今年結成30周年を迎えたLUNA SEAのギタリスト・INORAN。LUNA SEAのアルバムと並行して制作していたINORANのソロアルバム『2019』が8月7日にリリースされる。


今回は『2019』のことを中心にINORANに1時間以上のロングインタビューを敢行。アルバムのことを語りながら、音楽制作の意味や、2019年以降の未来についての想いも語ってくれた。

―今年はLUNA SEAの結成30周年で、大きなライブや、アルバムリリースを12月に予定していて、このソロアルバム『2019』を一体いつ制作したのか、正直、不思議なほどです。魔法でも使ったんじゃないかと(笑)。

(笑)ちゃんと作ってますよ。スケジュール的には2月に2週間ぐらいでデモテープを作って、3月の初めからリズムを録って、6月までには完成しました。正直、思ったより時間が掛かりましたね。同時にLUNA SEAのレコーディングがあるので。

―リリースのタイミングが元々8月に決まっていてそこから逆算して2月のプリプロだったんですか?

そうですね。もうギリギリのタイミングでした。それまでLUNA SEAの曲のアレンジとかをして、次の日から作り始めた感じです。

―ソロに向かう時はLUNA SEAとは別のスイッチが入るんですか?

そんなに変わらないかな。
このアルバムのデモテープを作りますっていう日があって、その前の日まではLUNA SEAをやってました。それもTM NETWORKさんの「BEYOND THE TIME」のカバーのアレンジをしてたんです。それが終わってデータを送って。で、その次の日からソロをやり始めましたね。

―翌日から?

やる気があれば出来ますよ。全てやる気の問題だから。

―全ては気合いだと?

気合いじゃなくて、気持ち、ですね。

―でも、それだけハードスケジュールだと肉体的にも疲れていて、気持ちを上げるのも大変だとは思うんです。

今はさすがに疲れてる。疲れてるって言うぐらい疲れてる(笑)。

―INORANさん、「疲れてる」って口に出さないですよね。10年近くお付き合いさせていただいていますけど、今回初めて聞いた気がします。


ジョーさんの前では言うけど、他の人には言わないですね。それに言うとその言葉に支配されちゃうから。だから、今の「疲れてる」のところは消しておいてください(笑)。

―でも、嬉しい悲鳴ですよね?

そうそう。幸せなことですよ。ソロ、LUNA SEAとアルバムを2枚も同時に作れてるっていう状況は。

―なかなかそういうミュージシャン、今いないです。多くの人は作りたくても作らせてもらえない。

うん。幸せなバンドだし、俺自身も本当に幸せだと思います。

―さて、アルバム・タイトルが『2019』。正直”やられた!”って思いました。
タイトルに令和を付ける人はいるけど、サウンド的にINORANさんのソロに『令和』はない(笑)。でも、確実に今年2019年は時代は変わってるし。今回は歌詞もオール英語なので『2019』は絶妙だなぁと。

ありがとうございます。大体アルバムを作っている時って、途中で何かキーワードが出て来るんですよ。”今回はBEAUTIFUL NOWだな”とか。でも、今回はそれがなかったんです。なかなか出てこなくて。どうしようと思った時に、自分が生きている今のこの時代、元号が平成から令和に変わったし、今年の9月にはラグビーのワールドカップもあるし。元号が変わった瞬間の皆のポジティヴなエネルギーが合わさって、すごく幸せな時間が何日も流れた感じがしたんですよ。令和になって”おめでとう”の祝賀ムードもあるし、皆で喜びを共有するっていうのが久々な感じがしたんだよね。この10年ぐらいネガティヴな空気が、メディアも世の中も含めて強かった。
そういうのも最近ちょっと変わりつつあるなって感じていて。ネガティヴなことがポジティヴなもので減っていっている気がしてる。決してネガティヴなことがなくなるわけではないけど、言いたいことが言えない時代から、言うことの勇気がまた復活しつつある空気があったりとか、俺にはそう感じてるんです。それでこの2019年っていうのは日本人として、ミュージシャンとしてポイントになる年になるんじゃないかなって。もちろんLUNA SEAの30周年というのもあるし。それをタイトルに残しておきたかった。それで『2019』って良いかなって。

―それじゃあ元号が変わった後に思いついたタイトル?

そうですね。

『2019』は「巻き込み型」のアルバム

佐野元春さんが「ミュージシャンは炭坑の中のカナリヤみたいなものだ」とおっしゃってました。つまり、ミュージシャンは時代の空気を真っ先に感じて、それを音として発信しているんだと。INORANさんも、当然のように時代の空気を先取りで感じて音にしているんですね。

僕はまだまだだし、そんな風に出来ているかどうか分からないけど、そういう先輩に付いていきたいし、そういうミュージシャンでありたいとは常に思ってます。
日本で言えば、佐野さんもそうだし、アメリカで言えばボブ・ディランだったり。彼らには時代の予言者のようなものをすごく感じますね。

―LUNA SEAは平成元年の結成なわけですが、令和という新しい時代になってみて今思う平成はどんな時代だったと思いますか?

ハーフタイムだったんじゃないかなって思います。なので、平成が終わって、ここから後半が始まるんじゃないかなって。それは、地球規模でもそうだし、日本でもそうだし。音楽業界もそうだと思います。

―ある意味アルバム『2019』は後半戦の始まるホイッスルであると?

ホイッスルかどうかは分からないです(笑)。ただ単純にソロのキャリアの中で10枚以上アルバムを出していて、これからも出すだろうし、ここで『2019』だったら分かりやすいなと思った部分もあるので(笑)。あとから振り返った時に、誰がどうみてもこのアルバムは2019年制作でリリースだって分かる印になる。でも「印」ってすごい大事で。意味のない印はないんだけど、ザ・印なんで。そういうタイトルをつけたこと自体に何か意味あるんだろうなって思いますね。


―その『2019』、収録曲の作詞はINORANバンドのベーシストのu:zoさん、同じくギタリストの村田有希生さん他、いろんな方が担当してますね。

僕は基本的に制作は、自分の周りの人皆に参加して欲しいと思っているんです。キングレコードのスタッフの方もコーラスで参加してもらってますし。

―へぇ。

完全に巻き込み型の制作です。あるいは皆参加型。そこのケミストリーが音楽の一番の強みだったりするわけなので。それはライブでもそうだし。出来るだけ多くの人と一緒に作りたいんです。

―キングレコードの方がコーラスで参加しているのは、「Rise Again」ですか?

そうです。あと、「Long Time Comin」「Dont you worry」もいろんな方にコーラスで参加してもらっています。

―そういうアイデアは現場で思いつくんですか?

現場ではなく、数日前に「集合っ!」て言ってみんなに集まってもらう段取りはしています。で、そのほうがこのアルバムに愛着が湧くと思うんですよ。皆に自分のものって思ってほしいし。自分と思ってほしいし。それが理想だと思うんですよね。だからみんなに参加してほしい。最初に言った通り巻き込み型ですよ。

スティーブ・リリーホワイトとの出会いで学んだこととは?

―意外だったのがリード曲「Starlight」。この静かめの曲をリードにしたのはINORANさんの意向ですか?

そうですね。作っている途中でこの曲リード曲がいいなって思って。

―それは何故?

曲が持つオーラだったりとかなんだけど、言葉にするのは難しいなぁ。自分の中でこの曲が引っかかったんで、これで行こうと。

―「Starlight」はアコースティックアレンジでしかも弦楽器が入っていて、美しく壮大な曲です。で、12月に発売予定のLUNA SEAのニューアルバムにはあのスティーブ・リリーホワイト氏(U2、ピター・ガブリエル、ストーンズをプロデュース)がプロデューサーで参加しているというアナウンスがされていて、この曲を聴くとスティーブ氏との制作がソロにも影響もあったのかなって感じます。

それはもちろんあります。スティーブはプロとしてものすごい人だけど、とってもフランクなんです。普通の会話で、ムードを作り上げる人、緩やかで明るいムードメーカー。でも、そういう中でも凄い話をするし。なにせ、スティーブは音に惚れてるんですよね。音色じゃなくて音に。その惚れ方にリスペクトを抱いてしまうんですよ。スティーブの経歴はもちろん凄いけど、音に惚れるところが俺とはすごく合う部分だと自負しているし、そういう部分の影響を改めて受けたし。もちろん人生の中で交わったんで、それ以外の部分もいろいろと作用はしていると思います。この間、彼の家に遊びに行ったんだけど、俺のソロアルバム『Thank you』が飾ってあって、その横にグラミーのトロフィーがあったりしてさ、何か嬉しくて。俺が来るから飾ったのかもしれないけど(笑)。

―LUNA SEAとスティーブ氏を引き合わせたのはINORANさんと聞いていますが、そもそもスティーブ氏との出会いは?

共通の知人がいたんです、カナダ人の。その人にスティーブの初来日の時に『会わない? 興味ある?』って言われて、『会う!』って言って。その時は彼が滞在するホテルのロビーで会って話をして。その後俺がバンコクにツアーで行った時に、バンコクまで遊びに来てくれて、しかもライブまで観に来てくれたんです。そこからですね。

―INORANさんの一期一会を大切にする感じ、フットワークの軽さはいつも驚かされます。

俺のこういう振る舞い方というか、人との接し方、ミュージシャン同士の接し方はFEEDERのTAKAが教えてくれたんですよ。TAKAとMuddy Apesをやってたのは大きいなぁ。TAKAは海外で活動してるから、ミュージシャンと接する時に、とにかくフラットなんですよ。やっぱり、構えるとなかなか友情は芽生えない。もっと手っ取り早く、相手に飛び込めばいいんですよ、だって垣根なんてないんだから。スティーブはもちろん凄い人だけど、だからってずっと敬語で話していたらおかしいじゃん。そういう部分で俺がすごいフランクにスティーブとも接することが出来たのがよかったのかもしれないですね。

―INORANさんが先に踏み込んで、相手も踏み込んで来てくれる。

やっぱり一緒に作るってそういうことだから。ザ・お仕事になっちゃうと、クリエイティブにはなれないと思うんです。そんなのお互い過去にいくらでもやってきてるし、でもそういうところじゃない関わり合いを今求めてるわけなので。それは規模は違うけどソロでもそういうことはしたいし。それで言うと、『2019』にはFEEDERのグラントも参加してくれてます、3曲目の「Youll see」に。

―そうなんですね! でも考えてみたら、周りが難しくしてるだけで本当はミュージシャン同士、まったく垣根なんかないんですもんね。

有名とか無名とかじゃなく、Muddy Apesも海外に行くと、いろんなミュージシャンがノリで来てくれてノリで演奏してくれるんですよ。ノリがすごく大事だし、ヴァイブスが大事なんですよ。というより、音楽ってそこなんで。だから皆に参加してもらいたい。そのヴァイブスが足し算じゃなくて掛け算になって、倍になっていくわけで。そこも音楽の醍醐味だと思っています。

尊い時間をどう生きるか、どう過ごすか

―FEEDERのTAKAさんは「For Now」で作曲も担当してますね。

うん。あと、Muddy ApesのギターのDEANも書いているし、u:zoのバンドでROSのヴォーカルのライモン君も1曲歌ってくれてるし。

―すごいなぁ。つまり、今回は仲間達と楽しみながら作れたと?

そうですね。決して広い世界ではないけど、自分のファミリーと作れたアルバムですね。

―なんだかとてもINORANさんらしい気がします。

しかも通好みのキャストだと思いますよ。有名どころとのコラボではないですけど。逆に今の大物同士のコラボや、フューチャリングもいいけど、海外だと、たまたま隣のスタジオに誰々がいて、コーラスしてもらったとか、あるじゃないですか? 今回はそういうノリです。それが後で音楽ファンの間でジワるみたいなのも好きで。

―そういう音楽の醍醐味・楽しみが詰まったアルバムなんですね。

そうですね。だから俺、スタジオのドアが嫌いなんです。地下のスタジオもあんまり好きじゃない。ドアなんかないほうがいいし、気になったミュージシャンには誰でも入ってきてほしいわけ。ま、誰でもはさすがに困るけど(笑)。ドアを開けて中庭が見えて光が入ってっていうのが好きですね。

―常に開かれていたい?

開いていたい、ですね。

―だから『2019』はすごくいいヴァイブスのアルバムなんですね。

ファンの方もそうだし、俺もそうだし、俺の周りのスタッフも含めたファミリーもそうだし、みんなの居場所だと思っています。心地よくて、刺激的であって、皆が自分の場所だと思える場所を作るのが最近のソロ、LUNA SEAも含めての、自分の役目なんだろうなって思っていて。ずっとそういう音楽を作り続けて、出来るだけたくさんライブをやって、皆が集える場所を提供し続ける。それのピースとして曲があるし、そういう場所を作り続けることがアルバムを作ることなんだなって思ってます。だから、この『2019』も含めて、アルバムはみんなのプラットホームみたいな感じだと思っています。

―INORANさんらしいな。皆の居場所、プラットホームを作ってあげたいっていうのは。

星の数ほどミュージシャンがいる中で、自分もポジション的には、LUNA SEAと言ったら、ベテランとか、成功したとか、恵まれた位置にいるんだと思っています。でも、世界を見渡せば、錚々たるミュージシャンがいっぱいいる。そんな中で、自分のアイデンティティはどこなんだろう、何を売りにすればいいんだろうって考えるんです。メロディがものすごく素晴らしいとか、ものすごくエモーショナルとか、自分のミュージシャンとしての存在理由は何なのか、考えたんです。その結果、テクニックでもないし、これでもないし、あれでもないし……。で、臭い言い方だけど、人に笑顔になってほしいだけなんだって気がついて。だから、お参りに行っても、俺はそれを願うんです。『今年も皆を笑顔にできますように』って。本気でそう願うんです。すごくアバウトなんだけど、俺の音楽人としてのアイデンティティってそれでしかないなって思っています。

―「このアルバムが売れますように」とは思わないんですか(笑)?

そういう想いはなくはないけど、そういうふうには願わないですね。

―いつからそうなんですか?

少なくとも若い頃は何も考えてなかったです(笑)。40代前半ぐらいからかなぁ。尊い時間をどう生きるか、どう過ごすかっていうことを考えるようになってですね。

―それは震災が影響したんですか?

そうですね。それで、2年ぐらい前かなぁ、LUNA SEAのライブでドラムソロの時、舞台袖で着替えながら、真ちゃん(真矢)を見てて、ふと思ったんです。これ、LUNA SEAの誰か一人でも欠けたらこの景色ってないんだなって。5人が元気でいることって素晴らしいことなんだなって。この時間は尊いなって思って。でもそんな時間を過ごせているのなら、精一杯生きなきゃいけないなって。じゃあ精一杯生きるためにはどうしようって考えたわけです。で、期せずして去年末にはRYUICHIが病気になって……。俺はあの時本当に寄り添っていたくて、RYUICHIのカウントダウンライブにも自分から嘆願して出演させてもらったの。でも誰もが尊い時間を積み重ねて生きてるわけだから、ストイックに生きる必要はないと思う。本当はみんなハッピーでいたいわけでしょ。それが理想。だからそういうものをサポートしてくれる、寄り添ってくれるものが音楽であってほしいし、そういうものを作る表現者でいたいんですよ。今、言葉では言ってしまったけど、本当はそういうものを表現っていうんだと思うし、そういうものを作り続けていきたいって思ってます。

「消えたドーナツ」の真相

―全然話が変わりますが、先日のLUNASEAの武道館ライブで言っていた、「消えたドーナツは真矢さんが食べた」は本当なんですか?

(笑)RYUICHIが初めてLUNACYのメンバーに挨拶に来た時、RUICHIは2個だけドーナツを持って挨拶に来たという話ですよね。LUNCYは4人なので、ドーナツは2個足りないと。ただ、RYUICHIは4個買って持って行ったと言ってるけど、メンバーはドーナッツは2個しか見てない……。長い間のミステリーだったんだけど(笑)、実は真ちゃんが「2個、僕が食べました」という衝撃の告白を30周年の武道館でしてくれて(笑)。ただ、正直言うと、真相は俺はよく分からないんです。何せ30年前の話で、記憶がフワッとしているので。でも、真相とかじゃなくて、真ちゃんが円満にまとめてくれたっていうことだと思いますよ。最高のハッピーエンドですもん。

―確かに。8月7日のアルバムリリース後、8月21日から全国ツアーが始まりますが、前回より本数が多いように感じますが。

前回の『Override』のツアーよりは多いですね。なので、すごく嬉しいです。

―ライブが多い方がINORANさんは楽しい?

もちろんです。だって大好きな人と一緒にいれるんですよ。そりゃ楽しいですよ。

―今回のツアーで特別に楽しみにしていることは?

まずは、『2019』の曲たちがどう化けるか、というかどう進化していくかがすごく楽しみです。

―ソロもキャリア20年を超えたので、ライブで外せない曲だらけで、新しいアルバムを出すと、セットリストを組むのも悩ましいですよね?

うん。だから2~3セット引っさげて回るかもしれないです。

―ツアーの途中でセトリが変わるかも?

そうですね。だからツアーは楽しみでしかないんです。もちろんその前に皆に『2019』を聴いてもらうことがすごく楽しみですけど。

―先ほど、ミュージシャンは時代の予言者と言ってましたが、INORANさんからみて、未来は希望ですか? 絶望ですか?

どっちかを選べと言われたら希望を選びます。もちろん大変なことはいっぱい待ってるけど、絶望だけを考えていたらダメだと思うし。それに備えはできるはずで。でも備えっていうのは希望であると思うし。だから、希望に向かっていければいいよね、皆で。確かに、人口の問題や年金問題もある。そういう心配事を棚に上げるんではなくて、それに対して希望ってもので打ち勝っていくことがすごく大事だと思うんです。だってあらゆる問題は地球規模になっているので。

―そういう時に音楽の役割ってますます重要になってくると思うんですが。

ゴールドマン・サックスからデータが出ていて、音楽産業はこれから右肩上がりになるらしい。2030年には、音楽産業は空前の売り上げになるんだそうです。ただし、誰かが突出して売れるとかではなくて、音楽産業の裾野が広がると。つまり、皆がもっと音楽を聴いてくれるわけだから、僕らももっと本気で音楽の力を信じて作っていかなきゃいけないなって思います。

―音楽で世界を変える時代が再び来ると?

でも、音楽だけではできないと思う。やっぱり横と繋がっていないと。理想論かもしれないけど、繋がって、刺激し合っていかないと。昔って、政治も音楽も芸能も繋がってたでしょ? だから強かった。それは癒着じゃなくて、共鳴し合ってた。今は、共鳴し合うものがないから孤立していって、犯罪を犯したり、人を殺めたりしてしまう。俺にはそう見える。でも、音楽を信じてくれるんだったら、音楽の力を信じて共鳴し合っていこうよって言いたいんです。音楽だけに任せないでさ。「音楽に任せておいたらいいんだよ」っていうのは俺は違うと思っていて。だから『やってよ』じゃなくて、みんなで共鳴し合って、不安なことに対して向かっていく。そのためには、当たり障りのないことだけじゃないことを言える世の中にしたいよね。

昔は近所におっかないおじさんっていたけど、その人がいて、コミュニティの均等が取れてたわけで。というより、その人が重要だったんだと思う。今は叱ることがなくなった。けなすことじゃなくて叱ること。怒ることじゃなくて、声をあげること。すごく大事なんじゃないかなって。そういう意味では今の若い子はすごく頑張ってると思う。俺らより立派だもん。結局、いつの時代も壊してきたのって大人なんだよ、やっぱり。だけど、もうそんなのはどうでもいいから、明るいほうへ持っていくように、一人ひとりができることがたくさんあるから。どんな職業でもまだ絶対できることがあるから。一人ひとりがそれをやれば良い世の中になっていくんじゃないかな。悲しいニュースばかり見ないで済むって思うんです。

―共鳴って素敵な言葉ですね。この『2019』も新しい時代の良いヴァイブスの共鳴のシンボルなのかもしれません。

そうであったら嬉しいです。いずれにしても、僕は僕でやれることを全力でやります。

<INFORMATION>

『2019』
INORAN
KING RECORDS
8月7日発売

【完全生産限定盤-PERFECT BOX-】
INORANが語る音楽人としてのアイデンティティ「常にドアを開いていたい」


CD+DVD+LP
[CD]
1.Gonna break it
2.COWBOY PUNI-SHIT
3.Youll see
4.Rise Again
5.Dont you worry
6.Starlight
7.It Aint Easy
8.For Now
9.Dont Know What To Say…
10.Long Time Comin
11.Made Of Fire
[DVD]「Starlight」Music Video
[LP]CDと同内容

【通常盤】
INORANが語る音楽人としてのアイデンティティ「常にドアを開いていたい」


CD
完全生産限定盤のCDと同内容

INORAN オフィシャルHP
http://inoran.org/
編集部おすすめ