今回のインタビューではバンドを代表してデイヴ・ムステインにご登場ねがい、ゲームについての話をメインとしつつ、先日開催されたジャパンツアー、そして約24年ぶりとなるマーティ・フリードマンとの共演にまつわるエピソードや、オリジナルワインやメガデスブランドのビールなど、様々な事業に積極的に取り組む彼の真意についても語ってもらった。
――先日、6年ぶりとなるジャパンツアー、そして初の武道館公演が開催されましたがいかがでしたか。
デイヴ・ムステイン 最高だったね。本当にいい経験だったよ。
――今回は初の武道館公演ということだけでなく、かつての盟友マーティ・フリードマンが参加したことも大きな話題となりました。これはどうやって実現したんでしょうか。
デイヴ・ムステイン マーティとの再会に関してはずいぶん長い時間をかけて俺たちの中で話し合いが続いていたんだよ。俺自身、ヤツと一緒にステージに立ちたかったしね、『Rust in Peace』の曲でライブをやろうって。でもこれまでなかなか実現しなかったからマーティも俺も悲しかったよ。武道館は30年前にライブが一度キャンセルになってるんだけど、マーティは日本が大好きだったこともあってとても動揺してたし、俺だってヤツが落ち込んでるのを見るのはつらかった。
――細かな段取りはどういう感じだったんでしょうか。
デイヴ・ムステイン 前日にやったライブのバックステージにマーティが来てくれて、リハーサル的なことをやったんだ。俺らがいつステージに上がってどのタイミングで捌けるかとか、紹介はどうするかとか全部ヤツが率先して仕切ってくれて、あの頃の俺のパートナーが戻ってきてくれたような感覚になったよ。それで、いくつかある曲の中のひとつをマーティに任せたり、お互い任せられるところは任せたり、かつてのようにライブができて本当に楽しかったよ。こんなふうにできたのは以前マーティがバンドにいたとき以来初めてじゃないかな。キコともやったことはないかも。マーティと再会したことでしみじみとあの頃を思い出したよ。
――さて、今回のインタビューのメイントピックになるのですが、このたびメガデスがウォーゲーミング社のゲーム4作品、戦車や自走砲に乗って戦う対戦型無料オンライン戦車アクションゲーム『World of Tanks: Modern Armor』と『World of Tanks Blitz』、そして対戦型無料オンライン海戦アクションゲーム『World of Warships: Legends』と『World of Warships』とコラボすることになりました。これはどういう経緯で決まったんでしょうか。
デイヴ・ムステイン 誰がどう企画したのかとか、誰が「メガデスに声かけてみようぜ」とか「デイヴとかVicがこのゲームに完璧に合ってるんじゃないか」とかいう話をしたのか俺も全然知らなくて。
――メガデスの楽曲は計3曲使用されていますね。
デイヴ・ムステイン いやー、これは本当にすっごくヤバいことだよ。ウォーゲーミング側は数あるメガデスの曲を使ってやりたいことがしっかりあったんだ。しかも、過去につくった曲だけではなく、ニューアルバムの中の曲も使うことになって、うちとしては今ちょうど世界ツアーやっててプロモーションするのにベストな機会だったね。ほかにも、「World of Tanks」に出てくる戦車に乗る車長としてメガデスメンバーに言わせてみたいセリフを書き起こしたりしてくれたんだ。
――いまおっしゃったように、ゲームにはメンバーが登場するだけでなく、実際の声でしゃべってもいるという。普段のレコーディングとは勝手が違ったと思いますが、いかがでしたか。
デイヴ・ムステイン 歌を録るときみたいにブースに入って、マイクで音を拾いながらアンプ調整したり録音するのと技術的には大きな違いはないね。録ったのはスピーチだしね。ただ、スピーチは歌と使うエネルギーが違うんだ。歌の場合は、頭声を使う人もいれば胸声や喉歌を使う人もいるし、とても複雑なんだよ。あとは歌詞だな。歌詞は通常、映画の中に出てくるセリフのような印象を聴いた人に持たせない。つまり、歌は聴いてるだけで覚えられるけど、映画は言葉数がとても多いし、映画を観終わったときに覚えてるセリフなんてせいぜい一言二言ぐらいだろ? だからどれだけの言葉が使われていて、どれくらい覚えているかでいうと歌はずっと覚えやすいんだ。たとえば、ターミネーターに出てくる”Ill be back”ってセリフがあるだろ? みんな、だいたいそこしか覚えてない。メロディや音の響きの影響を多大に受けた曲の歌詞とはわけが違うんだ。
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――メガデスのマスコットVic Rattleheadもゲームに登場して喋るというのは熱いですね。
デイヴ・ムステイン 本当にそうなんだよ。3Dプリント化したり、イラストとして描かれたり、動画の中で誰かがコスチュームとしてかぶって登場することはあったけど、動いたりすることはこれまでなかったね。
「World of Warships」や「World of Warships: Legends」ゲーム内に登場するムステインとVic艦長 © 1998–2023 Wargaming.net All rights reserved.
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――明確なイメージがあったんですね。
デイヴ・ムステイン あと、俺たちはVicのボイスサウンドについてしっかり監修したんだ。「エルム街の悪夢」のフレディ・クルーガーでもなければ、「ソウ」シリーズのジグソウでもダメだし、「ハリウッド・ナイトメア」のクリプトキーパーでもダメ。俺たちはVicを一人のキャラクターとしてクールでパワフルで特別な存在にしたかったんだ。そうやっていろいろ試行錯誤した結果、すごくいいものになった。特に興味深かったのは、中国の市場ではコンテンツの規制の関係で違うものにしないといけなかったんだけど、その規制のおかげでもう一つのクールなVicを作れたんだ。俺たちは難題に立ち向かう挑戦者のような感覚だったね。そうだ、チャレンジで思い出したけど、今回のプロジェクトでチャレンジだったのはセリフの多さ。文章や命令を含めた350のセリフがあったんだけど、俺は一つのセリフにつき3回くらい録り直したんだ。
――最新作『The Sick, The Dying...And The Dead!』にインスパイアされた戦車も登場するそうで、こだわりがすごいです。
デイヴ・ムステイン 俺らがやったのはメガデスらしさを保つためのクオリティチェックだね。例えば、『Rust In Peace』のマークがあるんだけど、俺たちが思っていたのと違うものが上がってきたこともあって、こっちから意見して直してもらった。とにかくディティールにこだわったよ。
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――ウォーゲーミング社という、普段関わることのないゲーム会社とのお仕事はいかがでしたか。
デイヴ・ムステイン ウォーゲーミングの人たちはみんなとっても親切だったよ。一緒に作業していた人たちは今まで全くしゃべったことがない人たちだったけど、問題を淡々と修正したりスムーズに作業できたし、何かを押し付け合ったりすることもなく常に友好的にやり取りを進められたね。
――音楽の話に戻りますが、最近デイヴさんはメタルに限らずどんな音楽を聴いていますか?
デイヴ・ムステイン 自分の家の心臓部でもあるキッチンで俺はよく料理をしているんだけど、そこではクラシックとかフレンチジャズとかをたくさん聴いてるかな。まあ、ヘヴィメタルをやってる人間に対するみんなの期待としては、「デイヴは絶対モーターヘッドを聴いてるぜ!」って感じなんだろうけどね。まあ、実際聴いてるんだけど、こういうところで改めて話すようなことでもないだろ?
――デイヴさんは、音楽やゲーム以外にもぶどう園を開いてオリジナルワインを販売したり、メガデスブランドのビールを作ったり、忙しい合間を縫って様々な取り組みをしています。
デイヴ・ムステイン 俺は人を幸せにするのが好きなんだ。だけど、単純に人を喜ばせるだけでは足りなくて。ずいぶん前、スピリチュアルメンターの先生に「いろんな場所へ今まで行ったけど、毎回何かを得て帰ることは難しい」という話をしたことがあったんだけど、そこで彼から「じゃあ、あなたはその場所から何かを得るだけでなく、何かを残していこうと考えたことはありましたか?」と返されたんだ。そのときに「ああ、なるほど。人生とはこうやって常に学ぶことなんだ」と思ったね。
■World of Tanks Modern Armor
期間: 2023年8月29日から9月25日
■ World of Tanks Blitz
期間: 2023年8月29日から9月3日
■World of Warships
期間: 2023年8月29日から9月13日
■World of Warships: Legends
期間: 2023年8月28日から10月2日
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