連邦裁判所は現地時間19日、2016年に行われたマックスウェル被告の422ページにわたる供述書の公開を命じた。エプスタイン元被告による性犯罪の被害者の一人で、当時17歳だったヴァージニア・ロバーツ・ジュフリーさんがマックスウェル被告を相手取って起こした裁判の際の証言である(訴訟は2017年に和解。和解金の額は明らかにされていない)。ジュフリーさんはマクスウェル被告が彼女をイギリスのアンドルー王子に紹介し、性行為を強要されたと主張していた。
この4年間、マックスウェル被告は供述書を公開させまいと必死に戦ってきた。自分のセックスライフが事細かに書かれているため、公開されれば刑事裁判での十分な弁護に支障をきたす、というのが彼女の主張だった。だが実際に供述書を読んでみると、彼女がなぜそこまで執拗に公開を拒んだのか理解しがたい。422ページのどこにも彼女の個人的な情報はいっさい出てこないからだ。マックスウェル被告の非協力的な態度は捜査妨害が目的だと言わざるを得ない。
供述書を見ると、マックスウェル被告はいかなる質問にもはっきり答えようとしていないことがわかる。何ページにもわたり、ジュフリーさんの弁護士と「大人の玩具」の定義について議論している(「操り人形」という言葉の定義について議論している場面もある)。
Q:ここに警察への通報記録がありますね。刑事捜査についてもご存知でしょう。ジェフリー・エプスタイン被告が未成年者に性的虐待を働いたと思いますか?
パリュウカ氏(マックスウェル被告の弁護士):再度異議を申し立てます。
マックスウェル:目の前に出されたものが何かは分かります。中身についても。
Q:私が尋ねているのはあなたの考えです。ジェフリー・エプスタイン被告が未成年者を性的虐待したと思いますか?
マックスウェル:私が実際に読んだ内容と、見せられたものについてしかお話しできません。
Q:あなたの考えを聞いているんです。あなたの考えでは、ジェフリー・エプスタイン被告は未成年者を虐待しましたか?
マックスウェル:私が個人的に知っていること、ヴァージニアさんが語った嘘について個人的に知っていることしかお話しできません
このようなやり取りが13ページも続く。
供述書の中で唯一真実が語られた場面とは?
このあとマックスウェル被告は事実上、ひたすら譲歩の姿勢を見せる。
供述書の中で唯一真実が語られた場面は、エプスタイン被告との関係性について質問された時だ。「あなたは自分を彼の恋人だと思っていましたか?」というジュフリーさんの弁護団の質問に、マックスウェル被告はこう答えた。「それは答えにくい質問ですね。彼の恋人だと信じたかった時期はありました」。1990年代初期のころだ。離れたくても離れられない相手と身のない関係を続けている多くの女性が共感する発言だろう。422ページの供述書以上に、マックスウェル被告の動機と思われる内容を声高に物語っている。さらに言えば、マックスウェル被告がこの先動機を明らかにしない理由も、我々が完全に理解できない理由も納得できる。
【関連】ジョンベネちゃん殺害事件と性的虐待のエプスタイン元被告、陰謀論が生んだ接点とは? TikTokで拡散された動画
from Rolling Stone US