「ツタロックDIG LIVE Vol.15」が2024年8月7日(水)、東京・Spotify O-EASTにて開催された。今チェックしておきたい次世代のシーンの主役を集結させる目的で2014年から継続してきた同企画。
【画像を見る】12組の熱いライブ写真(全63枚)
Marie's Girl(photo by ヨシハラミズ)
13時15分。オープニングアクトとしてCOSMIC STAGEに登場したのは、Marie's Girl。本公演の出演をかけたEggsのオーディションで優勝し、このステージを勝ち取った兵庫神戸発3ピースロックバンドだ。3人向かい合い、拳を合わせて気合いを入れると、ギター、ベース、ドラムと一斉に爆音を鳴らす。メロディアスで歌謡曲ちっくながらも、ささくれだったパンクサウンドとのギャップに観客たちは引き込まれる。「サブスクもしてない、TikTokもしてない、そんなバンドが初めて東京に立つステージはSpotify O-EAST!」「ガラガラなステージから革命を起こす度胸もないし、踊れる曲ができるわけではない。でも、今日出会ってくれた1人1人、人生うまくいかなくなったら今日みたいな日を思い出して、寄り添えるような曲を歌って、また出会えたら」と、パンクサウンドとは対照的なやさしさに満ちた「優しさに触れる前に」など全5曲をパフォーマンスしステージを後にした。
プッシュプルポット(photo by 清水舞)
コールドプレイの「イエロー」のSEが流れる中、石川県金沢市発4ピースロックバンド、プッシュプルポットがトップバッターとしてメインステージのMASSIVE STAGEに登場。「よっしゃ、やるか! 起きてるか?」と投げかけ、観客たちの手が上がる中、「愛していけるように」でライブをスタート。ヴォーカル・ギターの山口大貴のエネルギッシュなヴォーカルはカリスマ性に満ちている。4人の疾走感に満ちたバンドアンサンブルもパワフルだ。
ジ・エンプティ(photo by ヨシハラミズ)
COSMIC STAGEに登場したのは、福岡県久留米発、22歳の4人組青春ロックバンド、ジ・エンプティ。サウンドチェック時から「赤いスイートピー」をバンドスタイルで演奏し、観客たちの拳をあげ一体感を生むなど、客席たちとコミュニケーションを取ろうとしているのが印象的だ。「今日はじめて俺たちのこと観る人?」と尋ねると多くの手があがり、「まじか」とツッコミながらも笑いを取り、和やかな雰囲気の中でライブをスタート。エレキギター一本の上で歌い、ベース、ドラムも重なり楽器をかき鳴らすと、「やばい夏休みにしたいんで全員でO-EAST揺らせ!」と「さよなら涙」へ。トクナガシンノスケが客席にダイブしギターをかき鳴らすなど、観客たちと熱狂を生み出していく。「ウルトラロマンティック」では、ヴォーカルのハルモトヒナが観客をまっすぐな目でみつめて歌い叫び、最終的にメンバー3人がメインステージに登って演奏するなど、圧倒的熱量で観客たちの心を掴んだ。
Atomic Skipper(photo by 清水舞)
メインステージのMASSIVE STAGEに登場したのは、静岡県浜松市にて結成された4人組バンド、Atomic Skipper。4人がステージ上で拳を合わせると、「ツタロック、やろうぜ!」という中野未悠の空気を切り裂くような叫び声とともに「星降る夜」を演奏。サビの「星降る夜の中」ではメンバーも観客たちもシンガロング。「ここはライブハウス。
cherie(photo by ヨシハラミズ)
オレンジの照明の中、1人ずつCOSMIC STAGEに登場した名古屋発4人組ロックバンド、cherie。ヴォーカルおざきのギターバッキングからドラム、ギター、ベースが重なり、端正なアンサンブルの上に、キー高めなおざきの特徴的なヴォーカルが乗る。これまで登場したバンドたちの熱量を全開に出していくスタイルとは違う形で、じわじわと観客たちの熱をあげていく。ギターフレーズが心地いいオルタナロック調の「恋はジレンマ」ではテンポを変えて展開を作っていくなど、アレンジが心地いい。「サブステージだからって舐めるんじゃねえぞって感じです」と静かにアティチュードを示すところも、cherieというバンドらしさを示している。激しいビートと重低音のベースがグルーヴを生む「拡散」、スローテンポでじっくりと歌をうたいあげる「幸せと災難」など、楽曲のバラエティが豊かだ。「貴方依存症」では観客たちが手拍子で一体感を作り、最後までcherieらしいライブを作り上げた。
チョーキューメイ(photo by 清水舞)
続いてMASSIVE STAGEに登場したのは、東京を中心に活動する4人組バンド、チョーキューメイ。
レトロマイガール!!(photo by ヨシハラミズ)
レトロマイガール!!がCOSMIC STAGEに登場。花菜、あやき、ひらおかの3人からなる大阪北摂を拠点に活動するスリーピース・ロックバンドだ。ギター/ヴォーカル花菜の弾き語りから「君と夕焼け」でライブをスタート。ベース、ドラムが重なったときの音の迫力は強烈だ。
カネヨリマサル(photo by 清水舞)
続けてMASSIVE STAGEにてライブを行うのは、大阪を拠点に活動するガールズ3ピースロックバンド、カネヨリマサル。10分以上しっかりサウンドチェックを行い、そのままステージ上にスタンバイ。17時30分になると「大きいライブハウス、楽しくやりましょう!」とストレートなギターロック「ラクダ」でライブをスタート。躍動的な3人の演奏スタイルに、観客たちも呼応するかのように手を挙げ盛り上がりを見せていく。ギター/ヴォーカルのちとせみなによる裏声も印象的だ。「今日は新曲をやろうと思います。
Laughing Hick(photo by ヨシハラミズ)
夕刻のCOSMIC STAGEには、山梨発の3ピース・ロック・バンド、Laughing Hickが登場した。ホリウチコウタ(Vo,G)がさりげなくギターを鳴らして「愛してるって」を歌い出す。たいち(Dr)、あかり(Ba)のリズム隊が刻むシンプルな演奏に乗せて、過度に声を張ることなく歌うホリウチの歌声は、こちらに語り掛けてくるような、不思議な親しみやすさがある。「ホンネ」では「盛り上がっていこうぜ! 手を振れますか?」と一体感を求めた。「初めてのツタロック、初めてのO-EASTめちゃめちゃ楽しみにしてきました。
シンガーズハイ(photo by 清水舞)
MASSIVE STAGEに登場したシンガーズハイは、ド派手なビッグバンドサウンドのSEに乗ってステージへ。眩いライティングの中、ゆったりとした立ち上がりから「SHE」でライブをスタートさせた。内山ショート (Vo,Gt)が「締まっていきましょう。よろしくお願いします」と呟くと、バンドが叩きつけるようなキメを何度も繰り返してから「Kid.」が飛び出して、フロア一面から拳が上がる。捲し立てるように歌う内山のヴォーカル、重たくタイトで硬質なサウンドが身体を直撃する。ギターの高音リフが扇動して疾走する「エリザベス」ではほりたいが (Gt)がステージ前に出て跪いてソロを聴かせる場面も。「新しい曲やります」と披露されたのは、「STRAIGHT FLUSH」。ものすごい音の洪水をまき散らしながらバンドがエネルギーを放出すると、フロアは熱狂的な盛り上がりとなった。「みんな、音楽は好きですか? だったらね、くだらない皮肉がきいた悪口とかを少しはとっぱらった方が良いって、俺はそう思ってるよ」と、世間に蔓延するムードへ向けたひと言から、パンキッシュなアティチュードが炸裂した「ノールス」へ突入する等、ひたすらカオティックに駆け抜けた。
Blue Mash(photo by ヨシハラミズ)
COSMIC STAGEでは、大阪を拠点に活動するBlue Mashがステージ上がる。優斗(Vo,Gt)は、いきなり「すみません、セトリ変えます!」と、「愛すべき日々」を歌い出した。「デカいステージに立ちたくて音楽をやってるわけじゃありません。フェスに出るために暗い部屋で音楽作ってるわけじゃありません。君を救うために音楽をやってるんだ!」そう叫びながら歌うと、オーディエンスは拳を突き上げ、もみくちゃになってステージ前に転がり込みながら、全身でバンドへ意思表示をしている。「春のまま」では、バカでかい音を叩きつけるようなサウンドの中に、感傷的な言葉が顔を覗かせる。「去年の今日歌詞を書いてメロディを付けて曲を作りました。去年の俺に、あのときの悔しさは無駄じゃなかったと言えるように歌います」と歌い出したのは、「セブンティーン」。こみ上げるように感情迸る歌とバンドが一丸となった演奏に圧倒された。歌い終わると、悔しい思いが音楽に昇華されたように、「ありがとう!」と素直な感謝を観客に伝えた。最後は「海岸線」を歌い、「出会ってくれてありがとう! ロックスター4人組でした。ありがとうございました」と笑顔でステージを降りた。
オレンジスパイニクラブ(photo by 清水舞)
トリを務めるのはオレンジスパイニクラブ。「Last Night」でスズキユウスケ(Vo, Gt)がハンドマイクで歌いながらステージを行き来する姿は、ギターボーカルが多いイベントに於いて新鮮に映る。その後ギターを手にすると、スローな歌い出しでコーラスワークも聴かせた「モザイク」へ。緩急自在にテンポチェンジするアレンジが曲の世界観を感情豊かに伝えた。「2年前にツタロックに出たときはこのステージのトップバッターを務めたんですけど、今回はトリを任せてもらいました」と、バンドの成長を感じさせるMCも。真っ赤な照明の中で歌われた緩やかな16ビートの「ルージュ」、メロディアスな「キンモクセイ」といった、ポップセンス溢れる楽曲で心地よくライブが進んでいく。激しく疾走する「君のいる方へ」でフロアが沸き立ち、「敏感少女」へ雪崩れ込むと、フロアでは一日中ライブを観ていたであろう多くの音楽ファンが、元気一杯にステージ上のメンバー4人が奏でるロックに腕を振り上げて応えている。いったんステージを後にしたものの、バンドはアンコールに応えて再びステージへ。「今日出演したバンドを代表してめちゃくちゃかっこいいロックンロールやって帰ろうと思います!」。飛び出した曲は、「急ショック死寸前」。〈ロックンローラー パンクロッカー〉と叫ぶ、文字通りかっこいいロックンロール。「おやすみなさい! オレンジスパイニクラブでした!」と、見事にトリの大役を果たして去って行った。
<イベント情報>
「ツタロックDIG LIVE Vol.15」
2024年8月7日(水)Spotify O-EAST
出演:Atomic Skipper/オレンジスパイニクラブ/カネヨリマサル/cherie/ジ・エンプティ/シンガーズハイ/チョーキューメイ/プッシュプルポット/Blue Mash/Laughing Hick/レトロマイガール!!
主催・企画:CCCミュージックラボ(株)
制作:株式会社シブヤテレビジョン
協力:Rolling Stone Japan
公式HP:https://cccmusiclab.com/tsutarockdig13
公式Twitter:https://twitter.com/tsutarockliv
本公演では、音楽シーンにおいて注目のバンド総勢12組が出演した。
【画像を見る】12組の熱いライブ写真(全63枚)
Marie's Girl(photo by ヨシハラミズ)
13時15分。オープニングアクトとしてCOSMIC STAGEに登場したのは、Marie's Girl。本公演の出演をかけたEggsのオーディションで優勝し、このステージを勝ち取った兵庫神戸発3ピースロックバンドだ。3人向かい合い、拳を合わせて気合いを入れると、ギター、ベース、ドラムと一斉に爆音を鳴らす。メロディアスで歌謡曲ちっくながらも、ささくれだったパンクサウンドとのギャップに観客たちは引き込まれる。「サブスクもしてない、TikTokもしてない、そんなバンドが初めて東京に立つステージはSpotify O-EAST!」「ガラガラなステージから革命を起こす度胸もないし、踊れる曲ができるわけではない。でも、今日出会ってくれた1人1人、人生うまくいかなくなったら今日みたいな日を思い出して、寄り添えるような曲を歌って、また出会えたら」と、パンクサウンドとは対照的なやさしさに満ちた「優しさに触れる前に」など全5曲をパフォーマンスしステージを後にした。
プッシュプルポット(photo by 清水舞)
コールドプレイの「イエロー」のSEが流れる中、石川県金沢市発4ピースロックバンド、プッシュプルポットがトップバッターとしてメインステージのMASSIVE STAGEに登場。「よっしゃ、やるか! 起きてるか?」と投げかけ、観客たちの手が上がる中、「愛していけるように」でライブをスタート。ヴォーカル・ギターの山口大貴のエネルギッシュなヴォーカルはカリスマ性に満ちている。4人の疾走感に満ちたバンドアンサンブルもパワフルだ。
2年前にも出演予定だったがコロナで出られなくなり、去年初出演、今回が2回目の出演になることを語り、主催者から「ド頭からぶっ壊してください、って言われたのでぶっ壊して帰ります!」と叫ぶとさらに加速していく。「一緒にバカやろう!」とはじまった「バカやろう」では山口が客の上で立ち歌ったり、サブステージのCOSMIC STAGEまで移動して歌うなど、既成概念をぶち壊すようなパフォーマンスで、激アツのステージを駆け抜けた。
ジ・エンプティ(photo by ヨシハラミズ)
COSMIC STAGEに登場したのは、福岡県久留米発、22歳の4人組青春ロックバンド、ジ・エンプティ。サウンドチェック時から「赤いスイートピー」をバンドスタイルで演奏し、観客たちの拳をあげ一体感を生むなど、客席たちとコミュニケーションを取ろうとしているのが印象的だ。「今日はじめて俺たちのこと観る人?」と尋ねると多くの手があがり、「まじか」とツッコミながらも笑いを取り、和やかな雰囲気の中でライブをスタート。エレキギター一本の上で歌い、ベース、ドラムも重なり楽器をかき鳴らすと、「やばい夏休みにしたいんで全員でO-EAST揺らせ!」と「さよなら涙」へ。トクナガシンノスケが客席にダイブしギターをかき鳴らすなど、観客たちと熱狂を生み出していく。「ウルトラロマンティック」では、ヴォーカルのハルモトヒナが観客をまっすぐな目でみつめて歌い叫び、最終的にメンバー3人がメインステージに登って演奏するなど、圧倒的熱量で観客たちの心を掴んだ。
Atomic Skipper(photo by 清水舞)
メインステージのMASSIVE STAGEに登場したのは、静岡県浜松市にて結成された4人組バンド、Atomic Skipper。4人がステージ上で拳を合わせると、「ツタロック、やろうぜ!」という中野未悠の空気を切り裂くような叫び声とともに「星降る夜」を演奏。サビの「星降る夜の中」ではメンバーも観客たちもシンガロング。「ここはライブハウス。
大体のことは自由なので、もっと自分らしくやっていいよ。何かあったら私たちが謝るので最後までよろしくおねがいします!」と伝えると、それまで以上に観客たちは拳をあげ飛び跳ねて音に乗っていく。キャッチーでメロディアスな旋律に対して、楽器帯の演奏は激しくキレキレ、ギター神門弘也とベース久米利弥のコーラスワークも特徴的だ。約2年前から声はかかっていたがタイミングがあわず、ようやく出演できた喜びを語り、「いまの時代にロックバンドをやらなきゃいけない理由がある」と声に出し、最後までエネルギッシュな演奏を見せた。
cherie(photo by ヨシハラミズ)
オレンジの照明の中、1人ずつCOSMIC STAGEに登場した名古屋発4人組ロックバンド、cherie。ヴォーカルおざきのギターバッキングからドラム、ギター、ベースが重なり、端正なアンサンブルの上に、キー高めなおざきの特徴的なヴォーカルが乗る。これまで登場したバンドたちの熱量を全開に出していくスタイルとは違う形で、じわじわと観客たちの熱をあげていく。ギターフレーズが心地いいオルタナロック調の「恋はジレンマ」ではテンポを変えて展開を作っていくなど、アレンジが心地いい。「サブステージだからって舐めるんじゃねえぞって感じです」と静かにアティチュードを示すところも、cherieというバンドらしさを示している。激しいビートと重低音のベースがグルーヴを生む「拡散」、スローテンポでじっくりと歌をうたいあげる「幸せと災難」など、楽曲のバラエティが豊かだ。「貴方依存症」では観客たちが手拍子で一体感を作り、最後までcherieらしいライブを作り上げた。
チョーキューメイ(photo by 清水舞)
続いてMASSIVE STAGEに登場したのは、東京を中心に活動する4人組バンド、チョーキューメイ。
ドラム、ベース、キーボード、ギター/ヴァイオリンという編成で、メンバーの立ち位置も横一列だ。キーボードの演奏から、麗のヴォーカル、ベース、細かくハイハットを刻むドラムのアンサンブルで「故のLOVE」を披露。太いベースソロで観客たちに手拍子を促すと「心を照らせ!」へ。ジャジーでラグジュアリーなサウンドに、途中で麗もヴァイオリンを手に演奏。一転、「おやすみパパママ」では、再び麗がヴァイオリンを手にし、激しいドラムのリズムの上でソロを披露。赤青に照らされる照明の中、ベースソロでさらにグルーヴを生み出した。カウベルの音も重なる重層的なダンスチューンだ。そしてTiktokで10億回超の再生されている大ヒット曲「貴方の恋人になりたい」「涙と羽根のピアス」と続け、圧倒的な演奏力と構成力で観客たちを釘付けにしてステージを後にした。
レトロマイガール!!(photo by ヨシハラミズ)
レトロマイガール!!がCOSMIC STAGEに登場。花菜、あやき、ひらおかの3人からなる大阪北摂を拠点に活動するスリーピース・ロックバンドだ。ギター/ヴォーカル花菜の弾き語りから「君と夕焼け」でライブをスタート。ベース、ドラムが重なったときの音の迫力は強烈だ。
3ピースとは思えないくらいの音の厚みに、花菜の抜けがいいヴォーカルと声量もインパクトがある。爽快感のある「映画で会いましょう」では観客たちのテンションも上がる。MCで6月に開催された大阪編に出演し、今回が2回目の出演となることを話すと、拍手が沸き起こった。「今日は、初めて見てくれている人も、応援してくれている人にも、ちゃんと全員に届くように歌って帰ります」と新曲「落陽」をじっくりと歌い上げた。続くバラード曲「ふたり」は想いを込めて熱唱し、楽器隊が重なると、その世界を増幅。リスナーへの感謝を述べ、「いつかツタロック本祭にも出たいです」と口にし、終始真っ直ぐで力強いパフォーマンスで30分のステージを終えた。
カネヨリマサル(photo by 清水舞)
続けてMASSIVE STAGEにてライブを行うのは、大阪を拠点に活動するガールズ3ピースロックバンド、カネヨリマサル。10分以上しっかりサウンドチェックを行い、そのままステージ上にスタンバイ。17時30分になると「大きいライブハウス、楽しくやりましょう!」とストレートなギターロック「ラクダ」でライブをスタート。躍動的な3人の演奏スタイルに、観客たちも呼応するかのように手を挙げ盛り上がりを見せていく。ギター/ヴォーカルのちとせみなによる裏声も印象的だ。「今日は新曲をやろうと思います。
ライブハウスの力見せていきましょう」とベースのいしはらめいが観客たちに手拍子を煽り、「嫌いになっちゃうよ」へ。「今日はたくさんのバンドが出て、たくさんの人を巻き込んでいるイベントに出ることができて嬉しいです。音楽でできることを信じて最後まで届けていきます」「ライブハウスは非日常やと思っている。日常で戦って、命を続けて、好きなバンドを見に行こうと思っていると思う。だからこそみんなの心を満たしたいと思う。音楽で支えたい。守りたい」と終始ポジティブな雰囲気を作り出し、6曲を演奏してステージを後にした。
Laughing Hick(photo by ヨシハラミズ)
夕刻のCOSMIC STAGEには、山梨発の3ピース・ロック・バンド、Laughing Hickが登場した。ホリウチコウタ(Vo,G)がさりげなくギターを鳴らして「愛してるって」を歌い出す。たいち(Dr)、あかり(Ba)のリズム隊が刻むシンプルな演奏に乗せて、過度に声を張ることなく歌うホリウチの歌声は、こちらに語り掛けてくるような、不思議な親しみやすさがある。「ホンネ」では「盛り上がっていこうぜ! 手を振れますか?」と一体感を求めた。「初めてのツタロック、初めてのO-EASTめちゃめちゃ楽しみにしてきました。
しっかりLaughing Hickの1音1音を届けようと思います」。そんなMCから歌われたミディアムバラード「カフェオレ」。続けて直線的にパワーコードを刻みながら「カシスオレンジ」へと繋いでいく。徐々に熱を帯びる演奏と歌に、じっと聴き入っていたオーディエンスから自然にステージに向けて手が上がった。「今日は全員好きにさせて帰すんで!」(たいち)。そんなセリフが本気なことを感じさせるライブは、ダンサブルな「休憩と宿泊」、歌い出しから一体となった「女だから」と続き、しっかり爪痕を残して終了となった。
シンガーズハイ(photo by 清水舞)
MASSIVE STAGEに登場したシンガーズハイは、ド派手なビッグバンドサウンドのSEに乗ってステージへ。眩いライティングの中、ゆったりとした立ち上がりから「SHE」でライブをスタートさせた。内山ショート (Vo,Gt)が「締まっていきましょう。よろしくお願いします」と呟くと、バンドが叩きつけるようなキメを何度も繰り返してから「Kid.」が飛び出して、フロア一面から拳が上がる。捲し立てるように歌う内山のヴォーカル、重たくタイトで硬質なサウンドが身体を直撃する。ギターの高音リフが扇動して疾走する「エリザベス」ではほりたいが (Gt)がステージ前に出て跪いてソロを聴かせる場面も。「新しい曲やります」と披露されたのは、「STRAIGHT FLUSH」。ものすごい音の洪水をまき散らしながらバンドがエネルギーを放出すると、フロアは熱狂的な盛り上がりとなった。「みんな、音楽は好きですか? だったらね、くだらない皮肉がきいた悪口とかを少しはとっぱらった方が良いって、俺はそう思ってるよ」と、世間に蔓延するムードへ向けたひと言から、パンキッシュなアティチュードが炸裂した「ノールス」へ突入する等、ひたすらカオティックに駆け抜けた。
Blue Mash(photo by ヨシハラミズ)
COSMIC STAGEでは、大阪を拠点に活動するBlue Mashがステージ上がる。優斗(Vo,Gt)は、いきなり「すみません、セトリ変えます!」と、「愛すべき日々」を歌い出した。「デカいステージに立ちたくて音楽をやってるわけじゃありません。フェスに出るために暗い部屋で音楽作ってるわけじゃありません。君を救うために音楽をやってるんだ!」そう叫びながら歌うと、オーディエンスは拳を突き上げ、もみくちゃになってステージ前に転がり込みながら、全身でバンドへ意思表示をしている。「春のまま」では、バカでかい音を叩きつけるようなサウンドの中に、感傷的な言葉が顔を覗かせる。「去年の今日歌詞を書いてメロディを付けて曲を作りました。去年の俺に、あのときの悔しさは無駄じゃなかったと言えるように歌います」と歌い出したのは、「セブンティーン」。こみ上げるように感情迸る歌とバンドが一丸となった演奏に圧倒された。歌い終わると、悔しい思いが音楽に昇華されたように、「ありがとう!」と素直な感謝を観客に伝えた。最後は「海岸線」を歌い、「出会ってくれてありがとう! ロックスター4人組でした。ありがとうございました」と笑顔でステージを降りた。
オレンジスパイニクラブ(photo by 清水舞)
トリを務めるのはオレンジスパイニクラブ。「Last Night」でスズキユウスケ(Vo, Gt)がハンドマイクで歌いながらステージを行き来する姿は、ギターボーカルが多いイベントに於いて新鮮に映る。その後ギターを手にすると、スローな歌い出しでコーラスワークも聴かせた「モザイク」へ。緩急自在にテンポチェンジするアレンジが曲の世界観を感情豊かに伝えた。「2年前にツタロックに出たときはこのステージのトップバッターを務めたんですけど、今回はトリを任せてもらいました」と、バンドの成長を感じさせるMCも。真っ赤な照明の中で歌われた緩やかな16ビートの「ルージュ」、メロディアスな「キンモクセイ」といった、ポップセンス溢れる楽曲で心地よくライブが進んでいく。激しく疾走する「君のいる方へ」でフロアが沸き立ち、「敏感少女」へ雪崩れ込むと、フロアでは一日中ライブを観ていたであろう多くの音楽ファンが、元気一杯にステージ上のメンバー4人が奏でるロックに腕を振り上げて応えている。いったんステージを後にしたものの、バンドはアンコールに応えて再びステージへ。「今日出演したバンドを代表してめちゃくちゃかっこいいロックンロールやって帰ろうと思います!」。飛び出した曲は、「急ショック死寸前」。〈ロックンローラー パンクロッカー〉と叫ぶ、文字通りかっこいいロックンロール。「おやすみなさい! オレンジスパイニクラブでした!」と、見事にトリの大役を果たして去って行った。
<イベント情報>
「ツタロックDIG LIVE Vol.15」
2024年8月7日(水)Spotify O-EAST
出演:Atomic Skipper/オレンジスパイニクラブ/カネヨリマサル/cherie/ジ・エンプティ/シンガーズハイ/チョーキューメイ/プッシュプルポット/Blue Mash/Laughing Hick/レトロマイガール!!
主催・企画:CCCミュージックラボ(株)
制作:株式会社シブヤテレビジョン
協力:Rolling Stone Japan
公式HP:https://cccmusiclab.com/tsutarockdig13
公式Twitter:https://twitter.com/tsutarockliv
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