Crossfaithが約6年ぶりとなるニューアルバム『AЯK』を完成させた。これまでもエレクトロサウンドとバンドの融合という彼らがずっと目指してきたことがかなり高い次元で実現されており、そういった意味では過去最高傑作だと断言できる内容になっている。


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しかし、この作品にたどり着くまでに彼らは多くの困難に直面した。コロナ禍に加え、長年連れ添ったメンバーの脱退や活動休止といった出来事は、メンバーの口から「解散」という言葉が出るぐらいバンドを追い込んだ。実際、今回のインタビューの最中にもメンバーが感極まる場面があったほどだ。

Crossfaithはそこからどうやって蘇り、この傑作にたどり着いたのだろうか。今回は音楽面以上に5人の心の動きや魂の復活劇にスポットを当てて話を聞いた。本記事の読後に改めて『AЯK』に触れるとき、あなたの目の前にはきっと新しい景色が広がることだろう。

―最初にアルバムの感想をお伝えしておきます。めちゃめちゃカッコいいです。

Koie(Vo) ありがとうございます!

―間違いなく最高傑作だなって。

Teru(Program/Vision) いや、うれしい。

―今回はそこに至るまでの話からお聞きしたいと思います。コロナ禍があったり、活動休止期間があったり、メンバーの脱退があったり、ここ数年はCrossfaithにとって本当に大変な時期だったと思うんですが、思うように活動ができなかった間、みなさんはどんなことをしたり、考えたりしていましたか。


Koie まず、2022年9月に活動休止になったあとすぐ、「メンバー、1回ちょっと散って」と言って、一人ひとりの時間を過ごそうっていう話になって……そもそも、コロナ禍前に以前所属していたレコード会社から独立して、自分たちのレーベルを作ってそこから作品を出したり、全部自分たちでやっていくということに対してすごくワクワクしていたんですけど、コロナ禍になってもずっと楽曲制作をしたり、ライブをしたり、配信したりってノンストップで動き続けてきて、それにプラスしてコロナ禍におけるフラストレーションもみんなどこかで蓄積していったところがあって。

―それはそうですよね。

Koie そうこうしているうちにバンドの中がちょっとガクついてきて。そこでさっきの話に戻るんですけど、活動休止するってなったときに「休もう」みたいな。で、1、2カ月ぐらい休みをもらって、俺は実家に帰ってほんまにだらだら過ごして。でも、SNSを見ると周りのバンドは当然活動を続けてるから、そういうのを見てるうちに「ちょっと歯がゆいな」っていう気持ちにもなって。

―わかります。

Koie でも、その分自分のメンタルを整えることができたし、必要な時間だったのかなって思いますね。

―Tatsuyaさんはどうしていたんですか。

Tatsuya(Dr) バンドとしては一度休むことにはなったんですけど、自分はドラムを叩くことが好きだから、リラックスしつつも常に腕を磨き続けて、バンドが復活したときにさらに進化したものを届けられるように武器を磨き続けるような活動をしながら、たまに川辺でチルしたり、ゆっくりした時間を過ごしてました。

―Kazukiさんは?

Kazuki(Gt) 僕自身、過去に個人的に活動休止したことがあったので、ほかのメンバーに比べるとその期間中に考えられること、見えるものというのは多少違ったかなと思います。なので、バンドにとってどうするのがいいかとか、そういうことを中心に考えて行動してたと思います。


―Teruさんは?

Teru ワールドツアーをキャンセルして、そこで目の前が真っ暗になったところがあったんで、俺とコイ(Koie)ちゃんの地元は大阪の堺なんですけど、一度実家に帰るっていう話をしたらコイちゃんもついてきてくれて。それで、地元の公園で2人で酒を飲んだりして(笑)。

Koie その頃、Teruはけっこうダウナーやったし、俺もどっちにしろ帰るつもりやったし、ヴァイブス上げれたらな、みたいな。

Teru そこから半年ぐらい時間を空けて去年(2023年)6月にshibuya CYCLONEで復活ライブをしたんですけど、それまでは家族と過ごしたり、時間が癒してくれたりして。でも「このまま何もアクションせんかったら前には進めない」と思ってたので、CYCLONEでやることはライブの半年前ぐらいから決めてましたね。

―Crossfaithが活動休止を決めた頃、Daikiさんはまだサポートメンバーだったんですよね?

Daiki(Gt) はい、そうですね。

―その頃は何をしていたんですか。

Daiki まあ、絶対戻ってきてくれるだろうなと思いながら、ソロギタリストとしていろんなバンドのサポートをしたり、仲間と曲をつくったり、一人で音楽をつくったりしてました。それまであまり一緒に過ごせなかったこともあったんで、実家に帰って家族と過ごしたりもしましたね。あとは普段できないことをしようと思って、謎に2日かけて東京から江ノ島まで歩いたり。

―あはははは!

Teru 俺も今度やろう(笑)。

―みなさん割とリラックスしていたんですね。


Teru 怒涛の活動をしてきて俺らも限界がきてたんで、自分たちが今どういう状況に置かれてるのか客観的に見る時間が必要だったんですよね。

―ということは、活動は一旦止まってしまったけども、Crossfaithを諦めるということにはなってなかったんですね。

Teru Crossfaithは「俺たちはずっとこのメンバーでやっていこうぜ」っていう強い信念のもとに組んだバンドだったんで、メンバーが脱退して、あのときに思い描いてた未来と違うってなったときに、「このままやっていけるんだろうか」って思うことはありました。やっぱり、一人でいる時間が長いとネガティブな思考とか不安がループしていくじゃないですか。だから、活休中に一度メンバーを家に集めて、「Crossfaith、ここまでなんじゃないか」って言ったことはあって。

Koie 「解散、しようか」みたいな。でも、俺は解散する気はまったくなかったんで、「Teruがほんまにそう思うんやったらいいけど、まだ何も達成してないし、ダサくても這いつくばってでも続けるほうが俺はカッコいいと思う」みたいなことを言って。Teruは幼馴染だし気持ちはすごく理解できるんだけど、「無理!」って(笑)。

Teru それだけ追い詰められてたというか。たとえば、スキーって自分が進みたい方向に目を向けると自然とそっちに向かって行くじゃないですか。それと同じで、暗い未来を思い描いてるといつの間にかそっちにたどり着いちゃうんですよ。メンバーに解散のことを伝えたときは、俺自身そういう未来しか思い描けない状態だったんですよね。
でも、さっきコイちゃんが言ってた言葉もそうだし、メンバーみんな俺とは違う未来を見てることに気づいて、「これはメンバーに乗っからせてもらおう」って。自分に未来が見えてなくても、ずっと一緒に戦ってきた仲間には見えてるんやったらそこに乗っかればいいんだっていう気持ちになって。

―うんうん。

Teru そもそも、俺自身もバンドを辞めたくて言ったわけじゃなかったんで、「じゃあ、もうちょっとやってみようか」みたいな感じになったっすね。 ―当時は、今いるところから逃げたくなってたというか。Teru なんか、わけわかんなくなってたんですよね。もう、何が正解かもわかんなかったし。

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

Koie(Vo)(Photo by Mitsuru Nishimura)

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

Teru(Program/Vision)(Photo by Mitsuru Nishimura)

アルバムのスタート地点は「山での生活」

―もちろん、アルバムというのはまだ見えてなかったと思うんですけど、今作の曲は活休中からつくり始めていたんですか。

Teru 活休を発表してからひと月後ぐらいに、俺たちのライブを撮ってくれてるフォトグラファーの青木カズローくんが「ちょっといいとこあるから、山でも行ってきたら」って岐阜の山奥にあるカズローくんのおじさんの別荘を勧めてくれて、それでメンバーにも「気分転換も兼ねてちょっと山行かへん?」みたいな感じで誘って、楽器を持って1週間くらい山に行ったんですよ。朝は川に行って、木を拾って、薪を割って(笑)。

Kazuki 焚き火もして(笑)。

Koie めちゃくちゃサバイバル。
みんなで車で行ったんですけど、山に着いた日にマネージャーが車のキーをなくしちゃって、ほんまに山奥やからコンビニとかマジでないんすよ。だから、スーパーで買い出ししたもんしか残ってないなかみんなで助け合って、温泉に行くのに2時間半ぐらい歩いたりして(笑)。

Teru そんなときでも自然とみんなで音を鳴らしてたんですよね。「なんかつくろうぜ!」じゃなくて。で、温泉に行く途中に見つけた<宇宙ツアー>っていう看板に惹かれて後日改めてそこに行ってみたら、シーズンオフのスキー場が「山のてっぺんで星見れます」みたいなことをやってたんですよ。そこでみんなで星を見たりして、それが今回の曲につながってるんですよ。そのときの山での生活が今回のアルバムのスタート地点だったんじゃないかって思ってるところはあるっすね。

―では、本格的に制作に向かう気持ちになれたのはいつぐらいなんですか。

Koie 去年の秋ぐらいから本格的につくることになって、俺らが生まれて初めて入ったフクダスタジオっていう地元のスタジオを使わせてもらったり、今回のツアーの最後に回るFUZZっていう地元のライブハウスを3、4日貸し切ったり、そこで爆音で曲をつくったのが『AЯK』の最初のセッションでしたね。―じゃあ、今回は原点に立ち返って制作をした作品なんですね。

Koie そうっすね。で、秋に曲をつくり始めて、年末にはもうレコーディングが終わってた。


―それ、すごくないですか?

Teru それはもう、爆発したとしか言いようがなくて。フクダスタジオで初めてDaikiと曲づくりのセッションをしたんですけど、その初日にできたのが「ZERO」なんですよ。

―……それはちょっと鳥肌モノの話ですね。

Koie ほんまに1日に1曲アイデアが生まれるぐらいの感じでした。Daikiの引き出しの多さも大きかったし、ヴァイブスもよくて。Daikiは俺らと同じ目線でバンドのことをずっと見てきてるし、俺らと同じような音楽を聴いてたりするから共通言語もすごく多いんですよ。しかも、DaikiはCrossfaithの曲っていうことをわかって曲を書いてくれてて、「ここはこうしたほうがCrossfaithっぽいと思う」っていうこともちゃんと言ってくれるんですよね。で、そのセッションが終わったあとにいつも合宿させてもらってる奈良のスタジオに行ったんですけど、そこでDaikiに正式メンバーとして入ってもらおうっていう話をして。

Teru そうやな。ヨーロッパツアーに行く前日ぐらいに。

Daiki すごいタイミングでした。みんなで晩メシ食ってるときに、「Daiki、メンバーになってくれへん?」って。「え、今?」みたいな(笑)。

―あはは!

Koie Teruが「今日言おうと思ってる」って言ってて、「ああ、いいんちゃう?」みたいな。でも、どのタイミングで言うのかなと思ってたら、「そのタイミング!?」みたいな(笑)。

―あはは! ヨーロッパへ行く前日ってけっこうドタバタしてるタイミングじゃないですか。そんなときに言われるとだいぶ心揺さぶられますよね。

Daiki そもそも、作曲の合宿に入ることになったときはまだメンバーじゃなかったし、ちょっと複雑な気持ちだったんですよ。

―それはそうですよね。

Daiki もちろん光栄だし、嬉しいんですけど、メンバーじゃないからどこまで携わるべきなんだろう、みたいな。でも、間違いないものをつくりたいっていう気持ちでいたし、やってるうちにどんどん楽しくなっていってたときにそうやって声をかけてくれたんで、「そうなるよね」みたいな。

―自然な流れだったんですね。

Teru 遅いぐらいかな、ぐらいの感じでしたね。

Daiki 誘ってもらったときは、「遠慮しなくていいんだ!」みたいな気持ちになりました。

―4人としては、曲づくりのセッションを経て「これは入ってもらうしかないでしょう」っていう。

Tatsuya そうです。「こんなにしっかりヴァイブスがつながるメンバーはDaikiしかいないでしょ」っていう確信に変わりました。

―2021年や2022年にも配信シングルを出していたけど今作には収録されていなくて、なんでだろうとは思っていたんですけど、今の話を聞くと入らないのも納得です。

Koie 制作を始める前に、「活動休止を終えてからどうしていこうか」「アルバムで復活したいよね」みたいな話をしてたときは、「じゃあ、『Gimme Danger』入れる? どうする?」みたいな話もしてたんですけど、実際につくっていくうちに新しいもんだけでやろうっていうことで入れないことになりました。

Teru 意図的に入れなかったわけじゃなくて、本当に自然な流れで。Daikiと初めてセッションに入る前から各々曲を溜めてて、俺もネガティブな状態にいるときでも曲づくりは続けてたんですけど、その曲たちをどうしようかっていう話になったときに、「いや、これちゃうなあ」みたいな(笑)。

Koie つくってくれた曲を聴かせてもらったとき……曲はいいんですよ? めっちゃいいんすけど、Teruが「でもな、この曲は暗いねんな」って言って、「ま、確かにちょっと暗いな」って(笑)。そういう判断をするぐらい俺たちのモチベーションが高かったというか、めっちゃアッパーな状態になってて。

―バンドのテンションがストレートに反映されてる作品なんですね。

Koie そうですね。今、話しててびっくりしたのが、曲をつくり出してから3、4カ月でアルバム1枚つくったんですよ。今までのスピードから考えたらだいぶ早いんじゃない?

Kazuki それぐらいHige Vibes(ハイ・ヴァイブス)やったよね。

―ポジティブな作品にしようと意識していたんですか。

Tatsuya そうですね。

Koie 「明るい曲だけにしようぜ」みたいな話し合いはなかったんですけど、気づいたらっていう感じで。

Tatsuya 活休からの復活ということもあったんで、やっぱアッパーでパワーのある感じでいきたいよねっていう意識は自然と共通してもってたのかな。

―自分たちのモードに合う曲をつくっていくなかで自然とこうなったと。

Koie ああ、そういうことですね。

―Tatsuyaさんは活休の間、YOASOBIなど多岐にわたるアーティストのサポートドラマーとしてライブに参加していましたけど、そういった経験が今作に反映されている部分はありますか。

Tatsuya めちゃくちゃ反映されてると思います。最も集中力が発揮されるライブという場所でいろんなアーティストと演奏することでレベルアップや進化につながったし、そこで得たものをバンドに持ち帰ることで、曲をつくる上で新しいアクセントの付け方をすることができたり、いい影響を与えていると思います。さらに進化したものを表現できてると思います。

―自分の手癖とは異なるフレーズを叩くことで学ぶものがあったり。

Tatsuya いろんなライブを経験したことによって、いろんな音に対して気を使うようになったり、視野が広がったのかなという印象はあります。

Teru これまでずっとやってきた曲でもちょっとアプローチが変わってたりするし。

Tatsuya うん、表現の幅はめちゃめちゃ広がったよね。

Koie 「こいつ、まだ進化する!?」みたいな。あはは!

Teru Crossfaithとは180度違う楽曲たちをずっとプレイしていて、しかも音だけじゃなくて現場の環境も違うし、携わってる人も違うし、そこでの経験は絶対すごいですよね。

Tatsuya なんか、修業に出た気分になりました(笑)。

Kazuki (Tatsuyaがドラムを叩いた)TKさんのライブを観に行ったんですけど、CrossfaithのTatsuyaのドラミングとは全然違って、それはそれでめちゃくちゃ新鮮でしたね。

―今回、6年ぶりのアルバムになるわけですけども、今、改めてCrossfaithが表現したいものってなんなんでしょうか。

Teru 今回のアルバムは誰かのためにつくったとかそういうことじゃなくて、自分たちのためというか、自分たちがカッコいいと思えたり、ハイになれるようなものにしたいと思ってて。何がカッコいいんやろうとか、誰のためにやってんやろとか、わからんくなる瞬間はけっこうあったんですけど、今回のアルバムは本当に全曲すごいポジティブなエネルギー、前に進んでいこうというエネルギーに溢れていて、それは自分たち自身が前に行きたいと強く思っているからこそそういう曲ができていると思うし、そうやって生まれた音を通じてお客さんにもポジティブなエネルギーが伝わればすごく嬉しいです。ライブでも一緒にポジティブなエネルギーを生み出すことができたら、俺たちが前に進めたようにライブに来てくれた人とか音を聴いてくれた人たちも前に進めるエネルギーを共有できるんじゃないかなって。そういう作品になればいいなと思います。

―このテンション感でありながら、実はパーソナルな作品だという。

Koie そう。

Teru めちゃめちゃ。多分、過去いちパーソナルなんじゃないかな。

―パーソナルっていう表現が全く似合わない音ですけどね。

Koie そうですね(笑)。でも、メンバーそれぞれに想いは絶対ありますね。

―今回のような経験を経たことで内面の変化はありますか。

Koie 個人的には建前がなくなったというか、地に足がついたというのは感じてるかな。本音と建前がある世界だとは思うんですけど、「それ、いらんな」みたいな。あんまり自分を作りすぎないというか。ここ2、3年は本当に辛い時間でもあったし、それがあったからこそ人の痛みがさらにわかるようになったところはあると思います。

Teru 等身大なメッセージだからこそ感情やリアリティが乗っかるし、今回もCrossfaithの音の世界にコイちゃんの歌詞と感情がこれまでで一番乗っかったと感じてますね。

―でも、ポジティブな楽曲が揃った中でも「DV;MM¥ SY5T3M...」だけはネガティブなものになっていますよね。自分たちが経験した辛い期間と、この曲のもとになっているエヴァンゲリオンはどうやって結びついたんですか。

Teru 俺はずっとエヴァンゲリオンのファンで、エヴァにはダミーシステムが暴走するっていう設定があるんですけど、それがエレクトロとかアップテンポとかハードコアにマッチするやろなっていうアイデアはずっと頭の中にあったんですよ。そうしたら、地元のスタジオでセッションしたときにDaikiが弾き始めたリフを聴いて、「あ! これは……ダミーシステムや!」ってピンと来て、そこからつくり始めたんですよね。

Koie 歌詞はめちゃくちゃ書き直したし、今回一番時間がかかってます。最初はアルバム全体をポジティブなものに仕上げようっていう話にはなってたんですけど、そのときに感じていたネガティブなことも自然と歌詞には出てくるから、1曲ぐらいは自分たちが置かれていた状況とかそこで感じていた痛みを表現したいなと思って、メンバーにも話してこういう歌詞にしました。最初は頑張ってポジティブな歌詞を乗せようとしたんですよ。だけど、どうしても無理だったから逆の方向に振り切って考えてみたら、「シンジくんと初号機の関係って面白いな……」っていうところから歌詞を書いてみたら、自分の中で一本筋が通ったような感じがしたんですよね。自分も落ち込んだし、Teruがダウナーになってたのもこの目で見てたし二度と同じ経験はしたくないけど、自分たちと似たような境遇にいる人たちがこの曲を聴いて「自分だけじゃないんやな」って思えたらちょっと楽になるんかなって思って歌詞を書き直しました。

―曲中に「気持ち悪い」という有名なエヴァのセリフが出てきますが、これはTeruさんのアイデアですか。

Teru あれは実はコイちゃんで。あと、「気持ち悪い」以外にもあの曲にはけっこうエヴァの小ネタを盛り込んでいるんですよ。

―あ、そうなんだ。

Teru リズムとか。

Koie え、リズムもなん!?

Teru そう、リズムも。わかる人が聴いたらちょっとニヤッとしちゃうような小ネタがいくつか入ってて。

Koie スタジオカラーに送ろ(笑)。

Teru (笑)「気持ち悪い」は友達に頼んで言ってもらいました。

―個人的にはこの曲が一番好きです。めちゃめちゃかっこいいです。

Daiki メタラーですね。

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

Tatsuya(Dr)(Photo by Mitsuru Nishimura)

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

Kazuki(Gt)(Photo by Mitsuru Nishimura)

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

Daiki(Gt)(Photo by Mitsuru Nishimura)

ラウドとかメタルとかハードコアの層を厚くしたい

―ああ、ギターが最高にカッコいいです。ちょっと話は変わりますが、2月にPaleduskと一緒にオーストラリアツアーに行っていましたけど、日本のバンドが複数で海外ツアーに行くというのはあまりないことだし、すごくいいなと思ったんですよね。どういう経緯で実現したんですか。

Koie 俺と(Paleduskの)Kaitoの間で「一緒にツアー回りたいよね」っていう話をしてたら、ちょうどそういう提案がエージェントからあって、「ちょうどええやん!」って。

―ああ、そういう話があったんですね。ではそれは別として、若手のバンドをフックアップしたいという意識はありますか。

Koie ありますね。カッコいい若手のバンドってたくさんいるんですけど、どのバンドもあんまり日の目を浴びてないというか、まだすごくアンダーグラウンドな印象があって、「何が足りへんねやろな」と思ってて。でも、俺たちもバンドを結成してファーストアルバムを出したぐらいの頃に、PTPがツアーに誘ってくれたりしたことがあったんですよね。偉そうですけど、やっぱりそういう経験が一番大事なんかなって。だから、今回の俺らのツアーでも若手のバンドをピックアップしてるし、ラウドとかメタルとかハードコアの層をグッと厚くしたいなっていうのは思ってますね。

―やっぱり、そういう気持ちはあるんですね。

Koie 13、4年前、エレクトロが入ったメタルバンドをメジャーレーベルが青田買いしてた時期があったじゃないですか。でも、あれって今考えるとすごいことやなって。当時はそういうムーブメントがすごい嫌いやったけど、今になって考えてみたらそういうことが起きるのはそれだけ注目度が高いってことだから、またあのときみたいに盛り上げれたらなと思います。

―Paleduskもそうですけど、最近はSiMもアメリカでのライブが好調だったりして、 日本のメタルやラウドのバンドの活動が徐々に世界規模になってきてると思います。Crossfaithは先駆者として今のシーンをどういうふうに見ていますか。

Koie シンプルにすごくいいなって思います。俺らがツアーを始めた10年前って海外ツアーをするようなバンドは本当にいなかったけど、今はサブスクとかYouTubeが広まったおかげで海外に行くチャンスが増えてるバンドがたくさんいると思うから、あと5年ぐらいしたら全てのバンドが海外行けるんちゃうかうぐらいまで状況が整うんちゃうかなと思ってるから、すごくワクワクする。そうなれば海外に日本のバンドをいっぱい連れていけるやろうし。

―そうですよね。

Koie 前回のPaleduskとのツアーも、「こういうパッケージで来てくれ」っていう海外の人がいるってこと自体、15年前とか20年前だったら考えられない。そうやって日本の音楽全体がどんどん世界に認められていってるし、日本の音楽の影響を受けた海外のアーティストも出てきてたりして、そういうアーティストがこれからさらに増えてくるんちゃうかなって思うとすごくワクワクしますね。

―そうやって世界の状況が変化していく中で、Crossfaithはどうやって世界のシーンと向き合っていきますか。

Koie どうしていこっかな。ずっと止まらずに海外ツアーと日本ツアーを続けてきた期間が10年ぐらいあって、 10年やらんとわからへんこともあって。今後の俺たちは、ライブはガンガンするけど、世界で勝負できる新しい音楽をもっと生み続けたいと思ってます。それを足がかりにして海外に戻ってっていう活動をしていけたらと思うんですけど、今後自分たちがどういうバンドになっていくべきかというのはこれからさらに見えてくると思うし、それを見つけるための作業が作曲やったりするので、これからもノンストップで動きまくるというよりは、自分たちの今後や未来のことを考えて動いていくと思います。

Teru 曲ができることで、「じゃあ、こういうライブができるな」とか、「こういう演出できるな」ってアイデアが出てくることもあるし、逆に「このステージに合うような曲をつくろう」って思うこともあって。実際、今回のアルバムができたことによってライブで見たい景色が自然と浮かんできたんですよ。俺たちにはもっとでけえところで、いかつい演出で、世界中のヤツらをびっくりさせたいっていう野望があるから、これからもまだ行ったことのない世界に行って、俺たちのショーでみんながエキサイトしてくれたらそんな楽しいことはないと思ってますね。

―そうやって世界各地で見てきた景色が、来年2月に開催する主催フェスにも反映されるわけですね。

Teru それは活かしたいですね。

―言える範囲で構わないので、どんなことを企画しているのか教えてください。

Koie 言える範囲?(笑)。まだね、なんも決まってない……は言いすぎですけど(笑)、こういうことをしたいっていうアイデアがいっぱいあって、その中からどれをやろうかな、みたいな感じです。

―これから精査するという。

Koie そういうことです、はい。なーんも決まってないです(笑)。でももちろん、海外のアーティストは絶対に呼びたいです。

Teru これまでの経験とかを活かして、「やっぱCrossfaithのフェスやな」って思ってもらえるもんにしたいなっていうのはありますね。

Koie 他のフェスとは違うぞっていうのを見せれたらなと思います。

―「いつメン」と言われないような。

Koie いや、でも実際、フェスのラインナップを考えたときに、「むっず……」ってなりましたよ。海外のバンドは別として、日本のバンドのラインナップは「どうしよう……」みたいな。でも、頑張ります。

―今日話を聞いて思いましたけど、Crossfaithはここからスタートなんですね。

Koie いや、本当にそうですね。

Teru だから、最初のシングルが「ZERO」っていう。

―ああ、そういう意味もあったんですね! 『AЯK』はそういう内面の話を聞くことでより好きになれる作品だと思います。

Koie うれしいっすね。

Teru まだまだ話せますよ! 1曲1曲にすごく思い入れがあるので。

Koie 「飲み行こか?」ってなるよな(笑)。

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

Photo by Mitsuru Nishimura

<INFORMATION>

Crossfaithが明かす魂の復活劇 傑作アルバムを支える不屈のマインド

『AЯK』
Crossfaith
ワーナーミュージック・ジャパン
発売中
形態:CD/デジタル(ダウンロード&ストリーミング)
01. The Final Call
02. ZERO
03. My Own Salvation
04. God Speed feat. WARGASM
05. Warriors feat. MAH from SiM
06. HEADSHOT!
07. DV;MM¥ SY5T3M…
08. L.A.M.N feat. Bobby Wolfgang
09. Night Waves
10. Afterglow
11. Canopus
商品リンク:https://CrossfaithJP.lnk.to/ARKPu

■CD情報:通常盤 (WPCL-13588) 3,300円(税込)
■HYPER EDITION(数量限定商品)13,800円(税込)SOLD OUT
CD(通常盤)とオリジナルアイテムをセットした数量限定商品。バンドのオフィシャルストアにて受付(SOLD OUT)
https://speciesinc.world/collections/new/products/wpcl-13588-he
CD購入特典:
<店舗別オリジナル特典>
対象店舗にてご購入いただいたお客様に先着で下記特典をプレゼント
Amazon.co.jp:メガジャケ
楽天ブックス:アクリルキーホルダー
セブンネットショッピング:アクリルカラビナ
全国CDショップ・ネットショッピングサイト共通特典:ピック
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい
※特典ナシのカートもございますのでご注意ください

TOUR情報
Crossfaith AЯK Japan Tour 2024
7.02 (火) – 神奈川, 川崎 CLUB CITTA – Paledusk
7.09 (火) – 山口, 周南 RISING HALL – Fear, and Loathing in Las Vegas
7.10 (水) – 広島, クラブクアトロ – Fear, and Loathing in Las Vegas
7.12 (金) – 岡山, CRAZYMAMA KINGDOM – See You Smile / RiL
7.15 (日) – 沖縄, 桜坂セントラル: One Man Show
7.24 (水) – 岐阜, Club-G – DEXCORE
7.25 (木) – 愛知, 名古屋 ダイアモンドホール – JILUKA
7.27 (土) – 静岡, SOUND SHOWER Ark 清水 – C-Gate / Falling Asleep
8.02 (金) – 群馬, 前橋 DYVER – Before My Life Fails
8.06 (火) – 兵庫, 神戸 Harbor Studio – ENTH
8.07 (水) – 京都, 京都 MUSE – VMO
8.09 (金) – 奈良, 奈良EVANS CASTLE HALL – KNOSIS / 裸繪札
8.15 (木) – 長野, 長野CLUB JUNK BOX – ROTTENGRAFFTY
8.17 (土) – 新潟, 新潟LOTS – ROTTENGRAFFTY / Invert Hourglass
8.18 (日) – 石川, 金沢EIGHT HALL – Age Factory / HIKAGE
8.22 (木) – 青森, 青森Quarter – キュウソネコカミ
8.24 (土) – 宮城, 仙台RENSA – Sabel Hills / SBE
8.25 (日) – 福島, 郡山Hip Shot Japan – Sabel Hills / View From The Souyz
9.12 (木) – 北海道, 旭川CASINO DRIVE – The BONEZ / JUBEE
9.13 (金) – 北海道, 札幌PENNY LANE24 – The BONEZ / JUBEE
9.16 (月祝) – 茨城, 水戸LIGHT HOUSE – Prompts
9.20 (金) – 愛媛, 松山W studio RED – ???
9.22 (日) – 福岡, 福岡DRUM LOGOS – 04 Limited Sazabys
9.23 (月祝) – 熊本, 熊本B.9 V1 – 04 Limited Sazabys
9.26 (木) – 大阪, 三国ヶ丘Fuzz – One Man Show
9.27 (金) – 大阪, Gorilla Hall, Osaka – coldrain
※その他の公演スケジュールについては以下をご参照ください
https://crossfaith.jp/schedule

<Crossfaith 関連link>
Crossfaith Official Site:https://crossfaith.jp/
Crossfaith Label Site (Warner Music Japan) :https://wmg.jp/crossfaith/
X:https://twitter.com/CrossfaithJapan
IG:https://www.instagram.com/crossfaithjapan/
YouTube:https://www.youtube.com/user/crossfaithofficial
TikTok:https://www.tiktok.com/@CrossfaithJapan
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