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※この記事は現在発売中の「Rolling Stone Japan vol.21」に掲載されたものです。
ー音楽の入口は?
LANA お兄ちゃん(LEX)にやってみなよって、突然言われて作ったのが始まりです。
ーそうなんですね。歌がめちゃくちゃ上手いので、小さい頃から歌のトレーニングをしているのかと思いました。
LANA お母さんに風呂で歌を歌わされてました。喉の使い方とかを特訓されてて。それが自然と身についたんだと思います。
ーどんな歌を歌っていたんですか?
LANA 美空ひばりさんの「愛燦燦」とか『アニー』の「Tomorrow」です。オールジャンルでいろんな音楽を聴かされました。ダンスも3歳の時からやってたので、音楽は常に隣にいる感じでしたね。
ー初めて世に出した曲は、2020年2月にSoundCloudに上げた「HATE ME」ですよね。
LANA あれが初めて作った曲です。当時、付き合っていた人に振られたのがきっかけで作りました。
ーすでに今のスタイルが確立されていますね。
LANA 「HATE ME」の反響が意外と良かったので、作り続けようと思ったんです。最初は特にこれって決まってるものはなくて。やり続けることで、徐々に本気になっていった感じです。今はヒップホップを歌ってますけど、あまりジャンルは気にしてないですね。自分の持ってるものを音楽に変えて発信していきたいんです。ヒップホップって強い意志を見せるものですけど、私はそんなに強くないし、弱い自分も音楽の中で見せていきたい。普段聴く音楽も静かな歌なんですよ。オリヴィア・ロドリゴとかテイラー・スウィフトも聴くので。そういう音楽もやっていきたいですね。
ー「HATE ME」を出した同じ年の5月には、LANA, LEX名義で「IM NOT HER」をリリースしているんですね。
LANA ちゃんとリリースしたのはその曲が初めてです。スゴく恋愛に悩んでたので、その時に思ったことを歌にしようと思いました。私生活の中の出来事を歌にすることが多いですね。遊びながらビートを流して、今の気分にハマるものを選んでいって。半年に1回のペースでレコーディングしてました。
ー今年9月に出した「Get It feat. ZEN & KESSO」では、子供の時に感じた辛いことを歌にしていますね。
LANA 貧乏だったんですけど、私の中ではそれが当たり前だと思ってて。でも大人になっていくうちに、人と違うことに気がつくんです。今まで自分が経験してきたことを歌詞にして世に出したら、共感してくれる人がいるかもしれないと思って。自分の過去をさらけ出すじゃないけど、それで救われる子、共感できる子がいればスゴい素敵だな思ったんです。
ー最近出した2曲、「PULL UP」と「Xmas with U」は全く違うタイプの曲で驚きました。
LANA ジャージーは今来てるなと思ってて。日本で出してる人があまりいないなと思って作りました。
ーあのビートで速いフロウで歌ったり、メロディを乗せたり、いろんな歌い方をしていますよね。
LANA 完成するまでいろいろ悩んだところもあるので大変でしたが、自分の声は武器だと思ってるので、その武器を使いつつ、ああいう曲もできるよっていうのを見せたかったんです。
ーライブで絶対に盛り上がる曲ですね。
LANA ライブも意識してますね。バックダンサーでお姉ちゃんを使わせてもらってるんですけど、お姉ちゃんが表でキラキラできて、私もキラキラできるように作った感じです。ライブはダンサーさんも交えて、どうしたら楽しんでもらえるか考えてます。
ーお客さんが楽しく踊れる感じは重要ですからね。モッシュばかりだと辛いから。
LANA 女の子は痛いし、つぶされちゃうから(笑)。
ー確かに、海外では強くてセクシーな女性ラッパーの人気者は多いけど、日本にはそのポジションのアーティストがいないですね。
LANA 中身が強いですよね。それを日本の女の子たちに見せたいと思うし。私は強いわけじゃないけど、自分の曲を聴いてもらってる時だけでも、「別に」みたいなヴァイブスになってもらえたらいいなと思うんです。

Photo by ARISAK
「女の子にはもっとわがままに生きてほしい」
ー「PULL UP」はMVの方も、等身大の女の子の仲間感が出ていていいですね。
LANA みんな友達なんですよ。お姉ちゃんのダンス友達と私のリアル・フレンドを呼んで。
ーその後に出した「Xmas with U」は全く違うタイプの曲ですが、歌の上手さをちゃんと聴かせていますね。
LANA ヒップホップ・シーンの人たちにも、違うシーンの人たちにもヤバいと思われたくて。じゃあガチで歌おうと思ったんです。クリスマスは一番大好きなイベントなので、しっとりいきたかったんですよ(笑)。風呂でお母さんに教えてもらったことが発揮できましたね(笑)。
ーMVも出ていますよね。
LANA あんな感じで歌ってるのに、見た目はギャルなんです。でもギャルとかイケイケの女の子にはピュアな子が多いし、それをもっと伝える時だなと思って。私もそっちの部類に入ると思うし。恋愛に対してはおとぎ話みたいなのを求めがちなんです。そういう意味でも共感してくれる子がいると思いますね。
ー2022年を振り返ってみると、どんな1年になりました?
LANA やりたいことが増えたし。やりたいことができるようになると、伝えたい何かが出てきましたね。自分がやりたいだけじゃなくて、これをやったら聴いてる子たちがどんな気持ちになるんだろう?って考えることが増えました。やればやるほどそうなってきてますね。今、世の中に期待されてる、そんな感じがします(笑)。
ー2023年はどんな活動をしていきますか?
LANA 「この子、何者?!」っていう風になってほしいですね。スゴい病みソングも作りたいし、スゴいパーティ・ソングも作りたい。来年はさらに自分のやりたいことにフォーカスを当てて、みんなに聴いてもらいたいと思ってます。
ー長い目で見て、こういうアーティストになりたいというのはあります?
LANA 女の子の味方でいたいです。悩んでる女の子の気持ちに寄り添えるような音楽を作りたいし、イケイケな気分の時にも聴いてもらえるような音楽を作りたい。女の子にはもっとわがままに生きてほしいんですよ。かと言って、けっこうガラスのハートも持ってるから。だからもっとそれを形にできたら、女の子はもっと生きやすくなるんじゃないかなと思うんです。ファンの子が悩んでることも聞きたいし。そういうのをインスタライブでくっちゃべってます。自分が悩んでるからこそ、みんなの気持ちもわかるんです。私からもみんなに質問したりするし、情報交換みたいな感じですね。意外と男の子で相談してくる人もいるんです。「こうなっちゃったけど、俺は女の子にどうすべきなんだ?」とか。男の子も強がってるけど弱いんですよ。とりあえず男と女が平等になってほしいです。女の子の味方でいたいですけど、女の子だけに限らず、ティーン全体の味方でいたいと思ってます。
LANA
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