SKY-HIが主宰するマネジメント/レーベル「BMSG」の名前を冠した、その名もBMSG POSSE。SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKOというソロアーティストが集結したクルーで、2024年4月に発足し、BMSGの自社レーベル「Bullmoose Records」に所属している。
12月にリリース予定のBMSG POSSEによるオムニバスアルバム『TYOISM Vol.1』から第1弾コラボレーションアーティストとして、韓国のラッパー兼プロデューサーであるCHANGMO(チャンモ)が先日アナウンスされた。

【画像】BMSG POSSE&CHANGMO アーティスト写真

BMSG POSSEからはSKY-HI、Novel Coreの2人が参加し、東京を拠点に活動する音楽クリエイター集団、INIMI(イニミ)に所属するプロデューサー/ビートメイカー・ZEN、Sunnyと共に制作した大胆かつ楽曲「ZOOM」で、日韓のスペシャルコラボレーションが実現。10月30日にリリースされたばかりだ。

伸縮自在のゴムのようなSKY-HI、軽快なジャブを次々と浴びせるNovel Core、手打ち麺のごとき弾力と粘りを与えるCHANGMO。三者三様のフロウが重たいビートとともに味わえる一曲。今回、三者にオンラインインタビューを実施。SKY-HI&Novel CoreとCHANGMOにそれぞれ取材を行った。

―BMSG POSSEとして3カ月連続配信リリースがあったり、この夏はいろんなイベントのステージに5人で立ったわけですが、現段階でどんなことを感じてますか?

SKY-HI:一言で言うと、人を責任感から解放できるな、と思います。BMSG POSSEは「自由で楽しくなきゃいけない」ってことが唯一のルールとしてあるくらいなので、ビジネスから一番遠い形でやれてるところがすごくいいなと思います。しかも地元の仲間とかじゃなくて、出身地とか年齢とか、カルチャーとかスタイルとか、びっくりするくらいバラバラな状態で集まってつくられてるっていうのは、2024年っぽくて素敵だなと思ってます。

Novel Core:SKY-HIさんが言ってくれたように、地元のクルーとかじゃなく「BMSG」っていう共通点で、それ以外はバラバラなものを持ってる人たちなんですけど、それが一堂に会しているって面白さがある。それぞれのソロワークが盛り上がれば盛り上がるほど、このメンバーで集まる意義も強まっていくというか、BMSG POSSEっていう括りがより面白くなるってことに可能性を感じてます。


―パフォーマンス面でもそう感じます?

SKY-HI:そうですね。今、自分やCore(Novel Core)が話したようなことがBMSG POSSEのやるべきことだよねっていうのが共通認識である分、こないだのBMSG FES(※BMSG所属アーティストによる大規模フェス)が顕著でしたけど、5人それぞれがバラバラのはみ出し方をしようとするんで、相当カオティック。他のメンバーがやってないはみ出し方をしなきゃ、みたいなのを、みんながやりだすから、とんでもないカオティックなパフォーマンスができるところはいいなと思います。

Novel Core:確かに。BMSG FESのとき、僕も思ったんですけど、あの規模のライブだとリハーサルからしっかりカメラが追い切れるように、とかも含めて、同じ形でやることが多いと思うんですけど、いい意味で、毎回自分たちが想像もしないような動きになったり、違う形で落ち着いて終わったり。「OVERDRIVE」の最後の車の運転みたいなムーブも、その場のノリで生まれたもので。そういうのが偶発していくのがBMSG POSSEのライブパフォーマンスの面白いところだなと思います。こんだけそこそこ大きい規模でのライブパフォーマンスを日常的にやってるメンバーが集まっても、本人たちが一番何が起きるのか分かんないっていう、そこに面白さを感じてるところはあります。

―今おっしゃったムーブのところ、SKY-HIさん、本気で笑ってましたよね。

SKY-HI:だって、一生揃わないんだもん。

Novel Core:誰も合ってなかったです(笑)。

SKY-HI:揃わないのは、正解がないから。
右からとか左からとか、正解があればいいんだけど、無いから一生揃わないよなっていう。あれは人という生き物のすれ違いの寂しさを表現しています。
Novel Core:絶対違う(笑)。

―(笑)そういう自由さがBMSG POSSEをやる醍醐味でもあるんでしょうか。

SKY-HI:BMSGって根が真面目な人も多いので、普通に音楽やってるとみんな、何かしらの責任を背負っていく。その中で、BMSG POSSEが一番、真面目に不真面目をやってるな、と思います。それが今の日本に必要なものの気はしてます。

―CoreさんはBMSGの誕生からSKY-HIさんと一緒にいると言ってもいいわけですが、BMSG POSSEでこうして共に活動するのはこれまでとは違う刺激があります?

Novel Core:そうですね。BMSG POSSEっていうクルーで活動してるとき、リリックもそうですし、ライブパフォーマンスもそうですし、僕のまだ知らないSKY-HIがいっぱい、そこにはいて。そこはやっぱワクワクします。BMSGの中でもShota(Aile The Shota)やSKY-HIさんは普段一緒にいる時間も特に長いので、2人のことを知ってるつもりでいたんですけど、POSSEで活動してると、こんな一面もあるんだ、とか、リリックそんなに攻めるんだ、オモロ!みたいなのが結構あって。自分がまだ知らないSKY-HI、Aile The Shotaと出会える。


SKY-HI:多分、本人もそうだしね。

Novel Core:確かに、僕自身もそうだし。

SKY-HI:まだこんなふざけ方があったかみたいな。

―そういった面白さを伝えるという点で、BMSG POSSEが大事にしていることは何ですか?

SKY-HI:サウンド面で言うと、楽しそうなものを俺らが作るのは、BMSG POSSEが始まる時から前提として抱えていたことでもあったので、ソロでやらないレベルの「楽しそう」を作ろうってところが大きいかな、という気がします。

Novel Core:ソロワークの延長線上というよりは、別ルートですね。ソロだと普段できなさそうな振り切り方をしてるものとか。それこそ全員曲の「Girlfriend」もヒップホップベースだけど、リリックのアプローチはこれまでやってなかったことだし。「MINNA BLING BLING」「OVERDRIVE」は飛び道具的な面白さがあるし。それぞれの根底にスキルがあるからこそできる面白さ、遊び方、振り切り方みたいなのは、全体通してみんなが意識してることな気がします。

SKY-HI:BMSG POSSEは全員上手いっていうのが強いですね。「全員上手い」って聞いたことない特徴だけど(笑)。音楽とかアーティストって、上手いことより大事なことがいっぱいあるから。
でもBMSG POSSEは上手いのが好きな人が集まってるから、自分たちのスキルを自分たちで笑いながら楽しんでるところはあります。

コラボが生まれやすい理由

―そういうのを具現化した曲の一つとして、SKY-HI × Novel Core × CHANGMO「ZOOM」もできたと思うのですが。

SKY-HI:CHANGMOも上手すぎて、笑けるじゃないですか。

―SKY-HIさん、かなり前からCHANGMOさんのインスタのアカウントをフォローしてましたよね。

SKY-HI:ある程度のキャリアを積んだ人間が自分で会社をつくることって、日本だとそこまで多くないけど、韓国って意外と多いじゃないですか。アーティストの中でも、ビジネス意識も含めて興味を持ってくれる率が、日本以上に東アジアのアーティストは少し髙い印象があって。そういうこともあって、CHANGMOも話を聞きたがってくれたんです。すると当然、いつかコラボしようって話になるじゃないですか。でもやるべきことがいっぱいあると、そのままになってしまうことが多い。なのでCHANGMOも具体的な話にはならなかったんです。

でもBMSG POSSEができて一気に出どころが増えた。「最近BMSG POSSEっていうのやってて、他にもこんな面白いアーティストとやってるんだけど」ってプレゼンしたときに話が転がりやすい。
BMSG POSSEって冷静に考えたら夢みたいな空間だよな、って感じはします。ソロアーティストはみんな孤独だってことを、ソロアーティスト自身が一番よく分かってるので。そんなアーティストたちがみんなで楽しくやれてるのはすごく素敵なことだなと思うし、実際にこういうコラボが生まれやすい。CHANGMOとのコラボはその象徴な気がします。

SKY-HI、Novel Core、CHANGMOが語る、日韓コラボレーションの狙いと意味

BMSG POSSE

―SKY-HIとしては韓国含め、海外のアーティストとの共演も元々多いですしね。

SKY-HI:そうですね。2018年くらいから韓国だとReddyとかJa Mezzとか、タイのSTAMPとかDaBoyWayとか、海外のアーティストとのコラボレーションは意欲的にやっていて。その頃に撒いてた種の回収でもあるかもしれないですね。

―コラボっていう点で、ソロ以外でBMSG POSSEという選択肢が増えたと。

SKY-HI:そうですね。すごくやりやすくなったなと感じます。

Novel Core:今年の1月、僕の武道館ライブが終わった頃、SKY-HIさんと「CHANGMOとやりたいですよね」みたいなやり取りをしてたんです。
2019年末ぐらいにCHANGMOが『Boyhood』ってアルバムを出して、まだBMSGに入ることが正式に決まる前に、SKY-HIさんの家で『Boyhood』を聴かせてもらって。その中に「METEOR」って曲が入ってたんです。当時CHANGMOの曲を聴いて圧倒的に印象に残ったのが、曲調がハッピーで開けた世界観でも、歌ってる内容がめちゃくちゃボースティングでフレックスなリリックってことで。シンプルなトラップのビートの上でゴリゴリにラップするのではなく、そのギャップが印象的でした。

今回の「ZOOM」も、ボースティングの要素も入ってるけど、トラック含めてコミカルな要素があって、そういうテンション感を考えたときにCHANGMOの持ってたリリックの鋭さと、どんな音楽にでもフレキシブルに乗っかっていける作家としての圧倒的スキルがぴったりだったなって、曲を聴いて改めて思います。スキルがあるから遊べるっていう共通点を持つアーティストな気もしているし。SKY-HIさん含め、知人の方を介してCHANGMOとやり取りさせていただいてる中で、僕自身もCHANGMOとインスタのDMとかでやり取りして、日本で直接会う前に連絡を取って。楽曲を一緒にやるにあたって、友達としても仲良くなりたいってヴァイブスを向こうも強く持っていてくれていたのは、同じアーティストとしてもめちゃくちゃ嬉しかったですし、変に身構えずに一緒に作れたことはプラスだったと思います。

「真面目にふざけられる人、素敵だなと思いました」(SKY-HI)

―実際のソングライティングはどういうプロセスで行われたんですか?

SKY-HI:会話の延長って言ったらあれですけど、大きなテーマだけを決めて、書けたら録って、録れたらチェックして、みたいな。短いヴァースの応酬なので、それを繰り返して、遠隔でCHANGMOとやり取りしました。

Novel Core:マイクリレーじゃないですけど、マイクパス、マイクパスを繰り返す感じでした。

SKY-HI:大喜利と言っても正しいかもしれない。

Novel Core:それぐらいのノリでしたよね。どっちがクスッとくるやつ書けるか勝負!みたいなの始まってましたよね。

―2人のリリックは、韓国語に翻訳してCHANGMOにもシェアしたんですか?

SKY-HI:そうですね。BMSG社内に韓国語を喋れるスタッフがジョインしてくれたので。感謝してます。

―CHANGMOのヴァースも和訳してもらって。

SKY-HI:そうですね。日本語の「マネーだいすき」と「生ビールください」は分かりましたけど(笑)。

Novel Core:(笑)もうその時点で最高なの分かりましたよね。

SKY-HI:真面目にふざけられる人、素敵だなって思いながら。

―3人の息がぴったりで、とても遠隔で作ったとは思えないような空気感だなと。

SKY-HI:そうですね。アーティスト同士って、楽曲を聴いてると人格が分かるところもあるから、CHANGMOはこういうテーマで一緒にふざけようとしたら全力でふざけてくれるだろうなってことは思ってはいたんですけど、本当にそうだったのが嬉しいですね。BMSG POSSE自体が楽しくないといけないっていう暗黙のルールがあるように、一緒に楽しんでくれる人=フィーチャリングアーティストに呼びたい人でもあるので、今回は一緒に遊んでもらったという感覚ですね。

―ミュージックビデオは渋谷で一緒に撮ったそうですね。

Novel Core:超楽しかったです。タイミングよく東急百貨店の跡地で撮れるって話になって。この曲のMVとしてバッチリのロケーションだったなと思いますし、ワクワクしながら撮ってました。MV撮影中の待ち時間とか、セッティングチェンジの時間に、プライベートの延長線上でお話しする時間もあって、3人それぞれいろんな話をしてたんですけど、そこでより距離が縮まった感じもありました。SKY-HIさんと僕でおすすめの焼肉屋さんを教えたりして。

SKY-HI、Novel Core、CHANGMOが語る、日韓コラボレーションの狙いと意味

左からSKY-HI、CHANGMO、Novel Core

SKY-HI:CHANGMOも僕らと一緒にレコーディングしたり、MVを撮ったりできることを、こちらの想像以上に喜んでくれて、それは嬉しいサプライズでした。お母さんに自慢するとか言ってたし。

Novel Core:僕の「SKILL TEST feat. DABO, Charlu」を聴いてくれてたんですよ。DABOさんの話で盛り上がったり、「超いいラップしてたね」みたいに言われたり。誰かが「『SKILL TEST』の感想を一言で言うなら?」ってCHANGMOに聞いてくれたんですけど、「Come to Korea」って言ってました(笑)。嬉しかったです。あとはファッションの話でも盛り上がって、CHANGMOのスタイリングで一緒に来てたMinsoo Parkってスタイリストの方ともすごく仲良くなって、韓国では今こういうのがかっこいいとか、逆に日本ではこういうのが流行ってるとか、洋服の話もしました。

―CHANGMOっていうラッパーが韓国にいるよってことを、日本のリスナーに知ってもらうって点でも意味のある曲になりましたね。

SKY-HI:誰かの成功がみんなの成功に繋がりやすいのが、コミュニティとかコミュニティミュージックの良さだと思うんですけど、それは広がれば広がるほどいいと思っていて。ここ最近は韓国を筆頭に東アジアからのグローバル進出が増えてるじゃないですか。アメリカの人とかからすると日本と韓国ってすごく近く見える。韓国勢のグローバルアプローチの広さ、存在感の強さが我々同じ東アジア人の生きやすさをつくってくれてるとも感じるし、お互い前向きに楽しめるのに一緒にやらない理由は、本来そんなにないと思うので。いっぱいみんなでやっていけばいいと思います。

Novel Core:僕も全く同じ意見です。というか、SKY-HIさんの「せっかく距離的にも近い国なんだし、もっといろいろユニティ起きたらいいよね」ってマインドは、BMSG入る前からSKY-HIさんと話をさせてもらう中で学んできた姿勢でもあるので。Reddyくんとか、SKY-HIさんに繋いでもらって仲良くなった韓国のラッパーがたくさんいる分、なおさらそう思います。僕と同い年ぐらいの日本のラッパーの子たちとかで、韓国のアーティストと仲が良かったり、韓国のミュージック大好きって子も多いんですけど、日本のど真ん中のオーバーグラウンドで、特にヒップホップミュージックっていうジャンルの上で日韓のコラボが起きることって、今までめちゃくちゃ多かったわけじゃないと思うんですよ。それを当たり前にできるぐらい、たくさんやっていきたいなって気持ちはすごくあります。自分たちがその一端を担えるんだったら、こんなに光栄なことないなって思います。

CHANGMOインタビュー「今回のプロジェクトは、韓国でも髙い関心が寄せられると思います」

続いてインタビューしたのはCHANGMO。2019年にリリースした「METEOR」のヒットをきっかけに、MAMA2020の「ベストヒップホップ&アーバンミュージック」にノミネートされ、韓国国内だけでなくグローバルでも存在感を示すヒップホップ・アーティストだ。

ーSKY-HI、Novel Coreと今回一緒に仕事をしてみた感想から聞かせてください

CHANGMO:日本のミュージシャンと仕事をするのが初めてでしたし、ミュージックビデオの撮影含めて大きなプロジェクトとして仕事をするのも初の体験でした。お二人はラッパーでもあるので制作のプロセスは自分と似ていると思いましたし、その点ではやりやすかったです。ただ、私の立場で悩んだこととしては、初めて日本の人たちに向けて歌詞を書いてラップをするわけなので、日本の皆さんがどのように自分の曲を受け止めてくれるかが少し不安でした。幸いなことに、SKY-HIさんとNovel Coreさんが自分の歌詞をとても良いと言ってくださったので、自信がつきました。

ー彼らの音楽にはどういう印象を持ちましたか?

CHNAGMO:SKY-HIさんで言うと、とくに印象深かったのがYouTubeでチェックした「タイトル未定」の映像です。ステージ上に譜面台が置いてあって、まるでクラシック音楽を演奏するかのように、攻撃的にラップをするんです。SKY-HIさんもNovel Coreさんも私の第一印象は、とてもメジャーなイメージでした。韓国だと、K-POPとヒップホップをミックスしたような音楽をやってるメジャーなアーティストはたくさんいて、お二人もそういうタイプなのかなと最初は思いました。でもSKY-HIさんやNovel Coreさんのミュージックビデオを見て、「この方々は本当にヒップホップを愛してる!」と感じました。

ーご自身の歌詞に関して何か意識したことはありますか? SKY-HIとNovel Coreは「真面目にふざけた」と話してくれました。

CHANGMO:今回のプロジェクトは、韓国でも髙い関心が寄せられると思います。私のファンは、私がフィーチャリングをしたり、フィーチャリングされたりするのを好む人が多いです。なのでまずは自分のファンを満足させたかったということが一つ。次に、日本の方々が聴いた時、お二人の日本語の歌詞の後に私の韓国語が出てきた時、自然に感じてもらえるといいなと思いながら、歌詞を書いたように思います。あと歌詞の内容を面白いものにすること。このように3つの点を考えて、お二人が遊んでいる間、私はたくさん働きました(冗談ですよと言って笑う)。

ー日本語のヴァースがありますよね。

CHANGMO:はい。「マネーだいすき」と「生ビールください」です。「生ビールください」は日本に来たときに一番たくさん使った言葉です(笑)。

ーCHANGMOさんが、アーティストとして音楽活動をしようと思ったのはいつ頃ですか?

CHANGMO:小さい時はピアノを弾いていたので、元々はピアニストになりたかったのですが、19歳でヒップホップ・アーティストになると決意しました。今の事務所の社長であるThe Quiettさんに初めて出会って、その時に(アーティストになると)誓った記憶があります

ーヒップホップのどこに魅力を感じたのですか?

CHANGMO:私の家は経済的に貧しかったので、幼いながらにピアノを弾きながら「なぜこんなにお金のことを考えながら音楽をやらないといけないんだろう」という不満がありました。クラシック音楽をする人たちはお金持ちのイメージじゃないですか。でも私の家はそうではなかった。そんな不満をアメリカや韓国のラッパーたちが代弁してくれたんです。10代の時にピアノを弾き続けながら、趣味としてヒップホップを聴いたり、ラップの歌詞を書いたりしていたので、その流れでラッパーになりたいという気持ちが生まれたんだと思います。

SKY-HI、Novel Core、CHANGMOが語る、日韓コラボレーションの狙いと意味

CHANGMO

影響を与えたカニエ・ウェストの存在

ーCHANGMOさんに影響を与えたラッパーというと誰になりますか?

CHANGMO:アメリカではカニエ・ウェストです。韓国だと、The QuiettさんとDOK2さんです。とくにカニエの影響が大きいですね。

ーどこが好きなんですか?

CHANGMO:カニエ・ウェストの音楽って既存のヒップホップに収まらないというか、知的で新しいイメージをヒップホップに持ち込んだと思うんです。10代のころの私はワイルドなライフスタイルではありませんでしたが、ピアノを弾きながら「こんなスタイルもあるんだ」と固定概念をいい意味で崩されました。彼の影響で、のちに自分が音楽の勉強をもっとするようになって、自分が弾いてきたピアノの要素とヒップホップを混ぜてもいいかもしれないという考えを持つようになったんです。

ー8月にカニエ・ウェストがタイ・ダラー・サインとともに韓国でリスニングパーティを開催しましたが、行かれましたか?

CHANGMO:いえ、行けなかったんです。気づいたらソールドアウトで。私は、韓国でカニエ・ウェストの大ファンとしてある程度知られた存在なんですが、現地のオーディエンスから「CHANGMOがいない」「どこにいるんだ」とすごい量のDMが来たんです。事情を話すと、彼の性格的に韓国公演をキャンセルしそうだなと思って、事前にチケットを買わなかったことが失敗しました。このことを韓国の人たちにお話しする機会がなかったのですが、今回このインタビューで初めて話しました(笑)。

ーSKY-HIやNovel Coreにはポップスターという側面もありますが、ヒップホップ・アーティストがポップスターとコラボレーションすることについてはどう思いますか? CHANGMOさんも、スランの「WINE (Feat.Changmo) (Prod. SUGA)」、ヒョリン&CHANMO名義でリリースした「Blue Moon」、EXOのチャニョルの「Yours (Feat. LeeHi, CHANGMO)」など、多数コラボしてますよね。

CHANGMO:私自身、K-POPスターたちとしたコラボが何個か成功したことで、韓国で多くの人々に知られるようになったんです。私はコラボするにあたって、いつも基準を設けています。それは音楽が絶対的にいいということです。その音楽がどのようなスタイルでも、私たちがコラボレーションした曲が本当にいい音楽であるということ。それを大事にしています。

ーCHANGMOさんは自分の音楽のどんなところが一番の「強み」だと思いますか?

CHANGMO:強みであり弱みでもあるのですが、私の「歌詞」です。私と同じような環境ーーソウル郊外に住む同年代の人たち、その人たちの悲しみ、喜び、怒り、あるいは夢などを歌詞に入れています。ただ、歌詞は韓国語ですし、韓国人ならではのスラングやアクセントをたくさん取り入れているので、他の国の方々には共感しにくいかもしれません。それが悩みです(笑)。とにかく、これからも「いい音楽」を作り続けていきたいです。私の「METEOR」が韓国のチャートで一位を獲った時に感じたことは、「歌詞を含めて、いい音楽だからこういう結果になったんだろうな」ということでした。これからもその軸を変えずに活動していければと思います。

ー最近CHANGMOさんが韓国内で気になるヒップホップ・アーティストは?

CHANGMO:Paul Blancoです。彼はカナダで幼少期を過ごし、アメリカやカナダのヒップホップに影響を受け、韓国に来ました。彼も私と同じく「いい音楽」を作ることを第一に考えていて、作曲だけでなく、プロダクションも自分でやっています。

ーCHANGMOさんのこれからのプランは?

CHANGMO:去年、兵役を終え軍隊を除隊しました。そこから1年間、人生を楽しむことに忙しすぎて、スタジオに入る時間も少なかった。でっち上げの歌詞は書きたくないですし、その間、何か伝えたい言葉が生まれるまで待ってみようという考えもありました。日本に頻繁に足を運んだのもそういった理由です。そしてようやく、少しずつ言葉が出てきたところなので、これからまたスタジオに入って作業をすることになると思います。

<INFORMATION>

SKY-HI、Novel Core、CHANGMOが語る、日韓コラボレーションの狙いと意味

「ZOOM」
SKY-HI × Novel Core × CHANGMO
配信中
https://orcd.co/bmsgposse_zoom

BMSG POSSE、初の単独公演『BMSG POSSE presents TYOISM』
2024年12月11日(水)東京・豊洲PIT
OPEN 18:00 / START 19:00
※開場/開演時間は変更となる場合がございます。
▼チケット料金
スタンディング:9,500円(税込)

BMSG HP : https://bmsg.tokyo/
Bullmoose Records : https://bullmoose.tokyo/
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