※本記事はローリングストーンUS版で2019年1月8日に公開されたものを一部編集しています。
今週(昨年1月)初めにガバナーズ・ボールのラインナップが発表され、3日間開催されるこのイベントのヘッドライナーの一組がザ・ストロークスだと明らかになった。驚くべきは、彼らがこのニューヨーク市主催イベントでヘッドライナーを務めるのが過去5年間で3度目ということだ。ましてや2011年のツアー終了後、2年近くバンドとしてステージに立つことがなく、以降行なったライブが合計20回程度(当時)という彼らの状況を踏まえると、これは驚異的といえる。
過去の彼らは積極的に活動していた。事実、2001年のストロークスは、デビュー・アルバム『Is this It』をプロモーションするために100本を超えるライブを行なった。ワシントンDCのブラック・キャットやニューヨークのボワリー・ボールルームなどのクラブから出発した彼らだが、急激な人気上昇であっという間にヨーロッパの有名フェスティバルに登場し、熱狂する多数のファンの前で演奏するバンドへと急成長したのである。当時、ノエル・ギャラガーは「ストーン・ローゼズ以来の最高に刺激的なバンドだ」と言っていた。「世界への影響力が最も大きいという点で、彼らが今一番有力なバンドだと思うね」と。
ここでスコットランドのロックフェス、T・イン・ザ・パークで「New York City Cops」をプレイする彼らの映像をご覧いただきたい。ミューズ、ジェイムス、ステレオフォニックス、デヴィッド・グレイなどもこのフェスに登場した。この時点でアルバム『Is This It』はまだ発売前なのだが、ストロークスを取り巻く圧倒的な人気がすでに存在している。
彼らがブレイクして2年後、ローリングストーン誌はカバーストーリーでストロークスを「ロックの新たな王者」と称した。しかし間もなく、バンドの音楽テイストの変化、ジュリアン・カサブランカの飲酒問題、アルバート・ハモンド・ジュニアのヘロイン中毒問題で、彼らの足取りは一気に覚束なくなる。アルバム『Angles』での2011年のツアーを最後に、彼らはそれぞれのサイド・プロジェクトに集中し始め、ストロークスとしてのツアー活動をやめてしまい(カサブランカに言わせると「ストロークスがサイド・プロジェクトで、ザ・ヴォイズがメインだ」らしい)、例外は夏の期間に開催されるフェスティバルへの一瞬の参加だけだった。
(2019年1月時点で)ストロークスとしての最後のライブは、ロラパルーザ・チリに出演した2017年の4月2日。ここで演奏されたセットリスト11曲中10曲は『Is This It』収録曲で(「Alone, Together」だけ演奏しなかった)、直近2作のアルバム(『Angles』と『Comedown Machine』)からは1曲も演奏していない。もちろん、ストロークスの現状は2001年に予想された彼らの未来とはかけ離れているが、彼らが直面した困難を鑑みると、オリジナルメンバーが今も現役で、バンドとしてライブを行なっている事実は小さなミラクルと言えるのかもしれない。
2001年、TV番組「レイト・ナイト・ウィズ・コナン・オブライエン」に出演したストロークス

FUJI ROCK FESTIVAL 20
日程:2020年8月21日(金)~8月23日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
時間:9:00 開場/11:00 開演/23:00 終演予定
https://www.fujirockfestival.com
<リリース情報>

ザ・ストロークス
『ザ・ニュー・アブノーマル』
国内盤CD:2020年4月10日(金)発売
歌詞・対訳・解説付き
収録曲:
01. The Adults Are Talking /ジ・アダルツ・アー・トーキング
02. Selfless /セルフレス
03. Brooklyn Bridge To Chorus /ブルックリン・ブリッジ・トゥ・コーラス
04. Bad Decisions /バッド・デシジョンズ
05. Eternal Summer /エターナル・サマー
06. At The Door /アット・ザ・ドア
07. Why Are Sundays So Depressing /ホワイ・アー・サンデイズ・ソー・ディプレッショング
08. Not The Same Anymore /ノット・ザ・セイム・エニモア
09. Ode To The Mets /オード・トゥ・ザ・メッツ
予約/配信曲試聴リンク:
https://lnk.to/TheStrokesTheNewAbnormal
フジロック初出演となった2006年のセットリストがプレイリスト化、期間限定で公開中(2020年8月23日まで)
https://lnk.to/TheStrokesFRF2006