストーリーが告げられると、ステージには白装束に狐のお面を付けた、どことなく結成当時のメンバーを彷彿とさせる3人が登場した。その後ストーリーは進み、”3人の勇敢なアヴェンジャーズ”と紹介されたダンサー3人が登場し、その中から毎回1名が選ばれ、SU-METAL(Vocal & Dance)、MOAMETAL(Scream & Dance)とともにパフォーマンスすることが告げられた。

この日ステージに立つダンサーが決定すると、SU-METAL、MOAMETALと合流して”3人のBABYMETAL”のシルエットがそこに現れる。この光景だけで早くも興奮を隠しきれないオーディエンスは少なくなかったはずだ。こうしてBABYMETALはいきなり新曲でライブをスタートさせた。疾走感の強いこの高速メタルナンバーでは、いきなりSU-METALの伸びやかな歌声と、完璧に息の合った3人のダンスに圧倒させられる。序盤こそ新曲にじっくり聴き入っていた観客も、曲の後半では早くも拳を上げるなど好意的に受け入れられているようだった。
きっとこの曲は今後、ライブの盛り上げに欠かせない重要な1曲になることだろう。

BABYMETALライブレポ「新章を告げる生命力とピュアネス」


2曲目には早くも代表曲「メギツネ」が登場。SU-METALの「Are you ready to jump ?」という掛け声に合わせて、オーディエンスは思う存分跳ねたり踊ったりを繰り返す。ふとスクリーンに映ったメンバーに注目すると、SU-METALとMOAMETALの表情からは自然と笑みが溢れており、いかにこの日を楽しみにしていたかが伝わってきた。

「Elevator Girl」ではアリーナ中央まで移動したステージが曲に合わせて上昇~下降するなどの演出も。新たに用意された不気味なマスクを着用した神バンドによる、キレの鋭い演奏も拍車をかけ、会場の熱気は曲を重ねるごとに高まり続ける。

初お披露目となった新曲群

この日のライブでは「Elevator Girl」や「Distortion」「Starlight」といった、昨年から今年にかけて発表された楽曲も多く披露されたが、その中でも初お披露目となった新曲群は特に印象に残った。この日は2曲の新曲が用意され、オープニングに披露されたものは従来のBABYMETALらしさを踏襲したメタルナンバーだったが、もう1曲はインドや中東を思わせるメロディ&フレージングが耳に残るダンサブルな楽曲。ザクザクと刻まれるギターリフと力強いビート、そこに重なる妖艶なメロディ&ダンスはBABYMETALにとって新境地といえるもので、ライブにおける大きなフックになったことは間違いない。こちらも今後のライブで重要な役割を果たす1曲になるはずだ。

BABYMETALライブレポ「新章を告げる生命力とピュアネス」


同じ意味で、ライブ初日の6月28日にデジタルリリースされた最新ナンバー「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」もライブにおけるキラーチューンと言えるだろう。発表から間もないものの、観客は手にしたタオルを頭上でくるくる回すなど、従来のナンバーと同様に受け入れ、1万5000人が集まった横浜アリーナは一瞬にして巨大なダンスフロアと化した。
この曲ではレコーディングにも参加したタイの人気ラッパーF.HEROもゲスト参加。このサプライズにも熱狂的な声援が送られた。

「ギミチョコ!!」「KARATE」と代表曲が次々に繰り出されると、ライブもいよいよ佳境へ。短いインストゥルメンタルナンバーを挟んで始まった「THE ONE」ではピアノ伴奏に合わせ、マントを着用したSU-METALが透き通るような歌声を響き渡らせる。ここ数年の経験の成果が凝縮されたようなこの曲での歌唱、そして暗闇の中を差す光が作り上げる神々しい情景を前に、会場は水を打ったように静まり返る。曲後半でバンド演奏が加わり、MOAMETALとダンサーがSU-METALの横に立ち、曲のクライマックスに合わせてメンバー、観客ともに”フォックスサイン”を掲げる。

BABYMETALライブレポ「新章を告げる生命力とピュアネス」


BABYMETALライブレポ「新章を告げる生命力とピュアネス」


いよいよライブも終了が近づいてきた。聴き覚えのあるSEに合わせて場内が真っ赤な照明で染め上げられると、BABYMETALのロゴが入ったフラッグを掲げた3人が登場。オーディエンスは盛大なハンドクラップで興奮を高めていくと、SU-METALは”ウォール・オブ・デス”を促すようなアクションで観客を煽る。こうしてラストナンバー「Road of Resistance」に突入すると、フロアには無数ものサークルモッシュが発生。SU-METAL、MOAMETAL、そしてダンサーの3人はライブ序盤と変わらぬパワフルな歌とパフォーマンスで会場の熱量を高めていく。曲後半のシンガロングパートではSU-METALが「もっと!」と叫び、その歌声はより大きくなっていった……昨年の”DARK SIDE”で試した実験を経てたどり着いたこの日の光景は感動的ですらあり、気づけば自然と涙腺が緩んでいた。
大袈裟と思われるかもしれないが、それほどに今回のライブは生命力に満ちたピュアな空間だったのだ。

これまでとは異なるBABYMETAL像が生まれつつある

終演後には約3年半ぶりとなるニューアルバム『METAL GALAXY』のリリース決定や、さいたまスーパーアリーナ&大阪城ホールを回る『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN』の開催などもアナウンス。これに先駆け、9月4日からは米ロサンゼルス・The Forum公演を含むワールドツアー『METAL GALAXY WORLD TOUR』もスタートする。また、BABYMETALはこの日の横浜アリーナ公演終了直後に渡英し、世界最大級の野外フェス『Glastonbury Festival』にも出演。ビリー・アイリッシュやブリング・ミー・ザ・ホライズンなどと同じステージに立ち、堂々としたステージを展開している。

新体制による初めての単独公演を大成功のうちに終えたBABYMETAL。新曲が増えたことで新しいBABYMETAL像が生まれつつある中、ここからどんな進化を遂げていくのか。この先の動向からますます目が離せそうにない。

SET LIST
01. 新曲
02. メギツネ
03. Elevator Girl
04. Distortion
05. 新曲
06. Starlight
07. シンコペーション
08. ヤバッ!
09. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
10. ギミチョコ!!
11. KARATE
12. Interlude
13. THE ONE
14. Road of Resistance
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