Rolling Stone JapanでAile The Shotaをインタビューさせてもらうのはこれが10回目。デビューから2年半の中で彼は「J-POPSTARになる」という明確な夢を見つけ、来年3月には国内最大級のホールである東京ガーデンシアターにてワンマンライブの開催が決定している。
夢に向かう道中で、この夏Aile The Shotaが届けるのは「踊り」「ダンス」に対する想いと行動だ。まず、Aile The Shotaプロデュースのダンスチームを結成するためのオーディション『ODORI~ATS Japan Dancer Audition~for TOKYO GARDEN THEATER』の開催を発表し、現在は審査真っ最中。さらにChaki Zuluプロデュースによって完成させた、Aile The Shota史上もっともポップでダンサブルな「踊りませんか?」は、彼のディスコグラフィにおいて重要な一曲となることを確信させる仕上がりだ。

【写真を見る】Aile The Shotaが語る第1章の終わり、「あなた」に向けて歌った理由

なぜAile The Shotは「ダンス」という表現をここまで愛するのか。Aile The Shotaが理想とする、日本における「音楽」や「ダンス」「ダンサー」のあり方とはどういったものか。そして、なぜ自身がJ-POPのメインストリームでスターになるために「ダンス」が必要だと考えているのか。取材後に「自己分析だった(笑)」という言葉がもれるほど、Aile The Shotaが普段考えていることの深い部分までを語り尽くしてもらった。

―このタイミングで「踊りませんか?」という楽曲のリリースがあり、それをタイトルに冠した全国ツアー『Aile The Shota Oneman Tour 2024 ”odorimasenka”』、さらにはダンサーオーディションも開催されています。もちろんShotaさんのルーツやこれまでの活動と地続きであると思いつつ、なぜこのタイミングで改めて「踊る」「ダンス」というテーマにフォーカスすることになったのかを聞かせていただけますか。

「踊りませんか?」のリリースとダンサーオーディションの開催がこの夏になったことは偶然で、狙って考えていたわけではなくて。楽曲自体は1年前にできあがっていたんですよ。ダンスに関してはどこかのタイミングで自分の武器として爆発させるタイミングを作りたいなとずっと思っていて、機が熟したのが今だったのかな。


@ailetheshota 拝啓、全国のダンサーへ。締め切りまであと2日、あなたの挑戦を待ってます。【 #ODORI_AUDITION ♬ J-POPSTAR - Hook Version - Aile The Shota & SKY-HI

―ダンサーオーディションを主催しようと思ったのは、どういった理由からでしたか。

Aile The Shotaとして固定のバックダンサーをつけないということは、一個の美学として持っていようと思っている中で、どのようにダンスシーンにアプローチしようかなと。今年の前半に、ダンスイベントのオーガナイズをやっているアツい想いを持った友達から「ダンサーオーディションとかどうですかね?」と言ってもらって、「それだわ」ってなったんですよ。そこから「どんなダンサーを集めて何をしようかな」って考えた結果、僕がダンスチームをプロデュースしようと思って。展望としては、まずは来年の東京ガーデンシアター公演に出てもらうんですけど、その先は僕がチームを動かしていこうかなと。Aile The Shotaになって、今ダンスシーンの真ん中にいるRht.とかが力を貸してくれるってなったときに、ダンスシーンに一石投じるなら今じゃないかなと思ったし、ダンスシーンに恩返しができるんじゃないかなとも思って。

―Aile The Shotaのバックダンサーを選ぶのではなく、ダンスチーム/クルーをプロデュースしたい、というのがこのオーディションのユニークなポイントだと思うんですけど、それはどういった想いからですか。

僕以外のダンサーとして活動もやりやすくあってほしいんですよね。クルーとして大きなダンスイベントにブッキングしてもらったり、僕のライブにゲストで出てもらう、ということをしたくて。Aile The Shotaのライブのゲストに、たとえばNovel Core、edhiii boi、Maddy Soma、GANMIとかが並んでる中に僕のプロデュースチームも入る、みたいな形が夢です。
やっぱり「バックダンサー」ってなると名前があまり前に出ないじゃないですか。ダンサーはアーティストだと思ってるから、ちゃんと名をつけて、僕のバックダンサーで収まらない活動をしてほしい。いろんなところでかましてきてもらったら、それに僕も力をもらうと思うので。

―Shotaさんの周りにはダンサーがたくさんいると思うんですけど、そもそも「ダンスクルーを作りたい」と考えたときに、仲間やその伝手でメンバーを集めるのではなく、オーディションを開催してゼロから人を探そうとしたのはどういった想いからでしたか。

僕自身ずっとソロでやっていますけど、ダンサーの方がよりソロで戦いにくい業界なんですよね。関係値があるから売れたり、「この子、どのアーティストのバックにもいるよね」みたいにダンサーが固定化してきちゃったり、繋がりが大きいところがあったりして。もちろん、その中で実力主義ではあるんですけど。だからもう超フラットに、超シビアに見るオーディションをやるのがいいんじゃないかなと思ったんです。「THE FIRST」(BE:FIRSTを輩出したオーディション。Aile The Shotaも最終審査まで参加)みたいなことですよね。僕は何もない状態で「THE FIRST」に突っ込んでいったので、当時の自分みたいな子と出会いたいなって。爆発力とか「変えてやろう」みたいな気持ちを持ってる子とやりたいなと思いました。


―「THE FIRST」から出てきて今の位置にいるShotaさんが、実力はあるけどまだ日の目を浴びられてない才能をフックアップすることは、とても説得力があるしめちゃくちゃいいストーリーですね。

アーティストとしてまだキャリアが浅いのに全国ダンサーオーディションができているのは、「D.U.N.K.」(ダンス&ボーカルグループやアーティストが垣根を越えて、日本から世界に発信していくイベントや番組のプロジェクト)を主催しているSKY-HIの下で、Aile The Shotaとしてクラブシーンにアプローチし続けているからだとは感じてました。だからこそ、俺がオーディションをやったらやばい子たちがちょっとは受けてくれるんじゃないかなって信じてみたというか。しかも審査員として、第一線にいるみんな(NAGI thespcstppr、KAZtheFIRE、ASUPI、Macoto)が押ししてくれるので頑張りたいですね。ダンスシーンに、力を貸したいし、力を借りたい。

あくまでJ-POPを大事にした「踊れるJ-POP」を作りたい

―「ダンス」に関して今日はもう一歩踏み込んで聞くと、なぜそこまで「ダンス」という表現をShotaさんは大事にするのでしょう。自分のルーツを大事にしたいという想いや、仲間と上がっていきたいという気持ち以外に、もっと本質的なところで、なぜダンスというものが好きなのか――それは「踊りませんか?」で歌っていることでもあると思うんですけど。

そうですね。自分はヒップホップとしてのダンスも、表現方法としてのダンスも、音楽を聴いたときに無条件に踊ってしまうほど好きで。僕の人生はダンスで変わったので、ダンスにはそれくらいの力があるなと思います。広い意味でいうと、曲が鳴って身体を揺らすだけでもストレスが減るかもしれないですよね。あとは、憧れもあるかもしれないです。
海外だと、ヒップホップやR&Bもポップスじゃないですか。日本のシーンももうちょっとその要素があったら、単純にやばいダンサーがもっと増えそうだし、エンタメを好きになる人がもっと増えるだろうなと思って。「踊り」は音楽を好きになる1個目のきっかけになると思うので。単純に、僕がもっとやばくなった日本のシーンが見たいという感情もありますね。

―Shotaさん自身は、ダンスでどんなふうに人生が変わりましたか?

なんでこんなにダンスが好きなんだろう、何が変わったんだろう……でも全部変わりましたね。考え方とかも。思慮深くなりました。何かを見るときに「浅い」「深い」を気にするようになったのはダンスのおかげかもしれないです。表現するということにおいて意義や意思が必要だと気づけたのは、ダンスから知ったヒップホップのおかげで。ただ音楽をやっているだけでは終われないなというマインドになって、音楽が何を表現するためにあるのかを考えるようになったのは、ダンスやヒップホップがきっかけです。もっと広くいうと、生きているうちに何をするべきなのかを考えるようになりました。視野が広くなったというか、達観するようになったのかな。
そんな変わり方だと思います。あとは耳が変わりました。そうなると音楽の解像度が上がって、リスナーとしてめっちゃ楽しくなる(笑)。

―TikTokに上げている「踊りませんか?」の動画は「好きに踊ればいいよ」っていう、みんなの日常に対するダンスのメッセージになっていると思ってて、逆にダンサーオーディションはダンスシーンの最前線に向かったもので、今両面からアプローチをしているのがいいなと思っていたんですよね。

Aile The Shotaの音楽をやっているひとつの意義が「日本中を踊らせる」だと思っていて、「踊りませんか?」では「音楽が鳴って身体が揺れちゃう」という意味の踊りをやりたくて。オーディションの「踊り」は、もっと本質的な、深いところにある「踊りが上手」な人を集めたいと思っているので、僕の中に混在してるものを同時に開催してる感じはしますね。オーバーグラウンドのポップスも大好きだけど、超コアなヒップホップとかも好きで、気づいたらその両軸をダンスにおいてもやれてるのが今かなっていう感じです。美しいことが起きている実感が強いです。

@ailetheshota ダンス出来ないとか関係ない。誰でも出来る。真似して。(いどむが正解教えてくれました)@Idom @dawgss @Hiromu #踊りませんか #newmusic #チーム友達 ♬ 踊りませんか? - Aile The Shota

―今のJ-POPのメインストリームの音楽に対して、Shotaさんはどんなことを感じていますか。


ビートの鳴りはやっぱり気になっちゃいますね。曲はめっちゃいいな、好きだなって思うけど、「踊れないな」と思うことはけっこうあります。USの音楽でそれはないんですよね。でも日本のメインストリームの音楽は今もずっと聴いてるし、めっちゃ好きですよ。ポップスを作ることがどれだけ難しいかを痛感しているので、「なんだよこれ、なんでこんなに難しいことやってるのにポップスになってるんだよ(笑)」って思うようなすごすぎる曲もあって、めっちゃ学びが多いですね。J-POPのかっこよさや美しさは消えないから、あくまでJ-POPを大事にした「踊れるJ-POP」を作りたくて、「踊りませんか?」はChaki(Zulu)さんとそれをちゃんとやれたと思います。

究極に削ぎ落とし、歌と向き合う

―「踊りませんか?」は音も言葉も「極限まで削ぎ落とした」みたいなシンプルな仕上がりがめちゃくちゃ攻めてるなと思ったし、だからこそAile The Shotaの本質が剥き出しになってる曲だなとも思って。

究極に削ぎ落としてはいますよね。ストイックだと思います。リリックもChakiさんと一緒に細かいところまで詰めて、Aile The Shota史上一番簡単だけど、「でもちゃんとAile The Shota」みたいなところをやりました。今回、歌声にオートチューンをかけてなくて。声のアプローチについてもChakiさんが色々言ってくれて、シンガーとして歌に向き合えた曲でした。歌詞に関していうと、これまで「踊る」というワードを使うことを控えていたんですよ。日本において「踊る」という行為がまだ能動的じゃないから無意識的に抑えていたんだと思うんですけど、それをサビの頭に持ってきたことが挑戦でした。もうそれがすべてかもしれない。あとは基本的にラブストーリーの物語を綴りました。

―でも、”彩りませんか? 消えてしまう前に”とか、Shotaさんにとって音楽とは何かを考えながら書いたものなのかなという気がしてました。

そうですね。いわゆるラブソングで終わらせたくないっていう、Aile The Shota感(笑)。僕の死生観みたいなものをやっぱり入れたいってなるんですよね。ラブソングとして歌ってますけど、どこかAile The Shotaのエゴも入ってたりするので、不思議なバランスで成り立ってる曲だなと思います。

―こうやって「踊る」ことを発信する中で、Shotaさん自身も踊る機会は増えていきそうですか?

増えていくんじゃないかなと思います。ジェイ・パーク、クリス・ブラウン、ブルーノ・マーズとか大好きですから。歌って踊ることがAile The Shotaがメジャーシーンに食い込んでいくときに大事だと思うんですよね。

―ああ、今日聞きたいと思っていたポイントのひとつが、「なぜAile The ShotaがJ-POPSTARを目指す中でダンスを必要としているのか」でした。

ただ立って歌ってるAile The Shotaと、たまにめちゃくちゃ踊るAile The Shota、どちらが魅力的かと考えたら踊る方だと思う。その方が絶対にアイコニックだから。ダンスが1個のトレンドになりつつあるなと思っていて、これまで踊ってなかったアーティストが踊っていたりもするじゃないですか。そこは「いやいや、俺、やっちゃうよ?」みたいな、負けず嫌いなところが出ちゃう感じもあります(笑)。

Aile The Shotaが語る、いま改めて「踊る」「ダンス」というテーマにフォーカスした理由


Aile The Shotaが考える「いいライブ」の条件とは?

―この記事が出る頃にはツアー『Aile The Shota Oneman Tour 2024 ”odorimasenka”』が終盤です。去年の夏に初のツアーをやっていたことを思うと――。

ファーストワンマンから1年しか経ってないらしくて、やばいですよね(笑)。

―やばいなと思ってました(笑)。1年でかなり濃いライブを積み重ねてきましたよね。

1本のワンマンライブに対してテーマや意義、「なぜワンマンライブが必要なのか」をしっかり考えてやってきてよかったなと思います。それでいうと今回のツアーは、これまで自分の存在意義をファンに見せることをやっていたところ、今はもうAile The Shotaが見てる景色をある程度共有できている状態なので、もっとラフにできるかなと思います。セトリもなかなか新しい感じになって、「Aile The Shotaがやるポップ」を見せられるんじゃないかなと思ってます。Chakiさんにも「そういうことだよ」って納得してもらえると思う。

―ステイクール、だけどポップである、というバランス感?

最初Chakiさんに「ヒップホップをやりたい」って言ったんですよ。でも「Shotaがアンダーグランドカルチャー出身ですごく好きでリスペクトしてることも伝わるけど、ポップができる人はポップをやろう」「オーバーグラウンドに行き切った先で好きなだけアンダーグラウンドを呼ぼうよ」って言ってくれて。そう考えたときにAile The Shotaが今やる音楽のライブってこれなのかな、っていうのが今回のワンマンツアーですね。初めて観た人でも重くないライブだと思います。今は多分、ポップにやっても何かを持って帰ってもらえると思うんですよね。「踊りませんか?」がポップだけど軽くないのと同じことがライブでも起きている気がしていて。単純にめっちゃいいライブをします。責任とか緊張感はあるけど、去年のライブ前みたいなナーバスな感じはないかもしれないです。ガーデンシアタも一緒で、エモーション、メモリアルとかはあまり入れずに、ただいいライブをしようと思ってます。

―意味とかストーリーよりも、とにかく「音楽」をやると。その中で何を持って帰ってほしいと思いますか。

人それぞれ違う曲を持って帰ると思うんです。重たい曲のリリックを持って帰ってくれる子もいるだろうし、僕を見て夢を持って帰ってくれる子もいるだろうし……もうそれも委ねたい。好きなように楽しんでほしい。自分の存在意義を示す、マイクを持つ人としての自覚、綺麗ごとを言いたいとか、それを1個1個獲得していったのが去年で、今は出揃った状態で「どれがいい?」って差し出すような感じかもしれないです。

―言い方を変えると、「どんな気持ちも背負ってやるぜ」くらいな領域にいるといえる?

そうですね。それがポップアーティストだと思うから。

―Shotaさんにとって「いいライブ」とは?

最近、答えに近いものが出たんですよ。「めっちゃ楽しいライブ」が正解だと思います。何かを持って帰ってもらうとかはおそらくアーティスト側のエゴで、付加価値だと思うから。頑張って稼いだお金を使ってエンターテインメントを観に行って、音楽を聴きに行って、「めっちゃよかったわ、また行こう」ってなるのが最高のライブだと思います。

―どういう気持ちになったらそこにたどり着くのかは、きっと人それぞれだろうし。

そうなんですよね。トリガーはみんな違うところにあると思うので。みんなが「また来たい」って思える理由を1人1個ずつ持って帰ってもらえるように頑張ろうと思います。

<INFORMATION>

Aile The Shotaが語る、いま改めて「踊る」「ダンス」というテーマにフォーカスした理由

デジタルシングル「踊りませんか? (Prod. Chaki Zulu)」
Aile The Shota
配信中
配信リンク:
https://orcd.co/ats_odorimasenka

「Aile The Shota Oneman Tour 2024 "odorimasenka"」

【大阪】
2024年7月28日(日) OPEN 16:00 / START 17:00
なんばHatch

【東京】
2024年8月2日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
Zepp Haneda(TOKYO)

チケット種別・料金
整理番号付自由:¥5,500 (税込)
※1ドリンク別
※小学生以上有料、未就学児入場不可 ※お一人様1申込みにつき4枚まで(同行者は非会員でも購入可)

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