【ライブ写真ギャラリー】「OUR FAITH WILL NEVER DIE」
自分は今のCrossfaithが一番好きだ。かの名曲「Monolith」が登場したときのインパクトも個人的には相当なものだったが、やっぱり今だ。だからこそ、活動休止を経て、『AЯK』という名盤で見事にカムバックを果たしたことは感動的だった。あれは個人的にも昨年のトップ5に入る作品だと思っている。彼らの活動にグッと気持ちが入ったのは、『AЯK』リリース時のインタビューにおける彼らのアティチュードの影響もある。苦難のときを乗り越えて強くなったのと同時に人間的な優しさが増した姿は、数年前にインタビューしたときとはだいぶ異なるものだった。メンバーが感極まりながら話す姿に胸を打たれ、思わずもらい泣きしそうになった。音楽的にはもちろんのこと、バンドという集合体、そして個人としても大きく成長して戻ってきたのだと感じた。その取材のときにもチラッと聞いていた今回の2デイズの開催は心から楽しみにしていた。
ワンマンとフェスを2日連続で行うというのはかなりカロリーが高いが、バンドの志の高さはあっぱれである。本稿では触れないが、2日目のフェス「HYPER PLANET」のラインナップはCrossfaithだからこそ実現できたオリジナリティ溢れるもの。興奮しつつ、彼らに感謝した人は少なくないだろう。
その前日に行われたワンマンライブのタイトルは「OUR FAITH WILL NEVER DIE」。直訳すると、俺たちの信念は死なない、といったところだろうか。アルバム『AЯK』の収録曲「Canopus」の歌詞から引用されたフレーズは、今の彼らの心情を表現するのにあまりに正確なものだった。
まず、この日のセットリストについて触れておくと、これまでのキャリアを振り返るようなオールタイムベスト的な内容になるかと思いきや、昨年の「Crossfaith AЯK Japan Tour 2024」の形を大枠で踏襲する形となった。あくまでも今のCrossfaithを見せることに重きを置いたと捉えることはできるが、今の自分たちが過去最強なのだというバンドの自負のようにも受け取れる。オープニングナンバーこそ前述のツアーとは異なり、『ZION EP』のエンディングを飾る「Leviathan」が据えられたが、「The Final Call」「ZERO」と続く流れ、そしてエンディングの「Afterglow」「Canopus」という締めは『AЯK』の曲順とまったく同じ。さらに、翌日にSiMのMAHとともに披露された「Warriors feat. MAH from SiM」以外、この日はアルバム全曲がプレイされた。『AЯK』にどれだけの自信と想いが込められているのかよくわかる。余談だが、翌日の「HYPER PLANET」で「Leviathan」はライブ最後にプレイされ、そこに込められた意味合いにさらにグッときた。そういう意味では、2日合わせて観ることで彼らの真意をすべて知ることができる内容だったのではないだろうか。
"OUR FAITH WILL NEVER DIE" SETLIST
アルバム全曲ということは、ツアーで演奏されることのなかったバラード「Night Waves」もここで初披露。この曲では、ステージ上部に設置された小型の照明が青く不規則に動くことで波を演出。
そう、「OUR FAITH WILL NEVER DIE」は本当に素晴らしいワンマンライブだったのだが、メンバーのパフォーマンス以外にも、演出が抜群にカッコよかったことは特筆すべきポイント。紗幕の中で演奏するというオープニングの「Leviathan」にはじまり、「ZERO」以降はフレーマーからガンガン炎が上がり、VJ、照明、レーザーとすべて一級のセンスで楽しませてくれた。メンバーのパフォーマンスを映すカメラマンのセンスも素晴らしかったし、スイッチングにも鳥肌が立った。しかも、演出の使い回しはなく、1曲ごとに工夫をこらしたものを見せてくれた。ただ派手なだけではなかったし、正直、演出ごと海外へ持っていってツアーを回ってほしいと思うぐらいのものだった。

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ステージ2階に設置された5台のミラーボールが回りだした「Scarlett」や、緑と紫と赤のレーザーが入り乱れ、分かる人はニヤリとした「DV;MM¥ SY5T3M... 」など、印象的な場面は多かったが、思い出すだけ今でも鳥肌が立つのは「God Speed feat. WARGASM」だ。スクリーンに映し出されたのは、ステージ裏に置かれた白い車から出てきたWARGASMの2人。そして、手持ちカメラが2人の姿をステージまで追うという臨場感溢れる映像演出は、フロアをさらなる熱狂へと導いた。ああ、あれもこれもあとで映像で見返したくなる場面ばかりだ。

Photo by takeshi yao
おそらく、採算度外視の演出だったとは思う。
こんなにも秀でた演出に観客が盛り上がらないわけがない。イントロが鳴るたびに歓喜の声が上がり、一斉に飛び跳ねる。すごくいい雰囲気だった。Crossfaithというバンドがどれだけ愛されているのか肌で感じることができた。
当然、5人の演奏もすごかった。大舞台に対する緊張は外からはまったくうかがえなかった。むしろ、巨大なステージの迫力と大観衆の熱量を味方につけ、獰猛かつ、繊細なパフォーマンスを展開。中盤には「少しだけ俺たちの原点を遡ってみましょうか」というKoieの紹介のあと、初期のアルバムから1曲ずつ披露する一幕も。「Demise And Kiss」ではMasato(coldrain)が登場し、記念すべきステージに華を添えた。

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とはいえ、終盤のMCではKoie以外の4人がしっかりと自らの想いを語った。「(この日が)早くきてほしいと思いながら、終わってほしくないという気持ち」(Tatsuya)、「ここに来るまでにいろいろあった。でも、今が最高ならそれでいい」(Kazuki)、「実家で昔の卒業アルバムを見たら、将来なりたいものに『ギターヒーロー』と書いてあった。そんな姿を今日来てくれた親族に見せられてすごくうれしい」(Daiki)、「本当に夢にまでみた景色。もっとヤバい曲を書いて、もっとヤバいライブをしていきたい」(Teru)。

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そして、アンコールのMCではメンバーを代表してKoieが締めた。出てきた言葉は、この日のライブがソールドアウトしなかったことに対する悔しさだった。「俺はこの幕張メッセを埋めるまで絶対に絶対に絶対に絶対に死ねないと思ってます。
アンコールラストの「Canopus」を演奏し終え、Koieは満面の笑みで叫んだ。「バンドをやめるっていう決断をしなくてよかった! ていうか、やめれるわけないやんけ!

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