ジェフ・リン率いるジェフ・リンズELOが、2015年『アローン・イン・ザ・ユニバース』以来4年ぶりとなる、待望のニューアルバム『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』を本日11月1日に全世界同時リリース。日本に向けた最新インタビューでは、2020年4月の来日公演が発表されたばかりのボブ・ディランとの貴重なエピソードも明かしている。


ELOは1978年に武道館で初来日公演を行なった。その時の思い出を尋ねられたジェフ・リンは、ディランにまつわる思い出を語り出した。

「実は未だに忘れられない出来事があってね。ちょっと馬鹿みたいな話なんだけど、武道館でやったときのことは凄くよく覚えている。いつも通りにステージでギターを弾きながら歌っていて、ふと右側を見たら、なんとボブ・ディランが座っているんだよ! モニターのところに。あの僕たちの日本での公演をボブ・ディランが見に来てくれたんだ。

終演後、ボブが僕の楽屋に挨拶に来た。そうしたら楽屋で、ボブのサインをもらうために20人ほどの人の列ができてて、僕のほうにもサイン目当てのファンの人の列が20人ほどできていた。そこで、僕のサインを待ってる一人の女性に、「君のノートから1ページ僕にくれないかな」と聞いたんだ。「変なことをきいてくるな」と彼女はきっと思っただろう。でも「いいですよ」と言ってくれた。で、僕は彼女のノートのページを一枚破って、ボブ・ディランのほうの列に行って、そこに並んで彼のサインをもらったんだ(笑)。
今でもその時のサインを持っている(笑)。なかなか面白い出来事だったよ。例の女の子は全然怒ってなくて、ボブのサインをもらった後、彼女のところに戻ってサインをしてあげたんだ。

トラベリング・ウィルベリーズをやる遥か前のことだったから、実はその時がボブと会うのが初めてだった。またいつ会えるかわからなかったから、絶対にサインをもらわないとって思ったんだ。おかしな話だよね。みんな「あいつ何をやってるんだ?」ってきっと思っただろうね。列に並んじゃってね(笑)。将来彼と一緒にウィルベリーズをやることになるなんて、あのときは想像すらしていなかった。ウィルベリーズを結成したのはあれから10年後……初めて行った日本で初めてボブに会った、不思議な思い出だよ」

ELOの初来日公演は1978年2月22日に東京・日本武道館、23、24日に大阪・フェスティバル・ホール、25日京都・京都会館、26日福岡・九電記念体育館、28日に名古屋・名古屋市公会堂、3月2日に静岡・駿府会館と全7公演開催された。1977年から1978年にかけて行われたOut Of The Blueツアーの一環で、ステージには巨大円盤が登場し、レーザー光線が飛び交う、当時としては画期的な演出だった。ちょうど同時期にボブ・ディランも1978年2月20日から初来日公演を行なっており、ELOが武道館公演を行なった2月22日は偶然ツアーの合間のオフ日だった。


ELOの来日公演は残念ながらこの1978年の一回だけだが、ジェフ・リンは来日公演の可能性について、「いつどこでツアーをするかを決めるのは僕ではないので成り行きに任せるしかないけど、でも実現する可能性がないわけじゃない。長らく行っていない場所はたくさんある。オーストラリア、日本……。また是非行きたいと思っているよ。前回日本に行った時は楽しかったからね」と語っている。

さらに、日本のファンへのメッセ―ジとして以下のように語ってくれた。

「長年応援してくれてありがとう。初めて日本に行った時、いろいろな美しく素敵な場所へ行ったし、出会った日本の人々はみんなとても優しかったことをよく覚えている。プレゼントも沢山もらったし(笑)。他の国ではそんなことはないからね。日本にはたくさんのいい思い出があるから、また是非行きたいと思っているよ。今度日本公演があるとしたら、その時はまたボブ・ディランにも来てもらわないといけないね(笑)」

ジェフのアイデアが詰まった新作『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』は、タイトル曲「フロム・アウト・オブ・ノーウェア」が象徴するように、70年代中期のELOの匂いを強烈に放つ黄金期のELOに通じるような作品だ。
この曲について最新インタビューでジェフ・リンはこう語っている。

「『From Out Of Nowhere』というタイトルはその言葉の通り、”どこからともなく降ってきた”んだ。タイトル曲もそうだった。あの曲の核となる部分が、どこからともなく現れて、それをそのまま弾いたらできたんだ。これはこのアルバム用に最初に書いた曲で希望と救いについての曲。誰でもほんの少し希望を持って、楽観的になることが必要なんだ。僕もそれに何度も救われてきた。その感覚がアルバム全体を通じて流れるテーマにもなっている」

アルバム収録曲は1970年代のELO黄金期、『オーロラの救世主』『アウト・オブ・ザ・ブルー』『ディスカバリー』時代を彷彿させるような、70年代ELOのテイストを前面に出した仕上がりになっている。一聴してわかるジェフ・リン節メロディ満載のタイトルトラック「フロム・アウト・オブ・ノーウェア」、甘く切ない「ルージング・ユー」、ELOの名曲を思い起こす「ヘルプ・ユアセルフ」、ELO時代からの盟友であるピアニスト、リチャード・タンディーのソロをフィーチャーした煌びやかな「ダウン・ケイム・ザ・レイン」、激しいロック・ナンバー「ワン・モア・タイム」、そして甘美なクロージング曲「ソングバード」まで全10曲、不変のELOサウンドがフィーチャーされている。 

ELOのジェフ・リンが語る、1978年の日本で出会ったボブ・ディランとの思い出

ジェフ・リンズELO
『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』
2019年11月1日(金)発売
日本盤のみ高品質Blu-spec CD2/解説・歌詞・対訳付

日本公式ページ:
https://www.sonymusic.co.jp/artist/ElectricLightOrch/
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