彼らが2021年のユーロヴィジョン・ソング・コンテストで優勝した時、2年半後には日本で4夜のアリーナ公演を軽々と売り切るまでに成長するなどと想像だにしなかったが、未だとどまるところを知らない勢いで、単身ロックンロールとミュージシャンシップの復権を推し進めているマネスキン。2023年に入ってからの4人は、年明けに発表した3rdアルバム『RUSH!』を携えてキャリア最大規模のワールド・ツアーに旅立ち、各地で大舞台を踏んでひとつひとつの体験を学びの機会にして、アルバムのデラックス盤『RUSH! (ARE U COMING?)』の発表をもってこのチャプターに終わりを告げようとしている。ジャパン・ツアー初日を前にしてインタビューに応じてくれたダミアーノ、トーマス、ヴィクトリア、イーサンとそんな1年間の歩みを辿り、バンドの現在地を確かめた。(文・新谷洋子)

Photo by Haruki Horikawa, Post Production by Kenneth Pizzo @pizzok
ーマネスキンの2023年は『RUSH!』のリリースで始まりました。3rdアルバムではありましたが、世界的な注目を浴びてから最初の作品とあって、デビュー作を改めて送り出したような意識はあったのでしょうか?
ダミアーノ:そういう部分もあるね。自分たちが新人アーティストだと見做されるだろうことは分かっていたから。でも僕らは特に気にしていなかった。むしろここにきて、新しいオーディエンスに対して自己紹介をするチャンスを得たことを楽しんだよ。
ー今回は全員が納得する曲を作ろうとするのではなく、敢えて各メンバーの異なる音楽嗜好を強調するようにして、多様なサウンドを包含するアルバムに仕上げたと発言していました。そういうアルバムを作ったことで、バンドのケミストリーにも影響はありましたか?
ヴィクトリア:特にそういうことはなかったかな。
(※本誌記事へ続く)

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