ガンナは、次のアルバム『WUNNA』でリスナーにワンナのことを紹介するつもりでいる。
5月22日にリリースされた『WUNNA』にはヤング・サグやリル・ベイビー、トラヴィス・スコット、ロディ・リッチも参加
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二つ名というのはラップにおいてさして珍しいものではない。エミネムにはスリム・シェイディがいるし、T.I.にはティップがいる。フューチャーがつくりだした人格の数々があればウータン[・クラン]くらいの大きさのグループを始められるだろう。電話越しに聞くかぎり、ワンナとガンナの違いは、ガンナのほうがリラックスする余裕があるというところのようだ。アトランタのどこかでガンナは自己隔離生活を送っていて、世界のほかの場所と変わるところはない。スタイル上の先駆者であるヤング・サグの影から抜け出すのに数年を費やしたのち、彼は自分の実力だけをたのみに絶えずツアーに明け暮れるアーティストへ成長し、独力でストリーミングをまわすまでになった。フェスのラインナップやクラブイベントに刺激が欲しい? なら呼ぶべき奴はわかってるはず。ラップアルバムに客演が要るなら、ガンナはいつだって頼りになる奴だ(もし駄目だったら彼の教え子も頼りになるだろう[訳注:リル・ベイビーのこと])。
ガンナがニューアルバムに――更に言うと、彼のファンたちに――なににもまして望むのは、シンプルにこんなことだ。「しばらくここにいるつもりだ、ってみんながわかってくれたらいい」。「だから俺に慣れておいてくれ」。
ーこのパンデミックのあいだどう過ごしてました?
ガンナ:かえって家でいろいろまとめる機会になったよ。だからほんとに有意義な時間を過ごせた、この時間を有意義なものにできたね。
ーアトランタはどうですか? いつもどおりに戻りつつありますか? ショッピングモールは開いてるって聞きましたよ。
ガンナ:深刻な状況だと思ってる。とてつもなく深刻。だから外出はしてない。モールになんか行きやしないよ。
ー隔離期間中に見て一番よかったものは?
Netflixを見てた。見たのは 『オザークへようこそ』と『ブラックリスト』。腰を下ろしてきちんと映画を見る機会なんてほんとになかったんだ。久しぶりだった。それだけでも楽しかったな。
ーあなたの好きな気晴らしに、ショッピングがあると思います。今やニーマン・マーカス[訳注:アメリカの百貨店チェーン]が経営破綻して、店も閉まっている。どういうふうに買い物をしてます? どこで買い物を?
ガンナ:正直、行く場所がないから買い物もしてない。しょっちゅうクローゼットに入っていっては新しいものを手に取るんだけど、着ていく場所もない。
この投稿をInstagramで見る❕WUNNA❕(@gunna)がシェアした投稿 - 2020年 5月月2日午後12時22分PDT
ーInstagramを見て気づいたんですけど、いまもあなたは毎日バッチリ決めた服装をしてますよね。フルワードローブで着飾っている。全世界が同じような服を着ていて、家の中でパジャマを着ているいま、なんで服を着るのがそれほど大事なんでしょう。
ガンナ:だってそれが俺だから。子供の頃から1日に2、3回は着替えてたよ。理由はわからない。母さんに聞いてくれ。ずっとそうしてきたんだ。
ーツアーやクラブへの出演がなくなって、仕事に影響ありましたか?
ガンナ:とても。ツアーが仕事のアーティストだから。出演予定はほんとにぎっちり。ショウも控えてたんだ。そこが俺にとっての変化だね。チルしてるよ。
ー客演を増やしているのはその影響を埋め合わせるためですか?
ガンナ:ほんとにたくさんの客演をやったね、まだ精算中だよ。だから、結局のところ、まだ支払い待ちの客演がある。この状況が終わるまでのあいだにも、支払いのある客演がいくつかあるはずだ。つまり、いまのところ客演で生計をたててるってことだね。
ーニューアルバムの制作を開始したのはいつですか?
ガンナ:去年の終わりだったはずだ。ジャマイカに飛んで、3週間くらいレコーディングをした。そこで『WUNNA』というタイトルを思いついて、アルバムに収録されてる曲の大半をつくったんだ。
ージャマイカはどうでした?
ガンナ:楽しかった。
ージャマイカへの旅がアルバムのタイトルに与えた影響は?
ガンナ:すごくリラックスして楽しく過ごしていたから、いつもと違う自分でいるようだった。『WUNNA』というタイトルを思いついたのは、俺が双子座だから。双子座は二面性があるってよく言うだろ? まるで二人目の自分みたいな気分だったんだよ。この二人目の名前はたまたま思いついた。
ーパンデミック前、ジャマイカに行くよりも前の生活はどのくらい忙しかったですか? コンスタントにツアーに出て、レコーディングしてたと思うんですけど。
ガンナ:ほんとにめちゃくちゃ働いていた。集中していたよ。一番取り組んでいたのはライブだったんだけどね。自分がどうしたいかが定まってなかったんだ。ただ曲だけがあった。俺は町にいようがいまいがいつもスタジオに入ってる。だから曲はあったわけ。どうやってその曲を発表したいか、本当にわからなかったんだ。出したいタイトルがたくさんあったものだから。たとえば『Drip Season 4』。これはいま作ってる最中だ。『Drip or Drown 3』については、リリースしたいかどうか、制作に集中するのがいいか、別のことにとりかかるのがいいか、自分でもわからなかった。最終的には別のことをやることにしたんだ。それが俺の選択だった。
ー「Skybox」をリード曲にしようと思ったきっかけは?
ガンナ:あの曲が気に入ってた。ジャマイカで制作した曲だ。俺のDJ[訳注:「Skybox」のプロデューサーはTaurus]があのビートをたまたまつくってくれて、いまやそいつは俺のスーパープロデューサーのひとりだ。いまは引き篭もって俺のためにビートをつくってくれているよ。あれは俺たちにとって特別な時間だった。ああいう曲をリリースしたかったし、彼のお披露目になればと思ったんだ。みんなが彼のサウンドと、俺たちが一緒になったサウンドに慣れてくれるようにね。
ーアルバムの制作で一番大変だったことは?
ガンナ:制作で一番難しかったのはアルバムをリリースすることだった。リリースに一番いいタイミングを探して、すべての線がひとつによりあわさっていることを確かめる。これはアーティストとしてやらないといけない大事なことのひとつだ。タイミングを見計らい、全部の戦略を練るんだ。
ー「Dollaz On My Mind」は傑出した曲のひとつですが、この曲はヤング・サグをフィーチャーしています。いまふたりにとってこの曲がぴったりだった理由はどのあたりでしょう。
ガンナ:彼がやる曲ならなんだって俺は合わせられるし、彼も俺のやるどんな曲にも合わせられる。お互いによくつるんでいて仲がいいから、一緒に曲をやることもできるんだ。でも、もし彼がビートをプレイしても、俺が同じ曲で思いつくだろうフロウと同じフロウを使うことはないだろうね。それでも俺たちは協力して、あの曲をヒットさせることだってできる。
ー昨年、あなたと[リル・]ベイビー、フューチャー、そしてヤング・サグが『Super Slimey 2』をリリースするかもしれない、という話がありました。まだ可能性はありますか?
ガンナ:もちろん。
ー全部がいつもどおりに戻り始めたときにはなにをするか、計画を教えて下さい。
ガンナ:ああ、ツアーをするよ。海外に行って、戻ってきたらアメリカをまわる。そのときにはもうひとつアルバムを出していたいね。それがいまのところの計画だ。