リトル・リチャードで私は育った。私より前にそこにいた。
「偽預言者」の歌詞から、(同じく今年亡くなった)ジョン・プラインとリトル・リチャードのことを思い浮かべたが、彼らの死後、トリビュートの意味で彼らの音楽を聴いたかの問いに。
「どちらも、それぞれの仕事において勝利を勝ち取った人間だ。誰からのトリビュートも必要としてないよ。彼らが何をしたか、何者なのか、みんなわかっている。彼らに寄せられる敬意、称賛の数々に彼らは値する。それだけは疑いようがない。ただリトル・リチャードで私は育った。私より前にそこにいた。私の下でマッチに火を灯し、明るくしてくれた。自分一人じゃ、知ることなかったことに私の耳を傾けさせてくれた。
リトル・リチャードは偉大なるゴスペル・シンガー
何故もっと多くの人がリトル・リチャードのゴスペル・ミュージックに耳を傾けないのか?に対して、こう答える。
「それは本来ゴスペル・ミュージックが良いニュースを届ける福音の音楽であるはずなのに、今、世の中に福音と呼べるものが何もないからだろう。今の世界で福音はまるで逃亡者だ。チンピラのように扱われ、非難を浴びながら、逃げ回わるっきゃない。我々が目にするのは、何の役にも立たないニュースのみ。メディア業界のおかげでね。そういうニュースは人々を焚きつける。ゴシップ、人の恥部。暗いニュースは気分を滅入らせ、怯えさせる」
「それとは逆に、良いニュースは人の模範になり、それを知った者は勇気を与えられる。
リトル・リチャードとロバート・ジョンソン
「リトル・リチャードは偉大なるゴスペル・シンガーだった。だがゴスペルの世界ではアウトサイダー、もしくは不法侵入者と見なされ、受け入れられなかった。一方、ロックンロールの世界は彼が「グッド・ゴリー・ミス・モリー」を永遠に歌うことを望んだ。彼のゴスペルはどちらの世界からも受け入れられなかったのさ。シスター・ロゼッタ・サープも同じだったと思う。
「それはロバート・ジョンソンもだ。もっとかもしれない。ロバートはこれまでで最も独創的な天才の一人だ。当時、彼にはおそらく聴衆はいなかったと思う。あまりに時代の先を行っていて、いまだに誰も追いつけていない。今日では最も高い地位に祭り上げられているが、あの時代、彼の曲は聴く者を混乱させたに違いない。偉大な人間は、自分の足跡だけを追う。そのことの良い例だ」
●リトル・リチャードはなぜ偉大なのか? レノン、ディラン、ボウイも愛した反逆児の功績
フォークのトラディションに閉じ込められているのか?
ジョン・レノンへ捧げ「ロール・オン・ジョン」を歌ったが、他にバラードを書いてみたい人物はいるか?の問いに対し、
「ああいう曲は、突然、どこからともなく生まれるんだ。
●ボブ・ディランが語るフロイドさん殺害事件とコロナ禍について
NYタイムス紙web版で公開された全文は以下より
https://www.nytimes.com/2020/06/12/arts/music/bob-dylan-rough-and-rowdy-ways.html
<INFORMATION>

『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
ボブ・ディラン
ソニー・ミュージックジャパンインターショナル
2020年7月8日発売
●E式W紙ジャケット
●解説・歌詞・対訳付
●SICP6341-2(CD2枚組)
●定価:3000円+税
<収録曲>
DISC ONE
1.アイ・コンテイン・マルチチュード
2.偽預言者
3.マイ・オウン・ヴァージョン・オブ・ユー
4.あなたに我が身を
5.ブラック・ライダー
6.グッバイ・ジミー・リード
7.マザー・オブ・ミューズ
8.クロッシング・ザ・ルビコン
9.キーウェスト(フィロソファー・パイレート)
DISC TWO
1.最も卑劣な殺人

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