クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」、カーズの「Just What I Needed」などのヒット曲を手がけたロック界の名プロデューサー、ロイ・トーマス・ベイカー(Roy Thomas Baker)が逝去した。享年78。


ベイカーは今月初め、4月12日にアリゾナ州レイクハバスシティの自宅で亡くなったが、家族が訃報を公表したのは最近になってからだった。死因は現時点で明らかにされていない。

彼は過去50年にわたり、クイーン、リンジー・バッキンガム、モトリー・クルー、オジー・オズボーン、スマッシング・パンプキンズ、ガンズ・アンド・ローゼズ、フォリナー、アリス・クーパー、チープ・トリックなど、数々の大物ロックアーティストと仕事をしてきた。また、エレクトラ・レコードのA&R担当としても活動し、メタリカ、10,000マニアックス、Yelloなどの契約に携わった。

クイーン「ボヘミアン・ラプソディ」のプロデューサー、ロイ・トーマス・ベイカーが78歳で死去

2005年12月9日、カリフォルニア州ロサンゼルスのザ・ヴィレッジ・レコーディング・スタジオにて撮影されたロイ・トーマス・ベイカー(Photo by Jim Steinfeldt/Michael Ochs Archives/Getty Images)

ロンドンのデッカ・スタジオでセカンド・エンジニアとしてキャリアをスタートし、トニー・ヴィスコンティやガス・ダッジョンといった巨匠のもとで経験を積んだ。ローリング・ストーンズ、ザ・フー、デヴィッド・ボウイ、ダスティ・スプリングフィールドなどの作品に関わりながら、やがてチーフ・エンジニアに昇格。T・レックス「Bang a Gong」、フリー「Alright Now」などが初期の成功例として知られる。

ベイカーがクイーンと出会ったのは1970年代初頭。1973年のデビュー作『Queen』から『Queen II』(1974年)、『Sheer Heart Attack』(同年)、そして『A Night at the Opera』(1975年)まで、彼は初期4作を共同プロデュース。なかでも『A Night at the Opera』は「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットにより全英1位を記録した。

その後、カーズのデビュー作『The Cars』(1978年)を皮切りに、1981年までに4枚のアルバムをプロデュース。「Just What I Needed」「My Best Friends Girl」「Good Times Roll」「Shake It Up」などのヒットを生み出した。


1999年のインタビューで、ベイカーは「ボヘミアン・ラプソディ」が当時の「重厚なロック」トレンドとは真逆だったと振り返っている。「あれはクールなアイデアじゃなかった。基本的には冗談みたいなものだったけど、うまくいったジョークだったんだ」と語った。

「録音は3つのパートに分けてやった。イントロ、ミドル、エンディング。それぞれ別々に録音したんだ。中間部は最初ほんの数秒だけだったのに、フレディがどんどん『ガリレオ』を重ねてきて、オペラパートがどんどん膨れ上がっていった。笑いが止まらなかったよ」

ロイ・トーマス・ベイカーが「ボヘミアン・ラプソディ」制作背景を語った動画

From Rolling Stone US.
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