トランプ米大統領は、ささいなことを大げさに表現する達人だ。2020年3月6日、彼はその肩書きを捨てる気がないことを証明した。
アトランタにある米国疾病管理予防センター(CDC)でトランプ大統領は、グランド・プリンセス号に乗船中の3500人の上陸を許可したくないと述べた。「なぜなら私は、(コロナウイルス感染者の)数字を現状で維持しておきたいからだ。」
トランプは当初、何名かの感染者を含む乗客・乗員を船に留め置く意向だったことを明らかにした。単に国内の感染者数が増えると印象が悪いという理由からだった。しかし最終的には、コロナウイルス対策を担当するCDCの方針に従うと述べた。
「彼らは全員を下船させたいようだ」とトランプは、CDCの方針について発言した。「私は全員を船に留めたかったが、最終判断は彼らに委ねると伝えた。私としては、これ以上数字を増やしたくはなかった。我々の責任でない1隻の船のせいで、わざわざ数字を倍にする必要があるだろうか。もちろん、船に乗っている人々の責任でもない。彼らの責任ではないんだ。
さらに大統領は、「個人的な見解としては、できれば船に残って欲しい。しかしCDCが下船させたいというのであれば、私は受け入れる。私は彼らに決断を下す権限を与えた」と続けた。
大統領はまた、コロナウイルス検査の受診状況についても嘘を重ねた。「必要な人は検査を受けられる。検査体制もしっかりしている」とトランプは言うが、全国の感染者や医師からは、必要な検査が受けられないとの不満の声が続いている。
感染症の症状が出たカリフォルニア在住のシンディ・ホーメンがニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、主治医は必要な検査を彼女に受けさせることができず、メールで「今のところ、検査の実施は非常に限られています」と説明し、家から出ずにこまめに手洗いするようアドバイスしたという。
「検査キットが不足している上に病院にも来るなという状況で、どうやってコロナウイルスを追跡しようと言うのでしょう?」とホーメンは続けた。「開いた口がふさがりません。」
しかしトランプの難解なロジックによれば、検査はただ単に完璧というだけではないという。トランプは、自身を弾劾にまで追い込んだウクライナの大統領との電話会議まで引き合いに出した。
「(コロナウイルスの)検査は全て順調だ。