【動画を見る】「鬼」のような風貌の連続殺人犯
AP通信、USA Today紙、ノースイースタン大学が管理するデータベースによると、これまでにアメリカで発生した大量殺人は36件で、少なくとも累計188人のアメリカ国民が大量殺人で死亡したという。
歴代最多件数を記録したのは2019年で、1年間に46件(10月時点の数字で比べると、今年より10件多い)。データベースによれば、2006年以降アメリカでは累計568件の大量殺人が発生している。
2023年最初の大量殺人は年明け早々に発生した。1月4日、ユタ州イーノックで男が妻と義母、それに実子5人を殺害した。犯人も自ら命を絶った。事件の数週間前に妻は離婚を申請し、児童保護施設が虐待の疑いで夫を調査していた。
これ以外にも1月だけで6件の大量殺人がアメリカ各地で発生した。データベースには毎月1件以上の事件が登録されている。
もっとも最悪だったのが多かったのが10月25日のメーン州の事件だ。発生場所は解放された公共の場で、多くの人が余暇を楽しんでいた。
だが、今年もっとも頻発しているのは、公共の場所以外の大量殺人だ。ユタ州の事件のように、家庭内で発生している。
今年BBCはアメリカで銃乱射事件が急増している原因を分析し、アメリカ国民がかつてないほど銃を所有していることが判明した。2020年に銃の販売件数は歴代最多を記録し、2300万丁の火器が販売された。FBIによれば、ジョージ・フロイドさん死亡事件や連邦議事堂襲撃事件の余波による暴動を受け、銃販売の際に行われる経歴チェックも増えているという。より多くのアメリカ人が銃を手にするようになり、他殺・自殺など形態を問わず、銃による暴力事件が増えている。
BBCの調べでは、アメリカ国内の銃による死者数で銃乱射事件が占める割合は1.1%でしかないが、意図的に銃を乱射する事件は増加傾向にある。アメリカでもとくに凶悪な銃乱射事件の上位10件のうち、9件はここ16年間に起きている。
今年5月、銃による暴力事件に詳しい専門家はAP通信の取材に対し、銃の販売件数の増加、銃規制法の脆弱性、新型コロナウイルスのパンデミックによるストレス、国を二分する政治的風潮に加え、「アメリカ文化が次第に暴力傾向にある点」を事件急増の理由として挙げている。
先月26日付のニューヨークタイムズ紙の報道によると、25日の乱射事件の死者数はメーン州の年間殺人死者数とほぼ同じだそうだ。
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