真心ブラザーズがライブ・ツアー「FRONTIER」を2022年11月3日(祝・木)東京・EX THEATER ROPPONGIからスタート。4人編成によるゴリゴリなバンドサウンドで、”愛と自由”をオーディエンスに届けた。
ツアー初日のレポートをお届けする。なお、ツアーは続いていくためセットリストや詳しい楽曲については記載していない。

10月26日に発売された18枚目のニューアルバム『TODAY』は、おなじみのメンバーと作り上げた曲もあれば、新たに参加した江﨑文武(WONK、millennium parade)、江沼郁弥とのコラボによる楽曲も収録した作品。胸の奥に突き刺さる強烈なメッセージソングから、ノスタルジックなラブソング、じんわり染み込んでくる優しくフォーキーな曲まで、今まさに”絶好調”な真心ブラザーズの世界を堪能できる傑作となっている。

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アルバムを携えて行われる今回のツアーは、CRAZY BUFFALOESとLow Down Roulettesという2つのバンド、それぞれの演目で全国10カ所を巡る。ツアー初日の東京公演では、YO-KING(Vo.Gt)、桜井秀俊(Gt.Vo)の2人にグレートマエカワ(Ba/フラワーカンパニーズ)、サンコンJr.(Dr/ウルフルズ)が参加したCRAZY BUFFALOESで行われた。


4人のセッション的な演奏から始まったライブは、最初のMCでYO-KINGが「いやあ、カッコ良かったねえ、我ながら! ねえ? ビックリした? カッコよくてビックリした!?」と客席に呼び掛けたのも頷けるカッコよさ。YO-KINGのSG、桜井のレスポールというガッツリロックなギター、グレートのうねるベース、サンコンJr.のタイトで力強いドラムによる強烈なバンドサウンドに、オープニングからグッと心を掴まれてしまった。序盤で「グレートのベースで火が付いた」という桜井が、ギターソロで予定外にステージ前に出てしまったというほど、バンド内でもステージに立って出す4人の音に昂ぶりを感じている様子だった。

【ライブ写真】真心ブラザーズのEX THEATER ROPPONGI公演(全7枚)

洒落た黒のシャツとパンツのステージ衣装に身を包んだYO-KINGは、「なんか、俺だけ衣装張り切り過ぎで恥ずかしくない!? みんな結構カジュアルなのに」とメンバーを見渡して苦笑い。今後のツアーでは桜井かサンコンJr.のどちらかがお洒落をすべきと提案すると、「でも真心2人で張り切っててもどうかと思わない?」との桜井の言葉に「だからべつに張り切ってないんだって!!」とYO-KINGが弁明して、会場は大爆笑となった。

YO-KING曰く、ツアータイトルの「FRONTIER」は、「ニューアルバム『TODAY』のタイトルが決まる前に決めなくてはならなかったツアータイトル(笑)」とのことだが、「『TODAY』の曲をたくさんやります」とのことで、早速アルバムから「うたたね」が披露された。
桜井が弾く印象的なリフ、淡々としたベースとドラム、さらにライティングも相まってサイケデリックなムードに包まれた。サビで聴かせるYO-KINGと桜井のハーモニーもあり、不思議なクセを感じさせる楽曲だ。そんな2人のハーモニーがよりたっぷりと聴けるのは、ニューアルバムからの「Boy」。長い真心の歴史の中でも意外なことにほぼ初めてのデュエットソングで、桜井が歌い出しYO-KINGのボーカルへと繋がってサビで声が重なる展開は結構新鮮で、サウンドもアルバムよりかなりハードに感じられた。いつの時代も、痛烈なメッセージ性を持った曲を様々な表現で世に送り出してきた真心だが、この日は柔らかくも心に刺さる新曲と、直球で胸にグサっと突き刺さるロックチューンを続けて披露。今の世の中にこれ以上ないメッセージを送った。
曲が終わると、「濃いね! 今日も濃いね!」とYO-KING。

真心ブラザーズが“愛と自由”を表現したツアー初日、EX THEATER ROPPONGI公演

CRAZY BUFFALOES(Photo by 柴田恵理)

『TODAY』についてのMCでは、「このアルバム、”自由”とか”愛”とかがやたら出てくるよね? もう衒いが無くなっちゃってるからね」(YO-KING)「どんどん無くなってるよね!? だって愛してるんだもん! 自由大好きー!」(桜井)と叫んで、お客さんは拍手喝采だった。ストレートで痛快なロックンロールで楽しませると、「3、4!」のカウントで『KING OF ROCK』からあの曲が飛び出したのだが、これが素晴らしかった。疾走感と躍動感のある演奏と、YO-KINGの豪快で伸びやかなボーカルがガッチリとハマったテンションの高いパフォーマンスで、最高に興奮させられた。間違いなくこの日のハイライトシーンの1つだった。

4人編成での演奏が斬新に感じられたソウルフルなナンバーもあり。
特に、桜井のギター、マエカワのベースによるユニゾンのイントロ、間奏のベースソロから再びユニゾンでイントロフレーズに戻りYO-KINGが〈そうさー〉と最後のサビを歌い出した瞬間は、かなり鳥肌もののカッコよさだった。今回のセットリストは、オールタイムベスト的な選曲でもなく、かといって極端にマニアックな感じでもなく、『TODAY』の曲を散りばめながら、それぞれのスロットで曲の世界観がまとめられており、ファンなら面白く感じられるはず。これは相当セットリスト作りを考え抜いたのではないだろうか。

「ニューアルバム『TODAY』もめちゃくちゃ手応えあったんですけど、今日のツアー初日もすごく手応えありました。どうもありがとう!」(YO-KING)

真心ブラザーズが“愛と自由”を表現したツアー初日、EX THEATER ROPPONGI公演

左からYO-KING、桜井秀俊(Photo by 柴田恵理)

ライブは終始テンションが高い強烈無比なバンドサウンドで、『TODAY』収録曲もよりロックなテイストになっている印象だった。そして何より、真心の2人が言葉と音で紡ぐ”愛と自由”に、たまらなく心が満たされて嬉しくなるライブであった。


ツアーは今後、11月12日(土)の京都・磔磔から2023年1月15日(日)の名古屋・ダイアモンドホールまで続いていく。さらに、アンコールでは年に一度の恒例行事、中野サンプラザ公演が2023年3月21日(祝・火)に行われることが発表された。『サンキュー・サンプラ・愛・サンサン』と題して行われ、閉館前サンプラザホールでの真心ラストライブとなる。こちらはホーンやキーボードも加えた10人編成のMBSで行われるだけに、アルバム『TODAY』の曲をどのようなアレンジで披露してくれるのか今から楽しみだ。

<リリース情報>

真心ブラザーズ
18thアルバム『TODAY』
2022年10月26日リリース
COCP-41887 ¥3300(税込)
=収録曲=
1. 一触即発
2. 君がすべてだったよ
3. 群衆
4. LOVE IS FREE
5. 破壊
6. Boy
7. 雨
8. ブレブレ
9. うたたね
10. 白い紙飛行機

<ライブ情報>

真心ブラザーズ ライブ・ツアー「FRONTIER」
2022年11月3日(祝・木)東京・EX THEATER ROPPONGI
2022年11月12日(土)京都・磔磔
2022年11月24日(木)札幌・PENNY LANE24
2022年11月26日(土)仙台・darwin
2022年12月3日(土)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
2022年12月4日(日)高松・DIME
2022年12月10日(土)熊本・B.9V1
2022年12月11日(日)福岡・DRUM LOGOS
2023年1月14日(土)大阪・BIGCAT
2023年1月15日(日)名古屋・ダイアモンドホール

オフィシャルHP https://www.magokorobros.com/