【ライブ写真ギャラリー】「Rising Game Tour EXTRA」東京公演
昨年、Quubiはメンバーが1人減ったことによって3人体制としてスタートを切り、しばらくは試行錯誤の時が続いた。新体制の初期はステージ上に物足りなさを感じたが、いつしか3人は綺麗なトライアングルを描くようになっていた。しかも、心なしかパフォーマンスが前のめりかつ、荒々しく進化。これは意図したものではなく、藤宮紬、川原みなみ、村上華花という3人の人間性が自然と溶け合ったことによって生まれた新たな空気感なんだと思う。
そう、Quubiのライブは決して作り物ではなく、3人のパフォーマーが描き出す人間物語だ。むき出し、という意味ではロックでもある。彼女たちの特典会に参加しているファンはよく知っていると思うが、3人のグルーヴ感はオンステージとオフステージであまり変化がない(もちろん、ステージ上ではより高揚しているが)。だからなのかはわからないが、Quubiのライブは、3人と自分とのコミュニケーションという感覚が強い。それはこの日もそうだった。私はこうだけど、そっちはどう?――常にそんな問いかけをされているような気分になり、いい意味で気が抜けない。まさに、真剣勝負だ。
この日披露された楽曲は全17曲。
5人で構成される九尾Bandのパフォーマンスも安定感抜群。主張しすぎず、それでいてしっかりと存在感のある演奏で3人を支えた。ちなみに、九尾BandにはDJが参加しているのだが、昨今急増しているバンドセットのアイドルライブにDJがいるのはかなり珍しい。そういったところも見どころのひとつになっている。
「Rising」「Crazy Game」「Three」「Null」「RESIST」という、最新作『Meme』の楽曲を中心に披露した冒頭は、Quubiの現在地を明確に示すブロックとなった。すぐにわかったのは、スポークスパーソンとしての村上の台頭。これまで以上に一つひとつの煽りに彼女なりの意味があることが感じられる。困難を乗り越えた末に獲得した強さから生まれる説得力によって、彼女は自在にフロアを支配した。人間的な成長はボーカルの力強さにも伝播した。

Photo by 松本いづみ

Photo by 松本いづみ

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MCでは、合わないと思ったら意外と合ったという古民家撮影の新アー写の話から、2月12日に配信がスタートしたばかりの新曲「shed your skin.」の話へ。「緊張する……」と心の声が漏れるメンバーもいる中、初披露されることに。中盤に登場する藤宮のクールなラップとギターリフの絡みが鳥肌モノのカッコよさだった。ミドルテンポかつ重心低めで、シリアスな「shed your skin.」は、配信シングルとしては少々意外な感じがしたが、自分はQuubiが最も光るのはこういったタイプの曲なんじゃないかと最近思っている。
「shed your skin.」が終わるか終わらないかのうちに動き出したのは村上だ。片手を頭の上から下へと振り落としたあと、両手を体の中心から左右へガッと広げる。ウォール・オブ・デスの合図だ。「Ragnarok」のイントロが鳴り、バンドインするのと同時に左右に分かれた観客が己の対面に向かって突進する。
Quubiの楽曲はMAN WITH A MISSION以降のミクスチャーロックを下敷きにしていて、本質はかなり正統派だ。気はてらわないし、真っ向勝負。だからこそ、ストレートなシンガロングパートがよりハートを揺さぶる。「The voice you saved」や「Dear my…」といった曲は特にそうだ。Quubiのシンガロングは美しい。
村上が作詞を手掛けた「scent」、そして「Lights」と続く流れでは、村上はフロアへと懸命に言葉を投げかけた。「私たちの音楽があなたたちのそばにいる!」「あなたたちと一緒なら大丈夫だよね?」――何一つごまかさず、むき出しの感情でステージに立っているからこそその言葉は届く。正直、「あなたたちと見たい景色がまだまだいっぱいあるんだよ!」という言葉は多くのアイドルが口にする。しかし、何を言うかではなく、誰が言うか、だ。村上が言うからこそ、届くんだ。

Photo by 松本いづみ
ラストは、立て続けに「Change my life」「Way Away」「misshopeless」を混沌を増すフロアにぶち込んで本編を終えた。アンコールで再びステージに戻ってきたのは、うれしいお知らせを携えた3人。生のドラムロールに導かれ、Quubiの主催イベント「Quubi presents KiTSUNE Party 2025 at GORILLA HALL OSAKA」が、6月7日に大阪・GORILLA HALL OSAKAで開催されることが発表された。さらに、この恒例企画の出演者第一弾も解禁。主催者Quubiのほか、彼女たちの盟友であるAxelightとTRiDENTの出演が発表され、フロアは大いに湧いた。
その盛り上がりのまま、「Legendary」「DIVE YOURSELF」というQuubiを代表するキラーチューンがモッシュやダイブに加えて高速サークルピットを巻き起こし、フロアに最後のカオスを生み落とした。そして、興奮のせいでがっしゃがしゃになったシンガロングを満足気に受け止めた汗だくの3人は、笑顔でステージをあとにするのだった。

Photo by 松本いづみ
Quubi presents KiTSUNE Party 2025
6月7日(土)大阪・GORILLA HALL OSAKA
開場12:00/開演12:30
ホストアーティスト:Quubi with 九尾Band
第一弾 ゲストアーティスト
Axelight / TRiDENT
チケット
https://eplus.jp/kitsune_party2025/
1次抽選先行:~2/24(月)23:59まで