ボブ・ディランは、今月初めにドラマーのマット・チェンバーレンとギタリストのボブ・ブリットが加わったのを契機に、ライブ内容を大きく変えた。
セットリストに加えられた変更の一つ一つは小さなものなのだが、全体的に以前のセットリストとは大きく趣の異なるもとになった。今後はオープニング曲が「シングス・ハヴ・チェンジド」と「ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング」から選択される。 また、定番曲として「ノット・ダーク・イェット」と「レニー・ブルース」が加わった。「レニー・ブルース」は1981年のアルバム『ショット・オブ・ラブ』に収録されており、1980年代のライブでは定番曲として披露されていた。今回は1986年の共同ヘッドライナー・ツアー中に、トム・ウェイツ&ザ・ハートブレーカズと一緒に演奏した同曲の動画を紹介する。
「ジョージ・ジャクソン」、「ハリケーン」、「ジョーイー」と同様に、これもディランが敬愛した男に対するストレートな賛辞を表した曲だ。「60年代初頭、1963年頃に、レニー・ブルースのパフォーマンスを見た。彼が法的な問題に巻き込まれる前のことだった」と、1986年にディランは語っている。
今月になって復活させるまで、ディランはずっとこの曲を演奏していなかった。最後にライブで披露したのは2008年のことだったが、今後6週間続くこのツアーでこの曲はずっと披露されそうな気配だ。ちなみにこのツアーは12月8日にワシントンDCのアンセムで終幕する。その後、ディランは2020年4月に始まるジャパン・ツアーまで休暇に入る予定だ。このジャパン・ツアーは東京で10公演、大阪で3公演を予定している。この時期にディランは79歳の誕生日を迎えるのだが、この調子だと80代も元気にツアーを続けそうな勢いだ。早くに他界したレニー・ブルースとは違い、ディランは長寿に恵まれたということだろう。