※この記事は2021年6月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.15』に掲載されたもの、インタビューは2月下旬に実施。
たった1枚のアルバムで、その後のギターバンドのあり方を根本から変えてしまったマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。幾重にもレイヤーされたフィードバック・ノイズや儚げで美しいメロディを、それまでの常識を覆すようなミックス・バランスによってまとめ上げた1991年の2ndアルバム『loveless』は、リリースから30年経った今も愛され続け、その謎めいたサウンドスケープを解明しようとする人々は後を絶たない。
彼らの旧作のストリーミング配信が解禁され、新装盤CD/LPもリイシューされた2021年はしかし、過去に何度か訪れた「マイブラ祭り」とは様子が違う。というのも、これまでメディアにはほとんど姿を現さなかったバンドの司令塔ケヴィン・シールズが、今回はいつになく積極的に取材やメディア出演に応じているのだ。バンドやその作品たちが「神格化」されることを避けようとしているのか、それとも単なる気まぐれか……? いずれにせよ、本誌も1時間半に及ぶインタビューを行うことに成功。アイルランド郊外にパートナーと2匹の愛犬と共に移住したケヴィンに、コロナ禍で考えていたこと、ソングライティングの具体的なプロセス、メンバーへの想いなどを尋ねた。