2021年に公開延期になったビートルズの新作映画『The Beatles: Get Back』に合わせて、公式ブックが出版されることが明らかに。アルバム『レット・イット・ビー』を生んだ1969年の収録風景から「未公開の写真数百枚」を掲載した240ページのハードカバー。
その気になる内容は?

アルバム『レット・イット・ビー』、および同名のドキュメンタリー映画の制作舞台裏を描いたピーター・ジャクソン監督による待望のドキュメンタリー『The Beatles: Get Back』の公開日が、2021年8月に延期された。ショックを少しでも和らげようと、ビートルズは映画公開に合わせた公式ブックの出版を発表した。

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2021年8月31日――映画公開日のちょうど4日後――に出版予定の240ページのハードカバーブックには、のちに『レット・イット・ビー』を生む1969年のレコーディング風景から「これまで未公開だった数百枚の写真」を掲載。映像から拝借した写真もあれば、リンダ・マッカートニーとイーサン・A・ラッセルが撮影したスナップ写真も収められている。大部分は、レコーディング中に行われた伝説の屋上コンサートの写真で占められる予定だ。

ビートルズに関していえば、『Get Back』公式ブックには数百時間におよぶ撮影フィルムから新たに抜き出したメンバーのコメントが掲載される。出版元のCallaway Arts & Entertainment社によれば、こうしたコメントから「『レット・イット・ビー』収録舞台裏の真実が明らかになるだろう」とのことだ。

『レット・イット・ビー』は、もともと『Get Back』というタイトルがつけられ――前作までの実験的作品から一歩離れて、初期のレコーディングのようなスタジオライブの手法に立ち返ろうとする姿勢を表している――トゥイッケナム・フィルム・スタジオで3週間にわたり、レコーディング風景を撮影することになっていた。だが結果に満足できなかったバンドはプロジェクトをいったん保留。代わりに『アビー・ロード』の制作に取りかかった。1970年5月、アルバム『レット・イット・ビー』と同名のドキュメンタリー映画がようやく日の目を見たときには、ビートルズはすでに解散していた。ドキュメンタリーに収められている緊迫した雰囲気は、いわばビートルズの墓標となった。


アルバムと同名映画のリリース50周年の記念プロジェクトとして、55分間の未公開レコーディング映像を託されたジャクソン監督は、恐れおののきながら引き受けたという。「昔からのビートルズ・ファンとしては、あまり気乗りがしなかった」 ローリングストーン最新号の巻頭特集で、監督はこう語った。「こう思ったよ、『すでに世に出ている映像は、これは人様に見せてもいいと彼らが判断したものだ。だとしたら、残り55分には何が映っているんだろう?』 そのあと思った、『楽しみなはずなのに、何が出てくるかと思うと恐ろしい』」

驚いたことに、想像していたよりもバンドの結束力やクリエイティビティが満載だった、とジャクソン監督は語る。公式ブック『Get Back』の序文も監督が筆をとった。「いちファンとして56時間の映像を見たとき、今までとは違うことをしたいのに、やり尽くしてしまったというバンドの姿が浮かび上がった」と監督。「彼らは同じことを繰り返したくなかった――『サージェント・ペッパー Part 2』は作りたくなかった。シェイ・スタジアムよりもデカい箱で演奏することもできないし、複雑なアルバムも、シンプルなアルバムもすべて経験済み。彼らも本当は解散したくなかったんだ、というのがよく伝わってくる。僕にとって一番印象的だったのもそこなんだ。彼らは常に前に進もうとしたが、すべてやりつくしてしまっていたんだよ」

本の紹介文の中で、イギリスの戯曲家で小説家のハニフ・カーディッシュ氏もジャクソン監督と同じように書いている。レコーディング当時に亀裂が生じたという有名な話とは裏腹に、「彼らにとっては実のある時期だった。
ビートルズの傑作のいくつかがこの時期に生まれた。この映画は制作の初期段階や過ち、試行錯誤、倦怠、興奮、歓喜に満ちた演奏、そして突如道が開けて今日われわれが知る傑作を生んだ瞬間を、我々に垣間見せてくれる」

新作映画『The Beatles: Get Back』は当初、今月に劇場公開が予定されていたが、COVID-19の影響で来年夏に延期された。おそらく次の展開としては、1970年アルバムと同時に公開された――長らくビートルズ本人たちからは認められていなかった――映画『レット・イット・ビー』の劇場再上映も予想されるが、今のところ詳細はまだ明らかにされていない。

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From Rolling Stone US.
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